見出し画像

金管バンド演奏でもっとも重要な3つの要素

日本における金管バンドの奏法の研究はこの10年で驚くほど上達し今ではとっても素晴らしい演奏をするバンドもとても増えた。

そんな中河野が思う金管バンドを演奏する上でもっとも重要な3つの要素を書いてみる。(音楽的、スタイル、音色、ミュートワーク、音を外さないなど話すまでもない重要な要素は今回は書かない。)

まず金管バンドの前提条件は

・金管楽器と打楽器のみで構成されるアンサンブル。
・基本的には28人で演奏されるように曲も作られる。(打楽器が増え30人でなども増えた。)
・屋外、屋内どちらにも対応する音楽

その他のはこちらから

こんなところ、このような音楽形態なんだという前置きを知って進んでいきたい。

画像1

1、音量

全てのアンサンブルでの演奏でそうだが、金管バンドにおける音量の差というのは音楽表現の幅を広げるために必要不可欠だ。

「金管楽器と打楽器のみで構成されるアンサンブル」の説明が示す通り、同属楽器と打楽器のみで構成されるため音楽の代わり映えがオーケストラ(弦、木管、金管、打楽器を有する)や吹奏楽(木管、金管、打楽器)に比べてつけにくい。

そこで音量の変化を駆使し音楽に立体感を出すのである。

奏者やバンドはそれぞれ自分の音量=「p」はこのぐらい、「mf」はこのぐらいなど体感と感覚を養わなくてはならない。

2、音価

楽譜には音符が記されその音符は音の種類や長さ、時間を表してくれている。そんな音符の長さ、時間を守ることは28人で一つの音楽を表現する中で鉄則だ。

人は多くの場合言葉の意味や感覚で長さを捉えてしまう。

8分音符は短く、16分音符はさらに短く、32分音符なんていったらものすごく一瞬しか演奏しない

こんな感じ、視覚的にも白丸=長く、つまり2分音符や全音符は長くという印象で演奏してしまう。

でもこれらの音符は全てテンポによってその時間の長さを変える。

例えば、「4分音符=50」の時の8分音符や16分音符ってその名前のイメージより結構長い。

更に「4分音符=140」の時の2分音符だって時間的にいえば一瞬で過ぎ去る。

そして先述した通り限られた楽器の種類と奏者人数しかいないため楽譜通りではない音の長さ、つまり

無駄に長く
無駄に短く

演奏をしてしまうと曲にならないのである。

音楽は数学に近い部分もあるが、数学の計算をしている最中に誰か一人が数字を途中で変えてしまったら計算にならないのと同じで、音楽も音価は音楽的表現上の範囲で守る必要がある。(”絶対”と書かない理由と”無駄”と書いた理由はご存知の通りだ)

画像2

3、表現記号(Articulation)

楽譜上のアクセントやスタッカート、テヌート、山型アクセントなど音を表現する上で必要になる記号だ。

多くの場合物言わぬ作曲者が楽譜の音楽の意図を示したり表現方法を示すために書いているためこれを無視する手はない

1,000,000回目であるが、金管楽器と打楽器のみで表現される音楽であるため使えるものは全て使うのである。アーティキレーションは金管バンドでの音楽表現の幅を大きく広げ、その表現方法や奏法は他のオーケストラや吹奏楽とは一線を画する。体感的には他のアンサンブルに比べてより大げさに行う必要がある。

(一点だけ:Staccato=短いではない、Staccatoの意味はdetachedで”独立した""分離した”という意味になる。つまりStaccatoがついた音の前後の音と接していない状態、よりその音だけ独立して聞こえるよう演奏する必要があるということだ。全音符にスタッカートがつく場合もあるので長さの話ではないという点に注意したい)

画像3

まとめ

この三つはあくまで”方法”であるゆえこれをやったから良い音楽になる!ではないけれど、良い音楽を演奏するためにこれらの方法は試してみても良い。効果は保証する。

楽譜とスタイルという大きなルールのもと、その一曲を多人数で表現する上で楽譜に書かれてあることをまずは表現しきるというのは多くの場合利点しかない。

ぜひ試してみてほしい。


サポートして頂いた支援は全て金管楽器や金管バンドの奏法の研究、音楽を使ったエンターテイメントの発展に使用させていただきます。