17ライヴをやってみた時に感じた自分の心境の変化
おはようございます。河野企画代表、チューバ奏者、指揮者、金管バンド専門家の河野一之です。
もくじ
時代がコロナによってものすごいスピードで動かされ、ネット上で漫画などの静止画を見る時代からYoutubeなどのアップされた動画を視聴する時代になり、今では生配信(Live)での音声や動画での配信が主流になっている。
つい先日も母校やその母校に通っている頃からお世話になっている東京シティ・コンサート・ブラスが演奏会の生配信を行なっており素晴らしい配信内容を自宅にいながら視聴させてもらった。
この生配信というのは一見ここ一年で増大したようにみられるが実際はここ10年ぐらいで、歴史が古いものだとニコニコ生放送が2007年、YoutubeのYoutube-Liveで2011年、よく知られている17 LIVEだと5年前の2015年という風に実際はここ10年ぐらいなようだ。
それが今では上に貼ったようにものすごく綺麗な画質、さらに音質で自宅やどこでも楽しめるようになっている。すごい時代だ。
こういう中で僕自身、生配信を行なってきた。
話すだけのものもあったし、実際に演奏をしたり、練習を流したりといった具合にこの最新の技術を自分が持っている楽器や機材でどういうものが生まれるのかと試してきた。
最初の心境
見えない誰かに向かって話したり演奏をするということで言い知れぬ不気味な感じはあったが徐々に慣れてくる。また”ずっと話す”ことに苦痛を感じない、というか得意なので話す分に全く問題なかった。
なのでコロナにより社会に不安感が広く広まっていた2020年3,4,5月なんかはほぼ毎朝トークを30分から1時間行い近況報告やこれから何をしていくかなどの展望、昔の思い出話なんかを語っていた。
さて、演奏に関してである。
僕は中学校でチューバに出会い、その後中高と吹奏楽部でチューバを演奏し、音大に入る。音大で専門的な知識を学び英国の大学院へ留学。その後こうして職業音楽家として活動をしている。
こういった人生の中でチューバを使って演奏をするという活動の中には
・一人で練習をする
・演奏会で演奏する
・コンテストで演奏する
・CDレコーディングを行う
・ラジオの生放送で演奏する
これぐらいしかなかった。そんな中Youtube Live、Twit-castting、そして昨夜から始めた17 Liveなどで本番用ではなく
自分の練習風景を流す
というのは完全に未知の体験であったのだ。
どうしてもエンターテイナーでもある音楽家としては舞台の仕掛けを全てあらかじめ見せてしまうというのに抵抗があった。
読んだことがある漫画をわざわざ買わないのと同じで、既に中身を知っている演奏会をお客様はいらっしゃらないのではないかと考えていた。でも実際は違った。
お店毎の差が無くなってきた中、僕たちは何で選ぶのか
音大や芸術関係の学校を卒業する人数は2011年次でだいたい2,000人、しかも年々教育の質は上がってきているわけなのでとても能力の高い音楽家が毎年輩出され世に出ている。
つまり超単純に計算して、毎年美術とかを抜いて500人の音楽関係の卒業生が世に輩出されている。しかもみんな素晴らしい能力を持っていて大差がない。
そういった能力も性能も大差がないのであれば僕たちが消費者に回った場合何で選ぶかは人である。
そもそもライヴ配信が主流になってきているので住んでいる場所、つまり立地というのは競合材料ではなくなった、そしてそれぞれ能力も大差がない、つまりある程度おいしいラーメン屋さんが世に溢れているのであれば最後に選ばれるのはそこで働いている人や一緒に行く人などの人になってくるのではないかという話だ。
ネタバレに抵抗があったけれど、多くの人は確認をしにしかこない
全然知らない無名のミュージシャンのライヴに行くのとボンジョビのライヴに行くのであれば多くの人はボンジョビのライブに行くだろう。
でももし自分が思い入れを持っているミュージシャンだったらボンジョビよりもその無名だけれども自分”は”知っている無名のミュージシャンのライヴに行くだろう。僕もそうだ。どれだけ良い立地にあろうが、遠方の知り合いのお店に行きたくなるし、どうせ同じサービスを受けるのであれば知っている人、好きな人のお店を利用したい。
妻も住居が変わった今でさえ10年以上変わらず通い続ける美容院がある。絶対に近場にもっと良いか、同程度の美容院があるにも関わらずだ。いつも担当してくださっている〇〇さんがいるからという理由だ。つまり美容院が”髪を切る場所”という意味合いだけではなく”〇〇さんと話せる場所”、”10年以上前からの友人や先輩のような美容師さんにお会いできる場所”と言う風に意味合いが増えている。だから彼女はそこにわざわざ往復数時間かけて通っている。
更に言えば僕だって、CDで聞いたり日本のバンドを聞いていれば良かったものを片道20時間以上、十数万円かけてイギリスはウェールズまで行き音楽を楽しんだり、友人たちとあったり、ビールを飲む。そこにしか、その人にしか存在しない価値を求めていくのだ。
この”価値”というのは今まで体験したことない未知のものである必要は実は無い。だって妻はその美容師さんの腕前や人柄を既に知っているし、僕だってウェールズの良さを知っている。毎度みんなボンジョビのライブに行くのだってボンジョビの音楽を聞いたことがあるしそれが素晴らしいものだと知っている、でも行く。
つまり、多くの人は既に知っているものの確認をしに行くのが好きなのだ。
・ここの〇〇がうまいんだよ、行こう!
・〇〇のこの曲が聞きたくて来たんだ!
・この雑誌でみた景色を生でみたくてさ!
こんな感じ、すでに食べたことがあっても聞いたことがあっても、見たことがあってももう一度見たかったり会いたかったり食べたかったりするからくる。
逆にこの物事の平均値が上がった世の中では未知のものよりも
素晴らしい事が分かっているものの方が選ばれる。
だってハズレがないわけだし。鬼滅の刃の映画だって何度も見に行く人が存在するわけ。
なので僕はYoutube Liveや17 Liveで練習も流してきたし、これまでの本番の演奏記録もYoutubeでいつでも誰でも聞いてもらえるようにアップした。
どのような結果が出るかもう少し経過を見てみるけれども良い悪いに関わらず自分の個性を好きになっていただける方々にお楽しみいただけたら幸いである。
まとめ
常識が変化してきているこの世の中で、僕たちが子供の頃にあったネタバレへの危機感と言うのはもはや必要はない。
世界の秘密もエンタメの裏側もググれば出てくるこの世の中で今だに何かを必死に隠していても仕方がない。全てさらけ出し、知ってもらい、見てくださる人々に友人のようになってもらった方がきっと全てはうまくいく
そう思うんだ。まずは引き続きやってみる。
Thank you
Kazz
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