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【雑記帳3】情報を確率分布として保持する

情報更新のサイクルとしてバスフィッシングを考えたとき,どのような形で情報を保持しておくのがよいでしょうか.例えば,1匹目の魚がシャローから釣れたとき,今日はシャローが釣れる日だ,と結論づけてしまっていいのでしょうか.

これは少し短絡的ですよね.青木大介さんもDVD「ライトリグ講座」や書籍「適材適所のルアーセレクト」の中でそのような決めつけは良くないと繰り返し述べています.この例で言うなら,1匹目の魚がシャローで釣れたからといって,ディープの可能性を捨ててはいけないということです.ただ,個人的にはこういう「〇〇するべからず」という,陥りやすいミスを指摘するタイプのアドバイスは,非常に役に立つ場合もある一方で,結局どうしたら良いのかわからなくなってしまう場合もあると思っています.

そこで,私はどんなことを意識しているかというと,情報を確率分布として保持することを心がけています.例えば,釣れる魚がシャローにいるかディープにいるかに関する情報を,自分の感覚で構わないので,シャローにいる確率が60%,ディープにいる確率が40%というような形で保持するということです.そして,もしシャローから1匹魚が釣れたら,この確率をシャロー80%,ディープ20%というように更新していきます.ややこしいと感じる方もいるかもしれませんが,私としては,漠然と「ディープの可能性も捨てずにおこう」と意識するより,「まだ20%ぐらいはディープの可能性もあるかもな」,「ほぼシャローで決まりとは思うけど,まだ5%ぐらいはディープの可能性もあるかもな」というような形で意識する方が釣り場から得られる情報の扱いがより明確になる気がしています.

ここでは話を簡単にするためにシャローかディープかという二択を例に挙げましたが,実際はもっと複雑に,シャローでも岸ベタベタなのか,ブレイクを上がったぐらいのところをフラフラしているのか,など様々な状況を想定して,それらの確率を何となく見積もって,更新していきます.状況が時間によって変化していくことも意識する必要があります.また,バスの居場所に関する情報だけでなく,有効なルアーに関する情報など,不確実性を伴う情報ならどんな情報でもこのようにいくつかの可能性とその確率を更新していくような保持の仕方を心がけています.

このようなことを考えるようになった背景としては,私が普段から仕事で統計学,特にベイズ統計学を使っているというのがあると思います.ベイズ統計学では,不確実な量を扱うとき,その確率分布を推定することがあるのです.ですので,このような考え方が私以外の方にとってどれほど馴染みがあり,役に立つのかはわかりません.ただ,少なくとも私としては,このような考え方をすることによって,様々な可能性を考慮しつつも,迷いなく釣りを進めていけるような気がしています.また,実際問題として,釣り場において確実な情報などほとんどないわけで,誰もが心の中では無意識のうちにこのような考え方をしているような気もします.

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