👤いきすぎた『義務感』は人を追い詰める。

人のために生きる。とても素晴らしいことだ。かくいう私も、人の笑顔や喜ぶ顔が好きだ。大好きな野球観戦に行って、応援している選手が活躍すると、自分のこと以上に嬉しくなる。

人の役に立ちたい。

長い人生の中で、誰かに自分を必要とされるのは嬉しい。それがモチベーションとなり、頑張る活力となる。いきすぎなければ、だ。

楽しいと思っていたことが突如苦しみに変わる。こんな経験はないだろうか。ある日突然虚無感に襲われ、やる気がなくなってしまう。エスカレートすると自分は何者なのだろうと、自身の存在にすら疑いが芽生える。

全ては勘違いなのに。

私はアマチュア野球が大好きだ。週末になるとどこかの球場にいる。かれこれ何年も、そのような生活だ。義務感という疑念を抱いたのは、SNSを始めたことにある。野球専用のアカウントを作成したのだ。

野球チームが公式アカウントを持つようになったのは、ここ最近である。それ以前は公式ホームページこそあったものの、速報にタイムラグがある。無料動画配信サービスなんて当然なく、リアルタイムの情報を手に入れるに困難を極めた。そこで私は思い付いたのだ。

そうだ、誰もやっていないのなら自分のために速報しよう。

手始めに大学野球のスタメンを載せるようにした。もちろん誰かのためにという意識はなく、あくまで備忘録だった。それが月日が経つうちに、どんどん反応が増えていった。

速報ありがとうございます。
ホームページより早く知れて嬉しいです。
いつも助かります。

このようなコメントをいただいたとき、人のためになっていると実感した。ただ、自分のための記録だったものが誰かの喜びに変わったのだ。これくらいであればよかったのに。

いつの日か、気持ちに変化が現れた。自分が速報をしなくては。誰かが待っているからやらなければ。自分の気持ちが暴走した。もともと、自分のための記録だったはず。感謝の意を受けて、徐々に勘違いをしていったのだ。自分は速報をするべき人間だと。そう、これが勘違いが引き起こした義務感だ。

誰にも頼まれてなんかいない。それでも、喜んでくれるだろう『誰か』を想像してやめられなかった。違う。喜ばれることで、自分の価値を見出していたのだ。勘違いを重ねた結果、次第に何のために野球に行っているのだろうと自分に疑問を抱いた。

野球が好きだから、野球に行っているのだろう。

全ての答えだった。何のためにやっているのだろう。本来、自分が楽しむために始めたものだ。誰のためでもない。それを勝手な義務感と自己顕示欲で自らを潰した。いきすぎた義務感は人を追い詰めるのだ。

写真一つとってもそうだ。もともと、自分が楽しいと思って撮ることを始めた。SNSに掲載することで、多くの人から感想をいただけるようになった。もっともっと良い写真をおさめたい。これくらいならばいい。向上心を持って生きることは素晴らしいから。しかし、人も喜ばれる写真を撮ろう。そのように思考が変わった途端、人によっては苦しみの扉を開くことになる。何のために撮っているのだろう。誰にも反応されなかったらどうしよう。常に人を気にしながら撮影に臨むことになる。これでは満足のいく作品は残せない。邪心が妨げるのだ。

書くことも同じだ。良いことを書いてやろうと考えた瞬間、何かがような気がする。そうじゃない。私は『自分が読みたいものを書く』のだ。万人受けを狙ったり、誰かの懐に潜り込もうとすればするほどうまくいかなくなる。何事もそう、誰かを気にするのではなく自分を軸に置いた方が幸せなのだ。

自分のためにやる。それがいずれ、誰かのためになる。

人のためになりたいと、優しい気持ちを抱く皆さん。自分のために生きて、自分のためにやるといい。私は自分を締め付けた勘違いと、自己顕示欲から解放したとき、面白いと思えるようになった。自分の心が満足しない限り、人を幸せにすることはできない。相手の幸福はまず自分から。だからこそ、今抱えているだろう『義務感』から解放しよう。SNSも写真も書くことも、ひいては野球も。全てにいえることだから。

好きと、楽しいという気持ちを大切に。

少しだけラクに生きるコツだと、私は断言する。