見出し画像

⚾お気に入り采配-腐るな選手たちよ-

色々な話を日々選手から聞く。

成功したこと、失敗したこと。
うれしかったこと、嫌だったこと。


その一つが指導者の『お気に入り采配』だ。


人間は難しい生き物だと、つくづく感じる。


指導者にも選手にも、それぞれ言い分がある。


どちらの意見も想像できるからこそ、安易なことはいえない。
それでもあえて伝えるならば、


絶対に腐るな。


きちんとやって、報われるかはわからない。
ただ、お粗末にやってきた人間は必ず落ちる。
怒りをコツコツ積み上げる力にかえてほしい。


指導者の肩をもつわけではないけれど、その人の『好み』があるのは間違いない。私にだってある。大型の右打者やひょうひょうと投げる左腕が好き。だから応援する選手も偏っている。人間なんてそんなもん。平等にみているようで、見きれていない。

試合にでられることだけを考えたら、指導者好みの選手になれ必要とされている技術を身に着けろというだろう。しかし、それだけで納得いかないのが人間。わかっている。だからこんなセリフ、直接伝えたりはしない。ただ、そういうときほど冷静に考えてほしい。


なぜ、自分が使ってもらえないのだろうか。
本当にその選手が『お気に入り』なだけなのだろうか。


いいたいことは十分わかっている。
あいつはお気に入り。何をやっても外されない。数字(結果)だって残していない。でも、お気に入りだから絶対に外されない。腹が立つ。


わかる。

わかる。

わかる。


ここで質問。
お気に入りって本当にいいものだろうか。
確かに試合には使ってもらえるかもしれない。
しかし、明らかに周囲と比較して実力が身に着いていないとしたらどうだろう。それはある意味で『晒しもの』になるのではないだろうか(結果が比例しない場合、その本人も苦しみを覚えることがあるはず)。

もう少し深堀りしてほしい。そのお気に入りは、本当に実力が伴っていないのだろうか。自分と比較して実際のところどうなのだろうか。

相手の悪いところだけ目につき、自分を客観視できていない可能性もある。そんな馬鹿なと思うかもしれないが、立ち返ってほしい。誰かに苛立ちを覚えるとき、自分が置き去りになっていることを。

負の気持ちを抱いたときこそ、自分に投資をする。


とにかくやるしかない。気合いだ根性だの話ではない。冷静に考え、行動を起こす。突発的なものではなく、自分に何が足らず、どうしたらいいのかを分析する。よく考えてほしい。相手に対して文句をいっても、野球がうまくなることはない。その時間を自分に向ける。必ずそれは実を結ぶ。


勝ちにいけとはいわない。
自分に負けないで。


人間は不完全だ。
大人になったってそうだ。

大人は全て正しくて完璧。

そんなの盲信だ。

だから判断を誤ることもあるだろう。
正しく評価されないこともあるだろう。

上に立つ者がそれではいけない。
そんなことは誰しもわかっている。

でも、人間である限り『間違い』はある。
矛盾だってある。

それらを受け入れて、なお、強く生きなければならない。


本当は今日明日で全て打破したい。
そうはいかない。だから辛い。


でも、それでもやり抜くんだよ。


やった先にしか結果は得られない。
どんなに長いトンネルだったとしても。

お気に入りという言葉に負けないで。


――――

社会に出たって同じようなことがある。

「なんであいつの査定が高いんだ」とか
「人事考課に異論がある」とか
「テキトーなあいつが昇進したのは意味が分からん」とか

似ている、非常に酷似している。わかる。

私だって『なんであの人が』と思うことがある。
それにはきちんと理由があることも理解している。
それでもなお、納得がいかない。


実際、私にだってある。

人を羨み、なんであいつばかりと思うこと。
今だってその感情がゼロになったわけではない。


思うだけでは変わらないこともわかっていた。


そう考えたとき、
最後行きつく先は『やるしかない』という気持ち。

相手を蹴落としたり振り落としたり、文句をいう暇があるなら、それらを全て自分を高める時間にかえる。

悔しい。
理不尽。
羨ましい。

負の感情が幸いにも原動力に繋がった。

あいつに負けたくないという思いが、いつしか『自分に負けたくない』に変化した。矢印が自分に向いた。

相手にごまをすったり、よく思われようと偽る必要は何一つなかった(要領が悪いので、そもそもそういうことができない性分でもあるが)。地道にやってきたことが、ある日評価された。

それが今、カメラマンとしてのキャリアに繋がっている。

物凄く長かったけれど。

やるしかないの一言にまとめちゃうんかい、といわれればそれまでだ。でも、実際そうなんだよ。愚痴や嫌なことはどんどんこぼしていいから、また頑張ろう。

絶対に腐るんじゃないよ。

なんの気休めにもならないけど、見てくれている人は必ずいる。

――――

さらなる余談。

お気に入り采配の話。
まぁ、選手に相談されたっていうのもあるけど、
自分の弟たちのことを振り返って思ったんだよね。
お気に入りとはまた違うんだけど。

私の弟たちは双子。顔も体型も瓜二つ。
二人とも野球をやってた。

大体話の予想はつくと思うけど、
A(左左)の方がレギュラーでB(右右)の方が控え。
ポジションは内野手。

BはAをみていつも羨ましがってた。
絶対になにがあっても試合に出られてたから。
両親は息子可愛さに(気持ちはわかるけど)
Bを不憫に思ってることは多々あったと思う。

でも鬼姉の私は「そうじゃないよ」と
両親にもよくいってた。

Aは声が出るしキャラ立ちもする。
試合に出るための準備は常にしていたし、
自分の力をどう生かすかもよく考えてた。

BはAと比較して声が出ない。
Aの後ろにいつもついていく引っ込み思案。
比較されたくないのであれば、Aに相当する力をつけること。
Aとは違う長所を生かして頑張るしかない。

瓜二つで似ているならば尚更。

私からいわせれば、左左でポジション限られるAが
どれだけ努力していたのか、というのは当時よくいってた。

なんてことを思い出した。
あの頃はとっても家庭内が大変だった。

ま、つまりやるしかないのよね。



いただいたサポートは野球の遠征費、カメラの維持費などに活用をさせていただきます。何を残せるか、私に何ができるかまだまだ模索中ですが、よろしくお願いします。