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📸私は石ころカメラマンー球場にいる全ての人がお客様だー

カメラマンとして仕事を請け負うようになって、半年以上の月日が経過しました。撮ることの楽しさ、面白さ、難しさを日々感じています。

現場に入るようになって、より一層大切にしようと決めたことがあります。それは『撮影マナー』です。私は常日頃、球場では石ころでありたいと思っています。

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きっかけは高校野球でした。忘れもしない高校生の頃の話です。夏の選手権神奈川大会を見に、朝早くから球場に並び、最前列を確保しました。熱い神奈川の夏をこの目で見ようと、心から楽しみにしていたのです。

試合が始まりしばらくすると、どこかのカメラマンが私の前にドシンと座りました。仕事で撮っているのだからいいだろうと言わんばかりの横柄な態度。せっかく早朝に並んでとった席なのに、視界が遮られました。

カメラマンは一、三塁を何度も行き来し、嫌というほど視界に入ります。うざったいなと思っていても、当時の私は「どいてください」といえませんでした。相手はプロなのだから、仕事なのだから、仕方がないと泣く泣く諦めました。

しかしそれは大きな誤りでした。仕事だから仕方がないのではない。むしろ仕事だからこそ、周囲に気を配る必要があります。自分がお金を頂いて撮るようになってわかりました。


球場にいる全ての人がお客様(になり得る存在)である。



私が撮る写真の主は野球です。雑誌に掲載されたり、卒業アルバムに使われたりします。球場に応援にきている保護者の皆さん、プレーする選手、そしてファンの方々。ひいては野球部の関係者の皆さんが、雑誌やアルバムを手にすることがあるかもしれません。広義的な意味で、立派なお客様です。

私はフリーのスポーツカメラマンの活動だけではなく、平日は会社員として働いています。この『誰もがお客様になり得る存在である』という考え方は、職場の上司から教わりました。どこにお客様が存在するかわからない。目の前にいる全ての人が、お客様になり得る存在である。その思考は撮影にとても役立っています。

野球場によりますが、カメラマン席のない球場も存在します。そうなると、試合のほとんどの時間をスタンドで過ごすことになります。趣味で撮影する場合、席を動くことはほとんどありませんが、仕事では事情は変わります。

様々なアングルから選手を撮る必要があるので、否が応でも座席を移動しなければなりません。そのときに心がけているのは、往来を最小限にとどめること。プレー中の移動を避け、攻守交替の際にさっと動くようにしています。私は石ころカメラマン。お客様の妨げにならないようにしたいのです。人を大切にすれば、やがて自分に返ってくるとも思っています。

プロだからこそ周りを見る。プロだからこそ優しい心を持つ。撮らなければならない、撮れていなければいけない。そのプレッシャーはありますが、同等に人を大事にしたい。そんなふうに考えています。私の思考が全て正しいとはいいませんが、傲慢な人間になりたくないのです。

もちろん趣味で撮影するときも、周囲への配慮は欠かしません。日頃の態度が仕事にもあらわれるからです。

高校生の頃に感じた違和感は間違っていませんでした。撮る側になった今、どんなときも謙虚な姿勢をもって、物事に向き合っていきたいです。態度の悪いカメラマンの撮った写真なんて、誰も見たくないですから。

人の見本になれるような人間ではありませんが、常に人の前に出て恥ずかしくない人間でありたいと考えています。これからも真っ直ぐ、石ころカメラマンを貫きます。

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