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「ずうっ〜と始まってね!」 【子どものことば】

「ずうっ〜と始まってね!」


いつものように、仕事でお子さんと遊んだときのお話。

「じゃあ、また来週ね〜バイバーイ」子どもの帰り際、声掛けするとそのお子さんがこういうのです。

ほのぼのした感じではあったのですが、動きが一瞬止まり、皆の頭から一様に「?」マークがでていました。

私はすかさず「オッケー!ずうっと始まっとくね!」と返します。

ご家族は「ちゃうやろ〜」と笑いながら話していましたが、エレベーターに乗り込む二人を見送りながら私は「いいなぁ」と思いました。

こんな風に子どものことばは、試行錯誤の真っ最中。

そして、そのときの、子どもの物事の認知の仕方や捉え方、思考の仕方を示している場合が多いように思います。

特に、まだ言語機能が発達途中である子どもの「ことば」は用心深く聞いていると、おもしろいなぁと思うことが良くあります。

どんな風に彼は物事を捉えているのかな。

まず、ずうっと始まるってどういうことだろう。
言葉というか、イメージが湧かないので、分析してみます。


ずっと=永続的に(続く)
始まっとく=開始する
てね=希望・要望


始まるということは、終わりがあるということ。

一連の行動が終了することで、次の行動が始まる。
彼の中で、一連の行動が終了することはないのだろうか。
確かに、活動ごとの切れ目はない。動きっぱなしである。

ソビエト(ロシアの前身)の心理学者にルリアという人物がいます。
行動の調整機能の話の中で、開始機能、停止機能について話をしてくれています。

「開始があるためには、停止がなくてはいけない」という内容です。
人はリアルタイムで生きているので、いつが行動の開始か、停止かなんて、実際ははっきり決められないのだけれど。(ひよこが先か、たまごが先かみたいな話)

行動にメリハリのない子どもたちは、かなりの割合で、停止がつくれない子が多いです。うごきっぱなし。

そんな子どもは、運動面でもアクセル(開始機能)踏みっぱなし。ブレーキ機能(停止機能)に問題があることが多く、保護者からの主訴では行動が荒い。力加減が聞きにくい。感情のコントロールが苦手、手が出る。等々様々なエピソードをお聞きします。

治療としては、身体面でのブレーキの効かせ方を学んで貰えるように遊びを展開していきます。身体のブレーキを働かせるために必要な腹筋群の働きを高めるような遊びを展開します。

シンプルに「待つ」ということを遊びの中で楽しく知ってもらうということも重用なポイントです。

実際に、身体のブレーキ機能が働き始めると、主訴であった行動面でのまとまりに欠けるというような部分や、相手にちょっとやさしくなったというようなエピソードをきかせてもらうことも多いです。

そして、行動が変わるとともに言葉が変わることもよくあります。それが面白い。

ぜひ、用心深く子どものことばに耳を傾けてみてください。子どもの頭の中がのぞけるかもしれません。そんなお話でした。

あなたのワクワクが満たされますように。

では、また明日。


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