文系or物理苦手でも電験三種に独学で合格する方法をどこよりも詳しく解説します。
はじめに
文系で物理がとーーーーーーっても苦手な私が辛酸を舐めながら足掛け2年で電験三種の試験に合格しました。全て独学です。この文章は、文系、物理が苦手、数学が苦手、電気未経験だけれども、電験三種の資格を取得したい!という人に向けて書いています。文系でも、物理苦手でも、やり方次第で電験三種に合格できます!バリバリの理系の方や、物理が得意な方にはあまり役に立たない内容かもしれません。
筆者のスペック紹介
アラフォー女。関東在住。国立大学卒。
日々、未就学児を含む2人の子育てに追われている。仕事は電気とはあまり関係のない職場。残業はなく定時で帰れる職場ではあるが、社会人としてフルタイムで働きながら、子育てもしながらの勉強生活。時間がないことを言い訳にしてはいけません!
学生時代は、暗記は得意なので英語・国語・社会などの成績は良かったものの、数学と物理が苦手であった。
数学に関しては、中学レベルの数学は完璧だが、高校レベルとなると…という状態。高校時代はセンター試験のために文系ながら数学も捨てずに真面目に勉強していたものの、センター数ⅡBで30点という悲惨な点数を叩き出し、数学にはいつも泣かされてきた人生。数学に対しては苦手意識がある上に良い思い出は全くないものの、数学自体は嫌いではなく、むしろ好き。でも苦手。
物理に関しては、大の苦手。高校入学後、物理という科目のあまりの分からなさに衝撃を受ける。「私が真面目に努力しても全く分からない学問というのがこの世にあるんだ…」と思った。高1でサッサと諦め、もちろんその後一切触れることはなかった。少しは理解できた数学とは違い、物理は大嫌い。電気関係で知っていることは、中学時代に習ったオームの法則(電圧=電流×抵抗)のみ。もちろんオームの法則も直流回路しか分からない状態からの学習スタート。交流回路って何だ!?
学習を進めるにあたって絶対に必要なもの
・時間
・インターネット視聴環境
・過去問(私はみんなが欲しかった!シリーズを使っていました。)
・参考書(私はみんなが欲しかった!シリーズを使っていました。)
・問題集(私の場合、理論は絶対必要だった。理論以外は不要だった。)
・折れない心
インターネット視聴環境
これは私達のような物理苦手民にとっては絶対に必要です。
なぜかというと、通常、何らかの目標に向かってある程度の量を学習する際は、参考書を読む→問題集で簡単な問題を解く→過去問で応用問題を解く というようなステップを踏むことが一般的だと思います。特に今までそれなりに勉強してきた人にとっては、その流れでいけると思いますよね???
ところがどっこい、その流れだと電験三種は行き詰まるんだなァー!!!
まず、参考書を読んでも理解できないし、参考書を読みながら問題集の問題を読んでも解けない。いかにも簡単そうに書いてある初歩的な問題すら解けない、という事態に陥って絶望します。
私達は参考書を何度も読む程度では目に見えない電気の世界なんて分かりっこないのです。動画に頼りましょう。
自分が理解しやすい動画なら何でも良いですが、私はこちらの電験合格先生の動画がオススメです。
私も最初は半信半疑だったのですが、Youtubeコメント欄に大量の合格者の喜びの声があるのを見つけまして、信じてみようと思い、電験合格先生についていくことにして、結果、合格を手にしました。マジで、神。
結果的にYoutubeを2,3回視聴した程度では全然分からず、10周目ぐらいになってやっと分かるようになってきて、問題集が解けるようになりました。慣れてきたら倍速で再生するのがオススメです。
私は参考書の内容をある程度理解し、問題集を進めることができるようになるまで約1年かかりました。1年ほど来る日も来る日も動画視聴をしてやっと、一般的にイメージする紙と鉛筆を使った「勉強」が開始できたのです。それまではスタート地点にも立てませんでした。電気の世界観を何となく理解してからはスイスイと学習が進み、その後1年ほど、合計2年かかって合格できました。
折れない心
何を言っているんだコイツは、と思われるかもしれませんが、折れない心というのは私達が合格するためには絶対に必要になってきます。物理が苦手な人間にとって、電験三種は、いくら勉強しても最初はなかなか結果が出ません。そこで諦めないことが何より大切です。気長に淡々と学習を繰り返すことが重要です。低姿勢で自分に期待しないことです。自分への期待が高いと、「何でこんなに簡単そうな問題も解けないんだろう?」と惨めな気持ちになります。「そりゃ私なんかがすぐに解けるよーにはならないよなーガハハ!」ぐらいに思ってた方が精神衛生上良いです。間違えたものの途中まで解答できていた時は、間違えた自分に焦点を当てるのではなく、途中までできた自分に焦点を当てて、自分自身を褒めてあげましょう。昨日の自分より今日の自分が少しでも前進していればそれでいいではありませんか。私達のような者にとって、電気の世界はとにかく世界観を掴むのが難しいです。
次のグラフを見て下さい。
物理や数学が得意な理系の人の電験三種の学習時間と理解度のイメージをグラフにしてみました。こんな感じです。学習時間に理解度が比例していると思います。私たち文系人間が英語や日本史を勉強する時も同じくこんな感じのグラフになると思います。
で、私たち物理苦手な文系受験者は、苦手科目とはいえども電験三種も以下のようなグラフで学習が進むと思いがちなんですね。
これは間違いです。こうはならない。学習時間と理解度は全く比例しません。正しくは以下のようなグラフで学習が進みます。
B地点に到達するまではどれだけ勉強しても電気の世界はほとんど理解できません。B地点に到達すると突然、それまでとは比較にならない勢いで理解が進むようになります。B地点を超えるまでにとても時間がかかるので、多くの文系物理苦手民はA地点で電験三種を断念してしまうことが多いと思われます。
以上のことは物理や数学といった理系科目の特性なのか、それとも人間が苦手なことをやろうとした時の特性なのかは分かりません。言いたいことはただ一つ、全然分からないからと言って諦めないことです。そのうち分かる時がきます。めっちゃ時間かかるけど。
受験戦略
機械が一番難しいって本当?
勉強順については巷で散々言われているように、理論→(電力&機械)→法規の順番が良いです。これは絶対に守って下さい。電力と機械はお好みでどちらが先でも良いでしょう。
難易度については、一般的には、機械>理論>電力>法規 と言われていますが、私はこれは間違っていると思います。
私たちのような電気未経験者にとっての4科目の難易度は、
前提知識が何もない状態で最初に勉強する理論>>>(超えられない壁)>>>理論をある程度理解した上で臨む機械>>>>電力>法規 です。
よく、機械が一番難しいと言われているので、「せっかく理論と電力と法規と受かっても機械受からなかったら時間が無駄じゃん」と思う人が多いと思うのですが、理論に受かるほどのレベルになっていたら機械は十分手が届きます。安心して下さい。まずは、理論の科目合格を目指しましょう。理論が受かればあとは勉強時間さえ確保できるなら受かります。
CBTのすすめ
電験三種は現在、筆記試験とCBT試験のどちらかが選べるようになっていますが、私はテストセンターでのCBT受験を強く勧めます!科目ごとに別日で受けられるのが最大のメリットです。同じ日に複数科目受けると、科目と科目の間の休憩時間にテキストを開いたりするような時間はありませんので注意して下さい。
さすがに一発合格は量、質ともに厳しいと思いますので、オススメのスケジュールは以下の通りです。テストセンターまでの交通費はかかりますが、CBT試験だと筆記試験よりも会場の選択肢も多いので家の近くの会場を選びやすいのではないでしょうか。
例:上期
7月6日 理論
7月30日 電力 機械 法規 (機械と法規は捨てる)
下期
2月5日 機械
2月25日 法規
一科目ずつ受けて2回で4科目合格を目指すイメージ
CBT試験の内容については言えませんが、筆記試験と違って得点調整はありません。ということは、難問・奇問を出しすぎた場合、合格基準点を下げることはできないということです。ということは…ゴニョゴニョ あとは言えませんので想像して下さい。
過去問の答えは全て暗記しろ、たとえそれが計算問題であっても
突然ですが、こちらの経済産業省のスライドを見て下さい。
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/hoan_seido/pdf/008_02_00.pdf
様々な要因により電気保安業界の人材不足が加速していくことが示されており、日本国としては、「安易にレベルを下げるわけにはいかないが、電験三種の合格者を増やしたい」と考えていることは明らかです。
以前は電験三種といえば、過去問や、過去問の数字を変えただけの問題がなかなか出ず、ありとあらゆる角度から「電気の世界の本質を問う」初見の問題ばかり出る、難しい資格試験でした。それが、ここ数年、電験三種は明らかに易化しており、過去問が出る割合が増えています。また、過去問が再度使用される場合、選択肢の順番や、計算問題の数値も全く変更されずに使用されています。答えさえ丸暗記してしまえば、こっちのものなのです。ハッキリ言ってこのような状況はどうかと思いますが、電気保安業界の人材不足を鑑みると仕方ないのでしょうか…。一般財団法人電気技術者試験センターさん、計算問題の数字ぐらい変えたらいいのに。
物理苦手な私たちからすれば、過去問の答えを丸暗記することで合格率が大幅に上がるまたとない機会が転がっています!過去問の答えは最低でも10年分は丸暗記してから試験に臨みましょう。私は最終的には、既知の問題(過去問)であれば計算問題であろうと問題文を一切読まなくても5つの選択肢を見れば正解の肢が選べるほどまでになりました!(笑)
過去問丸暗記+初見の問題もある程度解けるレベルの実力をつけることで、合格が手に届くようになっています。
また、このような傾向が続くのであれば、中学数学も覚束ないレベルの数学力(算数力?)の人間でも、暗記が得意で20年分の過去問を丸暗記できる場合、電気を一切理解せずとも受かってしまうのではないでしょうか?
ところで、過去問を暗記するメリットは以下2つです。
①正答率が上がり、合格率が上がる
②時間短縮に繋がる
①は、まぁ想像通りでしょう。意外と見落としてはならないメリットが②です。特に計算問題で、過去問を丸暗記していると、(計算しなくて良いので)、解答時間を大幅に短縮することができます。その分、他の問題に時間をかけることができるわけです。
どこまでの理解を目指すのか
全部はとても理解できない、どこまでなら捨てても良いの?
私達のような物理苦手民にとって、電験三種に出てくる全ての分野を完璧に理解する、というのはまず不可能です。60点取れればいいのですから、全てを理解するのは諦めましょう。でもだからといって、分野ごとまるまる捨ててしまうのはオススメしません。どんな分野の問題でも、簡単な問題もあれば難しい問題もあるからです。苦手な分野でも最低限簡単な問題は解けるようにしておいて、難しい問題は捨ててしまう、ぐらいがちょうど良いかと思います。
私の場合、電気の初歩中の初歩なのですが、理論で出てくるキルヒホッフの法則がめちゃめちゃ苦手で、キルヒホッフを利用する難しい問題はいつもダメだなーって思ってました。機械で出てくる同期機のベクトル計算も、ごく簡単なものを除いて、解答を見れば何となく理解できるものの、自分ではほとんど解けませんでした。電磁誘導と静電誘導はどっちがどっちだか最後まで理解しきれませんでした(注:名前が似てるだけで全然違う現象です)。記号法もかなり苦手で、簡単な問題で、明らかに記号法の利用を勧めてくる問題は解けるのですが、そうではない問題では、「記号法を使って解いたらいいんだ!」と閃くことはついぞありませんでした。
出題者の心理を読もう
電験三種では、出題者の心理を読むことで正解に近付けたり、正解を選べる問題が多数あります。知識問題だけでなく、計算問題ですら、出題者の心理を読んで選択肢を選ぶことで、難しい計算をせずに解けるのです。そのようなテクニックを惜しみなく紹介します。
1、2が答えになる確率の高い問題形式と、4,5が答えになる確率の高い問題形式
ここで問題作成者の心理を考えてみましょう。通常、回答者は選択肢を1から順に検討します。1が正解の肢だった場合、すぐに解答されてしまいます。ですから、1は正解にしにくい。だからといって一番最後に検討する(=時間をかけさせることのできる)5ばかり正解にするわけにもいきません。この世に存在するあらゆる5択の試験の正答肢の確率は、1→14~17%程度、2~5→20~23%程度となっています。1が正解である確率は他より少し低いものの、それでも結構1も出る、といった感じです。
出題者は、試験で回答時間をかけさせてタイムアウトで撃沈させ、レベルの低い受験者を振るい落とさなければならない、という使命があります。この出題者の心理を逆手に取ると、「1から順に選択肢検討していくタイプの問題は5や4を正解にして時間をかけさせ、そうではないタイプの問題で1や2を正解にして全体の正解肢のバラつきをならす」というバイアスがかかります。
こちらはそれを逆手に取りましょう。明らかに「1」が出る確率が高い問題のタイプがあります。過去問でいうと、理論R2問11、法規R5上期問6、機械H26問3、のような問題です。分かりやすく言うとこんな感じの問題。私は、「多問多答式問題」と呼んでいます。
このような出題形式の場合、明らかに(1)の正答率が高くなります。もちろん実力で解いてほしいのですが、解けない場合は(1)を選んでおきましょう。
なぜ(1)が多くなるかというと、このような出題形式の場合、通常、回答者は(1)から(5)まで一つずつ選択肢を検討する、ということはしません。(ア)の答えは〇〇、(イ)の答えは〇〇、………(オ)の答えは〇〇、というのを選んだ後、それに合致する選択肢を(1)~(5)の中から選択する、という回答プロセスになります。ということは、(1)と(5)の選択肢にかける回答時間が同じなんですね。(5)を正答にするメリットが薄い問題と言えるでしょう。理解できましたか?
では次に、(5)や(4)が正答である確率の高い問題を紹介します。私は、「全肢検討必須問題」と呼んでいます。
例えば機械のこの問題。(機械R3問14) 「全肢検討必須問題」です。
私ほどのレベルになれば、この問題は、問題文と選択肢を見て問題パターンを理解した瞬間に、計算しなくても、正答は80%の確率で(5)、19%の確率で(4)、1%の確率で(3)だと予想できます。仮に計算してみて、答えが(1)であった場合、はっきり言って不安になってしまうような問題です。
この問題は、難易度は高くありませんが、選択肢の(1)~(5)まで全てをそれぞれ計算しないといけない、「めんどくさい」「手間がかかる」問題です。通常、回答者は(1)から順番に検討します。(1)で正解が見つかった場合、(2)~(5)に時間をかけてくれるということがありません。このような問題の場合、出題者は「時間をかけさせるために」、(5)や(4)を正解にすることが多いです。解けない時、時間のない時はとりあえず(5)を選ぶべき問題です。
上記のほかにも、傾向としては、「短文の論説問題」「簡単な知識問題」は(1)や(2)が正解の確率が高く、「長文の論説問題」「難しい知識問題」は(4)や(5)が正解である確率が高いです。もちろん実力で解けるのが一番ですが、最後の最後、迷ったら参考にして下さい。合否を分けるかもしれません。
最後にあまり正答に偏りのない問題形式を載せておきます。
(例)
a-b間の電圧(V)はいくらか答えよ。
(1) 1
(2) 2
(3) 3
(4) 4
(5) 5
上記のような問題形式の場合、一つの計算をして、その結果を(1)~(5)から選ぶだけなので、正答に偏りはありません。正答は(1)~(5)まで満遍なく散らばっており、テクニックに頼ってはいけない、実力で解く必要のある問題です。
仲間外れの選択肢は除外して良いが、全て多数派の選択肢が正解とは限らない
もう一度、先ほど例に出した多問多答式問題を例に説明します。
皆さんご存知だとは思いますが、このような選択肢が並んでいる場合、(4)が正解である確率は非常に低いです。真っ先に(4)は除外します。なぜなら、(ア)の選択肢で(4)のみ仲間外れだからです。(1)と(2)は10が共通、(3)と(5)は20が共通ですが、(4)のみ仲間がいません。このような場合、(4)は不正解である確率が高いです。
「多数派」が多い選択肢は正解か?
また次の例を出します。先ほどの問題とは少し選択肢の内容を変えています。
よくある受験テクニックとして、「多数派」が多い選択肢が正解、というものがあります。この場合、(ア)の多数派は20、(イ)の多数派は500、(ウ)の多数派は3、(エ)の多数派はf、(オ)の多数派はsなので、それらの多数派全てを満たす(4)を選ぶと正解、というテクニックですね。過去問を丹念に調べてデータを取りましたが、このテクニックは電験にはあまり使えません。出題者側がテクニックを使ってくる回答者の存在に気付いてるんだと思います。もちろん多数派が多い選択肢が正解の時もありますが、その確率は20~30%程度。自信を持って選べるほどではありませんので、そのテクニックは参考にせず、普通に問題を解くようにしましょう。
計算問題が解けなくても、諦めるな。選択肢同士を比較しろ。
こちらの問題を見て下さい。機械H23問4の問題です。こちらの問題、難易度は普通となっておりますが、本番で初見でこの問題が出たら、私は多分解けません(涙)。しかし、正解を選べる自信はあります。(キリッ)
どういうことでしょうか?
この問題、「三相」で「端子間電圧」(=線間電圧)を聞いています。三相交流では、「相電圧」と「線間電圧」がありますが、それをごっちゃにしてしまったり、うっかり間違えてしまう回答者が多いのです。「線間電圧」は「相電圧」の√3倍です。その√3倍を忘れてしまう回答者がいるのです。その誤答を誘うような選択肢が用意されているものが正解であると、逆説的に考えることができます。
選択肢は以下の通り。
(1) 300 (2)335 (3) 475 (4) 581 (5) 735
まずは選択肢同士を比較しましょう。
低い方から、√3をかけてみます。
300×√3=520
335×√3=580
475×√3=822
(2)の選択肢に√3をかけると、ほぼ(4)の選択肢と一致します。
というわけで、(2)の選択肢は線間電圧を相電圧と勘違いしたうっかりさんをヒッカケるための誤答であり、(4)が正解であると予想することができます。
Q.E.D.
どうですか?ひどいですか? 問題は解けませんが正解を選ぶことには成功しました。
3倍するのを忘れる人がいる
理論H20問15です。こちらの(b)問題を見て下さい。三相交流の電力を問う問題です。三相交流の電力Pは、「三相」あるので、最後に3倍しないといけない、というのがポイントなのですが、焦っている回答者はその「最後に3倍する」というのを忘れてしまうことがあります。その3倍を忘れたおマヌケな回答者を引っかける誤答が用意されている選択肢が正解なのです。
選択肢は、
(1) 2.4 (2) 3.1 (3) 4.0 (4) 9.3 (5) 10.9
とあります。
選択肢同士を比較しましょう。
低い方から、3をかけてみます。
2.4×3=7.2
3.1×3=9.3
4.0×3=12.0
(2)の選択肢に3をかけると、(4)になることが分かりました。
∴正解は(4)です。
Q.E.D.
どうです?セコいでしょう?
この問題はあまり難しくありませんから、私も普通に解けますし、解けて当然の問題だと思いますが、もし本番焦ってしまったり、時間が無くて解けなかったら…試す価値はあるはずです。
1/2を忘れる人がいる
次の問題に行きましょう。
理論H14問9です。
この問題は電気に不慣れな人だと結構難しいと思います。私も受験時は実力で何とか解けるレベルに達していたと思いますが、今となってはチンプンカンプンです。おそらく今解いても解けないんじゃないかな。でも正答は選べます。選択肢は以下の通り。
(1) 2.50 (2) 3.75 (3) 7.50 (4) 11.25 (5) 13.33
静電エネルギーの公式は、(1/2)×QVまたは(1/2)×CV^2 です。
電験三種に挑戦する人なら必ず覚えているであろう基本的な公式です。
ところが、この1/2をうっかり忘れてしまう人がいます。
その1/2を忘れてしまった人用のダミー選択肢のある選択肢が正答というわけです。
選択肢同士を比較しましょう。
2.5×2=5.0
3.75×2=7.5
7.50×2=15.0
(2)が正解で、(3)は1/2を忘れた人用のダミー選択肢であるということが予測できます。
正解は(2)です。
どうですか?狡いでしょうか?
効率がからむ問題も最後%の処理を忘れる人がいる
次の問題に行きましょう。
機械H15問11です。
鋳鋼を溶解させるのに必要な電力を求める問題です。最後に効率を考えるのを忘れる人がいます。選択肢を見てみましょう。
(1) 444 (2)536 (3) 555 (4) 694 (5) 2900
電気炉の効率が80%しかないので、当初用意した電力の80%しか、最終的な溶解には使えないということです。つまり電力が多めに必要なのです。計算し出てきた答えを最後、0.8で割る必要があるのです。選択肢同士を小さい方から比較しましょう。
444÷0.8=555
536÷0.8=670
555÷0.8=694
694÷0.8=868
(1)を0.8で割れば(3)になり、(3)を0.8で割れば(4)になります。
正解は(4)です。なぜでしょうか?
効率はかけるのか割るのかが難しい。計算式の立て方によってかけたりも割ったりもします。というわけで、間違って0.8をかけてしまったオッチョコチョイ用の選択肢を用意する必要があるのです。それが(1)です。
間違って0.8をかけてしまった人用の誤答(1)、効率の処理を忘れてしまった人用の誤答(3)、そしてきちんと0.8で割る処理をした正答が(4)となります。
もう一つ、問題を見てみましょう。
機械R1H11です。
電動機出力値が一定で、それによって動かす「かごの速度」を求める問題です。
ここでも効率がポイントです。機械効率は70%とのこと。
電動機の出力のうち、70%しか、かごを動かす力にはならないということです。最後に0.7をかける人ことを忘れる人が出てきそうな問題です。
選択肢を見てみましょう。
(1) 54 (2) 94 (3) 126 (4)180 (5) 377
数値の高い方から、0.7をかけてみます。
377×0.7=264
180×0.7=126
126×0.7=88
94×0.7=66
(4)に0.7をかけると(3)となることから、(3)が正解で、(4)が効率をかけることを忘れた人用のダミー選択肢となります。
復水器冷却水の温度上昇の値は決まっている
次の問題に行きましょう。
電力R1問15(b)です。
電力(火力分野)の問題です。復水器冷却水の温度上昇を問う問題です。復水器冷却水による温度上昇は、生態系の影響を考えて、7より小さくしないといけないと決まっています。7以下で最も7に近い値が正解となります。このことを知っていればこれは計算せずとも即答できます。
短絡比は1.1~1.2
次の問題に行きます。どれも短絡比を問う問題です。
同期発電機の短絡比は、実際には1より小さいこともあり得るそうなのですが、電験三種の問題では、短絡比が1.1~1.2になる問題しか出題されません。しかも、その条件に合致する選択肢は1つしかないことが多いです。このような問題が出たら計算せずとも瞬殺できます。
法規の風圧荷重は9~12Nがほとんど
次の問題にいきましょう。
法規で出てくる風圧荷重を問う計算問題です。
風圧荷重の問題は、正解が9~12Nの間に収まることがほとんどで、大きくても16N程度です。4や25といった数字が正解となることはまずありませんので、本番中、解けなければ参考にして下さい。ただし、風圧荷重の問題は頻出な上、比較的簡単な問題が多いので、合格を目指すならば実力で確実に解けるようにしておいた方が良いです。
以上、文系の物理苦手な人間が電験三種に合格するにあたって重要な点や意外なテクニックを余すところなくお伝えしました!いかがでしたでしょうか?これ以上、セコイ、小賢しい、狡猾な電験三種対策記事はないと自負しております。このnoteを利用して、多くの方が諦めずに電験三種に合格したら嬉しいです。
今後、もし人気が出たら記事を有料化するかもしれませんが、ひとまず無料で全出ししました。禁無断転載です。記事を気に入って頂ければカンパお願いします↓↓特に有用なことは書いておりません。
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