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(本)定時制高校の存在意義
昨夜は映画を楽しみましたが、今朝本を1冊読み終えたので、今日はその本の感想をお伝えします。
今回読んだ本は伊与原新さんの「宙(そら)わたる教室」
2023年10月20日に、文藝春秋から288ページの単行本として発売されています。
簡単なあらすじは、
東京・新宿にある都立高校の定時制。そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。負のスパイラルから抜け出せない21歳の岳人。子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。起立性調節障害で不登校になり、定時制に進学した佳純。中学を出てすぐ東京で集団就職した70代の長嶺。「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、学会で発表することを目標に、「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。
本作品は青少年読書感想文コンクール課題図書〈第70回 高等学校の部〉に選ばれています。
私の母校、そして仕事してからも勤務した高校に定時制も、通信制もありました。自分が全日制で通学していた頃は、学校祭くらいしか認識がありませんでしたが、職員として勤務し、定時制の事務担当になって、その存在意義を知るようになりました。
私が勤務していた頃でも、定時制も通信制も70代のそれこそこの作品に登場する長嶺のような境遇で、高校生活と卒業証書を目的とされた学生と、事情があって10代で母親になった女性が乳飲み子を連れて通学していたり、中学卒業後すぐに自衛隊に入隊、昼は訓練し、夜高校卒業の免状を取るため通学する隊員たちに、若き私も大いに刺激をもらったものです。
著者によるあとがきで実在する定時制高校で科学部を結成、実績を上げてJAXAにも協力している例があると書かれていて、私が人づてに聞いていた不登校の生徒の行き場というだけでないと嬉しくなりました。
そういえば不登校の生徒たちが集まる特別支援学校に勤務した時、彼らにも得意なことが必ずあり、そこを伸ばす教育をされていました。
「いい思い出なんか1個もなくても、引きこもっていた時期があったとしてもさ、学校に行きたいって気持ちはきっと、なかなかゼロにはなんねーんだよ」岳人は前を見つめたまま言った。「不思議なところだよな、学校って」
皆さんにとって、学校はどんな場所だったでしょうか?
この作品は読書感想文の課題図書ですが、読書感想文に捉われることなく、若い方に読んでいただけると嬉しい作品だと思いました。
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