That summer feeling!
※このnoteはインスタグラムにアップしたカクテル解説になっています。
そこそこ久しぶりのカクテルnote。
今回はそんなにマイナーでもないけどそんなにメジャーでもない、いちばん微妙なポジションと言える立ち位置にある(と、勝手に思っている)カクテルのひとつ、”Spring Feeling”のツイスト。
シャルトリューズ好きな方はご存知でしょうけどね。とりあえずオリジナルレシピ。
ジンのボタニックさ、それをさらに複雑かつふくよかに奥行きを出す薬草酒ならではの香味とレモンの心地よい酸味。そしてややハイプルーフのキックは春の訪れを感じさせるのと同時に「いつまで寝てんだよ!」と冬眠からムリヤリ叩き起こされる感がある。
春は「春眠暁を覚えず」で、微睡みながらのそのそ這い出るタイプ。こういう起こされ方は好みではないけれど、カクテルとしては好みの1杯です。
ちなみにサヴォイカクテルブックに収録されている。しかもジンはプリマス指定で。
つまり、よりハイプルーフということだからなかなか強烈な起こし方だ。
よほど寝起き悪いのをイメージしたのか、そもそも考案者の性格が悪いのか。
まあ与太話はここまでにしよう。
ツイストとなる”That summer feeling!”は「ヴェールでなにか」というオーダーを受けて咄嗟に作ったものが土台になっている。
こちらもとりあえずレシピ。
今回も購入しさえすれば作ることのできる構成でまとめた。
メゾン ルータンのキューカンバーシロップとBirdy.デキャンタは持っていないかもしれないなあ。
まずキューカンバーシロップと聞くとイロモノに思われる方もいるかと思うけど、どっこい使い道はかなりある。
ローズウォーターにドライのジュニパーで合わせれば某クラフトジンオマージュのノンアルコールができるし、メロンやスイカの合わせには書くまでもなくチカラを発揮する。シンプルにソーダで合わせるだけでも愉しめる。よくできたシロップだと思う。
ちなみにフランス本国だとここはエントリークラスのメーカーらしい事を某リキュールメーカーの人間(フランス人)から聞いた。
ならばハイクラスのシロップメーカーはどういうレベルなのかとても気になる。
Birdy.デキャンタはけっこう楽しいアイテム。もし購入迷われていたらぜひオススメしたい。
シェイカーともミキシンググラスとも違う仕上がりになるので表現幅が広がります。
さて、あまり必要ない着想の話を最後に。
きっかけは前述した通り。その時、「夏なのに春をそのまま作るのはセンスねぇな。捻ろう」とレモンをライムに、甘味の輪郭を描くのに塩を入れて作ったのが元となっている。
変更の理由はライムの方が酸味にエッジがあるし、感覚的にもより夏感が出る気がするから。
塩はアドリブ時と同様の理由から。
土台もあるしすぐに完成するだろうと試作を始めたら予想以上に手がかかった。
原因はフレッシュミントで香りを出すということに拘泥し過ぎたためですね。
試行錯誤はしたけれど、けっきょく諦めた。
素材は適材適所。フレッシュ主体で作るものに加工ものを添加するのは邪道、みたいな思考で自分を縛るのは止めた方がいいと改めて痛感。
“使えるものは使う。 ただし、過不足なく効果的に”
ということを再確認、意識して取り掛かったら完成に漕ぎ着けることができた。
この、ある種の呪いみたいな話はまた別に書けそうだ。
その他パーツや工程についての話は長くなるので省略。気になる方には来店時にでもお話するとしましょうか。いないと思うけど。
ところで。
このネーミングにもし「あれ?」と引っかかった方がいたら、これは間違いなくひと晩飲み明かせる。
おそらく同世代で「あの界隈」で楽しんでいた人だろうから。
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