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Boston Tea Party

※このnoteは当店のInstagramにアップしたカクテル解説になっています。

久しぶりのカクテルnote。
飽きて放り出していたわけではなく、これを作るのに手こずっておりました。

さて、このタイトルでピンとくる方は歴史好きな方かと思います。
そう、ボストン茶会事件(1773)がコンセプト。
この事件をざっくり書くと、アメリカにおけるイギリス・東インド会社の紅茶葉販売独占権と関税の実質的免除に対して、現地(アメリカ)の反対急進派が抗議表明としてボストン湾に停泊中の船舶から積荷の茶箱全てを海へ投棄した事件。
”Tea Party”なんて言葉から想像されるような、穏やかでも和やかなものでもないです。
なにしろ「事件」だしね。
これは独立戦争の着火点とも言える、アメリカの大きなターニングポイントとなった出来事(この当時、アメリカはイギリスの植民地でした。書く必要もないかと思いますが)。
アメリカ=コーヒーの図式もここに由来すると聞いた覚えもあります。

というわけで今回のメインはcoffee×Teaの香味。
考えるより先に手こずりそうなイメージはあったけど予想通り。いや、それ以上だった。
コーヒーと紅茶の香気成分に関する資料やら手持ちのそれ系の本を当たってネットも渉猟、過去に誰か作っていないかも探した…って、この先は興味ない人にはどうでもいい話ばかりになるからとりあえずレシピいきましょうか。

Boston Tea Party
<swirling or throwing or build / balloon glass>
ティーリキュール 2tsp
コニャック 25ml
紅茶 10ml
水 10ml
コーヒーウォッカ 1tsp
※ 香りを立たせるため適温でサーブ
※ swirlingの場合はBIRDY.デキャンタ使用

はい、戻ります。
けっきょく資料その他はあまり役に立たず、論より実践という結果に。
しかしこうやってレシピ書き出すと全く苦労の跡がないな…ま、そんなもんか。
今回は同業及び関係諸氏より試作段階からけっこう反応いただいた上、ヒントやご提案も頂戴しました。皆さまありがとうございました。

コニャックをベースに組み立てて、そこに紅茶とコーヒーのニュアンスを添えるデザイン。
このカクテルで一番いい仕事しているの、実は水。
コニャックと水の相性の悪さったらないんだけど、これはティーリキュール&紅茶とコーヒーウォッカの香りを開かせる媒介役。
コニャックはかなり注意深く取らないと存在感薄いのがとても悔しい。隠し味ってポジションとなってしまった。25ml使ってるのに。
原因はやっぱりティーリキュールとコーヒーウォッカの強さ故ですね。もうちょっと詰めればより良いスウィートスポットがあるのかも知れないけど僕の技術と知識と発想力ではこれが今の限界。
この後も詰めて進化させたいと思いますが、これがなかなか。

ところで、これはかなりブレというか遊びのある1杯じゃないかと思う。
紅茶はどこの何を使うか、どれくらいの濃度で抽出するか、コーヒーウォッカは(もし作るなら)産地やロースター、焙煎の浅深で香味はかなり変わるなどもそうだし、抽出にかける時間やどの役割を担わせるかにも依る。
作り手の好みによって幅が出そうな面白さがあります。誰かが作ってくれたのを飲んでみたい。

これもインスパイア元ネタがあるので、次のnoteははそちらを書こうかな、と。
では、次回。


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