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上田焚火
2018年3月12日 18:12
(あらすじ) 夫は無類のアップルパイ好き。それはどうやら、昔の彼女に訳があるようで...アップルパイと初恋をめぐる小さな物語。**『アップルパイ』 上田焚火 **「あなたって、どうしてそんなにアップルパイが好きなの?」妻にそう言われて、確かにそうだ、と私は思った。その日は誕生日で、目の前にはショートケーキじゃなくて、アップルパイがあった。銀色のアルミの皿に入っているホールのア
ayumu aizawa
2016年9月20日 20:06
子ぐま社の面接で言われた。基本的に子ぐましか募集していないんです。わたしはくいさがった。詩だけでもみていただけませんか。数日後、採用の通知が届いた。短い文が添えてあった。「あなたは子ぐまではありませんが、あなたの子ぐま的な部分にとても期待しています。」 #短編 #小説 #おはなし
2016年9月5日 21:21
ウサギはクルマを運転しながら、大声で歌っていた。ウサギにはわかっていた。もっと丁寧に一歩ずつカメのように生きれば上手くいくって。だけど、とウサギは思った。そんな風に生きたら、おれのこのバネのような後ろ脚はなにをキックすればいいんだ? #短編 #小説 #おはなし
2016年8月20日 04:11
木立ちの足元に、無数の小さなピアノが生えていた。秋になるとピアノは収穫され、都会の市場へ。町の花屋がピアノを仕入れ、鉢植えにして店頭に並べた。孤独な男がピアノの鉢植えを買い、部屋のテーブルに飾り、夜、少し、弾いた。 #短編 #おはなし #小説
2016年8月12日 04:07
北の果てのある村では、ひとは歳月で歳をとらず、なにか大事なものを失った時に歳をとる。その時、白い花とキャロットケーキでお祝いするのが習慣。なにかを失ったひとは、口数が減って、いいうたがうたえるようになる。だからお祝いする。 #短編 #小説 #おはなし
2016年5月12日 16:11
15年後の今日、バラデロで。その日、僕たち5人はトウキョウで、そう約束して別れた。僕たちが決めたことは3つ。これからの15年を、使い尽くすこと。その間、いっさい連絡をとらないこと。そして、15年目の今日、世界で一番美しいといわれる全長25キロにわたるキューバのビーチ、バラデロに集合し、カリブ海の風が吹き抜けるビーチに面した旧デュポン邸で思いっきり冷えたモヒートを飲む