教員の精神疾患による休職・離職の問題

以前学校では残業代はでないよという話をしました。
https://note.com/banbirokon/n/ne873471a4c18

残業代が出ないにもかかわらず、定時以降に部活動の顧問や、モンスターペアレントの対応、子どもたちの生徒指導と明らかに大変な仕事です。
筆者の大学院時代の知り合いに精神疾患で退職をした、教員の方がいました。本人は自分の能力がなかったことと、よい教育をしようとして、慢性的な残業があったとこ、同僚の先生とトラブルを抱えていたことをあっさり話していましたが、中々辛い体験談であったとおもいます。

少しこの統計をご覧ください。

文科省の公立学校教職員の人事行政状況調査から作成されたものです。
毎年全教員のうちの、0.6%が精神疾患による病気で休職しています。
別の病気とかではなく、精神疾患だけで、毎年5000人もの教師が休職しているのは、驚くべきことです。

他の業種で行くと、平成29年の労働安全衛生調査(事業所調査)の結果では、前年1年間(平成28年 11 月1日~平成29年10月31日)に、メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者の割合は0.4%、退職した労働者の割合は 0.3%となっていることからも教員の精神疾患での休職は多いことがわかります。

なぜ休職をするのでしょうか?退職にはならないのでしょうか?
今回は教員の精神疾患に絞って、書いていきたいと思います。

教員の退職率

平成 28 年度 地方公務員の退職状況等調査|総務省によると
教員の離職率は「0.7%」であり、他業種と比較しても全然高くありません。

他業種は当然差が激しいですが、厚生労働省の「平成 29 年上半期雇用動向調査結果の概況」によると平成29年度上半期の離職率平均は全体で8.5%です。

この比較を見ると、教員の離職率は相当に低いと言えるでしょう。

では、精神疾患の休職はなぜ多いのでしょうか?

精神疾患と休職

では学校種別に休職を見てみましょう。

この図は、精神疾患が病気休職の、かなりの部分を占めていることを表しています。
また、小中高で大きな差はありません。

度重なる、よくわからない教育改革、現場から出されたわけではなく、理解が浸透される前に、始まってしまい現場が混乱します。
ゆとり教育や、プログラミング教育は必要か必要でないかという議論よりも先に、とりあえず現場に投げられてしまって、より疲弊していってしまったようにもみえます。

教職員同士の関係トラブルや、調査やアンケート、授業以外の業務、生徒指導や、教育改革に部活動など、先生や各学校の状況によって違うと思いますが、現場の先生が疲弊する状況はたくさんあります。

「教員文化の再生産」という言葉にもあるように、学校の先生になる人は、学校の中で適応できた人が多いと言われています。
つまり、真面目な人や、子どもにとって良い場所を作りたいと思っている人も数多くいるということでしょう。

そういう人も多いので、安易に離職という手を取らないので休職するのかもしれません。

まとめ

教員の精神疾患による休職率は高く、離職率は他の職業に比べると低い傾向にあります。
憧れて、教員になった人も多いため、劣悪な環境でも安易に辞めることができない、そんな構図があるのかもしれません。

子どもにとって良い教育となるためにも、先生の余裕というのは必要なのではないでしょうか。

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