男友達以上ソウルメイト未満
私とあいつの間に、特別なものが何もないって言ったら、
たしかに嘘になる。
でもそれは、
好きとか、愛しているとか、友達以上恋人未満とか、セフレとか、
そんなものじゃ、決してない。
言葉にするとしたら
「同じ」としか言いようがない。
本当に似ていて、だからこそ響き合えて、一緒にいたくて、
でもこれが愛に変わることは決してない。
同じだから、聞いてほしくて、そばにいたら楽で、
言葉にしなくても闇が共有できて、
だからお互いものすごい結びつきで共感し合える。
だけど私は、彼を愛せない。
そして彼も、私を愛せない。
ビジュアルがタイプじゃないとか、こういうところが嫌いとか、
そういうんじゃない。
むしろ全部好き。
でもそれは、
恋人にしたいという意味の好きでも、
友情としての好きでも、ない。
誰でも自分が好きだけど、愛せないと思う。
「愛する」ってゆうのは、そのままを認めるってことだから。
だから誰でも
自分をどれだけ大好き(ナルチシズム)でも
自分を愛すること(自己受容)はなかなかできない。
彼を好きなのは、自分を好きなのと同じ感情。
彼を愛することは、自分を愛するのと同じくらい難しいこと。
たぶんみんな一度は、
自分がもう一人いて、何でも聞いてくれて、
何でも共感してくれて、何でも認めてくれて、
何を言っても引かない存在になってほしい、と思ったことがあると思う。
でももしそうなった時、
とても満たされるし、そいつに会いたくなるし、
そいつをきっと、とても好きになると思うけど、
自分を認めて愛せない限り、
もう一人の自分を、絶対に愛すことはできない。
自分にとって嫌で認めたくない、
目を背けたい闇の部分が
「ソウルメイト」とか「運命の人」とかとしか
言いようがないほど共鳴する人がいた時、
きっとそいつは
他の誰より特別な存在になるだろうけど、
自分を認めて愛すことができない限り
そいつを愛することも
それ以上の関係になることを望むことも
ないのだと思う。
24歳/新卒2年目の会社員/エッセイスト,コラムニスト/早稲田大学文化構想学部卒業/趣味は美少女鑑賞です