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生きてるだけで100点満点


家族と一緒に過ごすことができるって、毎日が奇跡の連続なんだと思う。


僕は今回のことで、それを痛感した。

頭ではわかってるけど、どこかに甘えがある。人間ってそういうものだから、この気持ちを忘れないようにここに綴っておこうと思う。


1.第二子

3月、赤ちゃんがママのお腹にいることがわかった。

とても嬉しかったし、家族を今以上に大切にしていきたいという気持ちも高まった。一歳半だった娘も、おそらくなんとなくではあるが、何かが変わったことに気づいていたと思う。

6月には男の子であることがわかった。一姫二太郎だ。性別に特別なこだわりがあるわけではないが、ちょっと嬉しかった。

すべてがトントン拍子で進んでいるように思えた。


2.窮地

夏休みには森のソラニワに行った。去年も今年もソラニワを満喫した。ママも出産前に来ることができて、コロナ禍だけど、やりたいことはやりきったって感じだった。
このまま、里帰りして出産にそなえよう。そのはずだった。


8月の終わり。切迫早産のリスクが高いことが判明する。予定日は11月。第一子の時もそうだったが、それ以上にまずい状態だった。ママは医師から即入院を勧められるが、一週間後にまた検査をして、その結果を受けて入院するかどうかを決めることにした。でも、一週間後に今以上に状況が良くなることはないとわかっていた。その一週間は、心の準備期間だった。

コロナ禍の今は、入院したら面会禁止。荷物を届ける時も看護師さんを通じてで、徹底されていた。外部の人を入れないという安心感と同時に、私たち家族にとっての絶望感でもあった。

僕は日中仕事だから、娘を妻の実家に預けることになる。家からは車で3時間。

つまり、ママの入院は、2か月以上家族が離ればなれになることを意味していた。


3.決断

その日、これから出産までについて考えた。妻の実家に2か月以上娘を預けるのは、実家といえども勇気がいる。自分の実家であっても、ママはママであるがゆえにより強くそう思っていた。入院となると、10月の娘の誕生日も一緒に祝えない。正直、僕らからすると酷な選択だ。

妻のお母さんにお願いしてこっちに来てもらって過ごすことはできないか。やっぱり、一週間後に娘と離れてママは入院、娘は実家に、僕はそのままここで過ごすことを選択するべきなのか。悩んだが後者にした。



しかし、翌日。

お腹の張りがこれまで以上にママの胸を苦しめたんだと思う。

昨日の検査でも、自分が感じない張りも含めると相当な状態であることを告げられていたようだ。

「娘をすぐに実家に預けて、再検査をする」とママは決断した。

その日は家族3人で過ごす最後の夜になった。3か月後、新しい家族を迎え入れてまた同じように過ごせる日までしばしのお別れだ。久しぶりに3人でお風呂にも入った。一つ一つをかみしめるように過ごした。時間が止まればいいと本気で思った。


4.感謝

幸い、妻のお母さん、お姉さん、姪でこっちに来てくれて、娘を預かる準備をすぐに進めてくれた。そっちにも家族の都合や仕事の都合があっただろうに、こっちを優先してくれたんだと思う。本当にありがたいし、落ち着いたらいろんな形で恩返ししたい。

検査から2日後の夜、にぎやかに過ごした。お姉さんから娘におもちゃのアンパンマンアイスセットをプレゼントでもらった。喜びようはすごかった!

無邪気な娘の笑顔が切ない。

時間はあっという間に過ぎて朝になる。


朝、みんなに「行ってきまーす」と言って見送られるときは、ちょっと辛かった。帰るころにはもう誰もいない。ドアを閉めた瞬間にこみ上げそうになる涙をこらえ、アパートの階段を降りながら笑顔を作った。


その日の昼、再検査の結果、やっぱり入院になったとLINEが来ていた。

ママは、みんなに見送られるときに号泣してしまったらしい。それにつられて娘も泣いていたようだ。娘は、言葉は満足に喋れないけど、人の感情を読み取ったり、共感したりすることが得意だから、きっとこれが何を意味するのか大体わかっている。

その様子が目に浮かぶ。想像しただけで泣けてくる。

これも、私たち家族にとっての試練だ。


そんな中でも、強くありがたいと感じたことは、快く協力してくれた人がいたこと。そして、何よりもママと娘に対してだった。



5.命とは

新しい命を前に、こういう決断は必要だ。

命とはかけがえのない存在だ。家族で過ごせる時間にも価値があることを今回あらためて知ったけど、「命」の誕生には、この世の中に存在する言葉で表せないものがある。


いつか今回のことを家族4人で温かい気持ちで話し合える日が来ると思う。その時には、娘も息子も一緒に笑ってすごせる家族でいたい。


そして、二人ともパパとママとその周りの人たちが強く強く望んで生まれてきたんだってことをちゃんと伝えたいと思う。


こういう経験をしている人って、きっと自分が思っているよりたくさんいるんだと思う。世の中にはもっともっと壮絶なこともある。

それでも、前を見て生きることができる人間って本当にすごいなぁと思うし、そうでありたいと強く思う。

だから、僕は僕にできることを全うして過ごしていく。



6.生きてるだけで100点満点

子どもが生まれるって本当に奇跡だ。

さらに、何年も、何十年も生きることができるって奇跡中の奇跡なんじゃないかと思う。


出産で「母子ともに無事」って、とてつもなくすごいことだと第一子の出産に立ち会って感じた。
人生で初めて自分が泣いていることに気付かずに泣いていた。

ママの偉大さと自分の無力さも知った。そこから、パパにできることを必死で模索するようになって今の在り方にたどりついた。


僕は、人間らしく笑って泣いてみんなと助け合って生きていけたらそれで十分だって思っていたけれど、今回さらに価値観がちょっと変わる気がする。


無事に生まれてきてくれて、そして産んでくれて、本当に本当にありがとう。

あれができない、これができないだなんて、全然大したことじゃない。

できないなら、いずれできるようになればいいし、できなくったって別にいい。


あなたがあなたとして生きているだけで100点満点。今はそう思う。






家族で過ごせる日々って、本当に素晴らしいことなんだと、これを見返した時に改めて気付いてほしい。
これは、いつかの自分のために書いているつもりだけど、もしこの記事をここまで読んでくれた方がいるなら、自分の家族との過ごし方について、ほんの少しだけでいいので、改めて考えていただければと思います。

玄関を出るとき「行ってきます」って言える日が待ち遠しい。

そして、その一回一回に心の底から笑顔と感謝の気持ちを込めて言える僕になりたい。









小学校教師、パパとしての立場から発信し続けていきます!これからもよろしくお願いします!