小学校高学年女子⑤
自分の中で勝手にシリーズ化されているこの「小学校高学年女子」ネタですが、今日はその保護者とやり取りについて簡単に述べたいと思います。
「女子ってめんどくせー!笑」からこそ、友達との関係がこじれたときの対応がカギになります。グループ内のバランスがくずれ、指導が一層難しくなり困ってしまうということが何度もありました。また、そういった現場を目撃したことも何度もあります。一度地雷を踏んでしまうと、その修復にはかなりの時間を要することとなり、1年間では修復できないケーズもあるものです。
ですが、よく考えると一番困っているのは、間違いなく「本人」です。そして、たいていの場合、次に困っているのはご家族であり「お母さん」である場合がほとんどです。そんな構造の中で教師には一体何ができるのでしょうか。
「事実確認とビジョンの共有」
指導ではなく、まずはコレです。友達関係でこじれた場合も、いじめの指導の第一歩も、全ては正確な事実確認が必須です。本人の気持ちを聞くことはもちろん重要ですが、それだけで即指導とはなりません。グループ内での出来事には、教師に見えていないことの方が圧倒的に多いので、たった一つの出来事をきっかけに介入しだすと、99%詰みます。
ですが、ここに小学校高学年女子グループ指導の難しさがあります。
例えば、4人グループに属するAさん。「ちょっと最近みんなが冷たい」と相談に来た子がいるとします。「そうかぁ。なんかあった?」と聞くと、「この前の祭りの時に…、他にもさっきの授業の時に…」という話を聞かせてくれます。たしかに、その事実はあると思いますし、本人が困っているのは事実です。だから、まずは寄り添って話を聞くこと。これが一歩目だと思います。
ですが、グループの中で誰かが(大げさに言えば)冷たい扱いを受けるということは、あって当たり前ではないでしょうか。その時その時で、関係性は刻々と変化していきます。もしかすると、以前は同グループのBさんが同じように感じていたかもしれません。CさんもDさんも同様に感じていたことがあるかもしれません。もちろん、「あの子をハズしてやろう」などと意図しているわけではないのだと思います。重要なのは、人間が集団を作る以上、そう感じる時がおとずれるということです。となれば、「みんな一緒に」が重視される女子グループの中で、そこまでコトが深刻でない日常のアレコレに対して、Aさんが「教師という権力」を利用して解決しようとしてしまうと、場合によっては掟を破ることになっていまい、グループ内に温度差が生まれる原因になったり、ヒエラルキーが生じる可能性を生んでしまったりするわけです。
では、何もできないのかというと、もちろんそうではありません。
前述した通り、「寄り添う」ことが基本になります。その上で、「本人がこの先どうしたいのか」をしっかり確認し、事実をみんなで確認していくことになったり、話し合いを設定したり…というビジョンを共有しなくてはいけません。話し合いの中で、予期せぬ一言が飛び出してグループ崩壊なんてこともありえます。だからこそ、彼女たち一人ひとりの思いを聞いた上で、どんな方向に向かっていきたいのかを個別に確認し、そして話し合いを重ね、わだかまりを少しずつほどいていきます。(大人への根回しの方が圧倒的に楽!笑)
その後、観察しながら適度にちゃちゃ入れしていくことも大切なフォローです。教師としては、そこまで終えて一件落着というかんじでしょうか。(彼女たちにとってグループに属する以上終わりはないですけどね!)
お母さん
本人と同じくらい困っているのは、お母さんです。まず、前提としてお母さんは偉大です。これについては、詳しく述べると記事数本分になってしまいますので、割愛させてください。
そんなお母さんが待つご家庭での会話。娘の表情が晴れないのに、晩御飯がおいしいわけがありません。必ずアプローチしなくてはならないのです。となると、電話or家庭訪問。この時絶対にしてはいけないのは、事実だけを話すこと、そして困りましたねぇと愚痴をこぼすことです。現場の様子がわからないご家庭に、そんな無責任な話をするくらいなら、関わらない方がマシとすら思います。必ず、教師側でどのような対応をしていくのか、そして可能であれば、娘さんはいつも学校でこんなことを頑張っています!というエピソードをつけ加えて伝えることを基本にしています。可能な限り「誠実」な自分で、「誠実さ」を感じてもらえるようにします。その結果、どう受け止められるかはわかりませんが、自分にできることはお母さんの不安を少しでも取り除くためのアプローチだけです。
その結果、また同じメンバーと上手くいくこともあれば、トラブルをきっかけに友達が変わることもあります。どうなったとしても、きちんと娘の思いを尊重して対応してもらえた!というお母さんの気持ちが、ご家庭での明るい会話へとつながっていくはずです。そして、学校に対するプラスイメージがあれば、子どもは今後もどんどん成長していくことでしょう。
まとめ
めんどくさーい女子へのめんどくさーい対応について書いてきました。みんな一生懸命生きていて、一人ひとりに正義があるので、上手くいかないことがあって当然です。思春期の女子の正義は、本当にわからないものですから、うまくいくかどうかではなく、「みんながみんなを理解し合えるか」「納得できるか」を考えながら、話を進めていくのが大切なのではないかなと思います。
そして、きっとこういういざこざで苦労し、理解して、納得して進めた人だからこそ、人としての器が大きくなっていくのだと思います。
もし、今苦労していたとしても、その先に大きな幸せがありますようにと願って。
終わり。
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