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【オリジナル小説】俺の名は。 3話


2話はこちら



以下本編


「あれ、俺の家ってどこだっけ。。」

今日の朝は里中が迎えにきてマンションの地下駐車場から乗った。
車は当然窓に黒いシートが貼ってあって外が全然見えなかった。


当然、入れ替わった時もいきなりヨシタクの家にいたため
どこだか全然分からない。


ただ、わかるのは窓から見たあの東京を見下ろせる高さ。

里中に「俺の住所なんだっけ?」って聞こうとも思ったが、
自分の家の住所を
忘れるなんてありえないし変に心配されそうだったのでやめた。

とにかく持っていた携帯の地図アプリで探してみた。
しかし、ここは東京だ。
そんな高さのマンションなんていくらでもある。


辺りも暗くなってきた。
途方にくれてホテルでも泊まるかと思った時


1件のLINEが入った。


名前は「かんちゃん」で登録されている。
トーク履歴もなく顔写真も貼ってないためだれか分からない。

「今日久しぶりにどこかで1杯やらないか?」そんな内容だった。
とりあえず家もわからないし、俺はOKし
待ち合わせ場所に向かった。

早く着いたため、コンビニに入り
カードでお金を下ろすことにした。

当然の如く、4桁のパスワードを求められた。
しかしすんなりと入力して金額選択画面へ。

ヨシタクはよほど忘れっぽい正確なのか
スマホのメモ帳に様々なパスワードが丁寧に記載されていた。

とはいえ、何か見た目はヨシタクだが中身は俺のため
悪いことをしている気分になった。
人のカードでお金を下ろしている感覚だ。

とりあえず5万円引き出した。
念の為ご利用明細書を発行してみた。

すると残高の欄には見たこともない数字が並んでいる。
「やっぱヨシタクレベルになると全てが桁違いだな」

それを見た俺は追加で20万円くらい引き出してみた。
電流は流れない。どうやらこの程度のお金なら使っても問題ないらしい。


そんな事をしていると待ち合わせの時間になった。
俺は指定された料亭へと向かった。

店に入るとそこは完全個室の広々とした畳の部屋だった。
「すげーテレビでしか見たことないよこんなの。。。」


どう座ったら良いか分からずソワソワしていると
「遅れて悪かったね」と襖を開けて1人の男性が入ってきた。


俺は再び驚いた。

「かんちゃんって、、、
神崎 守 首相じゃねーか・・・・」

そう、そこにいたのは日本の今の首相 神崎だった。


俺はヨシタクの人脈に度肝を抜かれた。
話を聞いていると、神崎の娘がヨシタクのファンで
いつしか神崎もヨシタクのドラマにハマってファンになったらしい。
そして、2年ほど前から交流があるんだとか。


とにかく、どうゆう言葉遣いで話せば良いか分からず
俺は神崎の政治の話にひたすら相槌を打つことしかできなかった。


正直つまらない。

でも今の日本の首相と話せる機会なんてまぁないと思い
言葉遣いに気をつけながら色々と話をしてみた。


その中で一つ気になる点があった。
最近、都内で謎の死が多いらしい。

しかも死因のほとんどが感電死だという。
「まさか・・・」とは思ったが
詳しく話を聞くとその疑問は確信に変わった。

「どうやら、俺とヨシタクのような現象は他の人でも起きてるんだ。」
「そして、恐らくスマートウォッチが0になると皆感電死させられるんだろうと。」

俺は筆談でなら、もしかして総理に話ができるかと思って
iPhoneのメモ帳に、「実は俺、見た目はヨシタクだけど中身は普通のサラリーマンなんです」と
入力し、その画面を神崎に見せた。


すると、神崎はそれを見て爆笑している。
理由は分からなかったが電流は流れず、伝えることができた。

そう思って再度、iPhoneに文字を入力しようと思い自分の方に画面を戻した。
すると、その画面にはさっき記入したメモではなく
俺のiPhoneに入っていた某女優とキス写真が写っていた。

神崎は「吉岡君も結構遊んでるんだねぇ。大丈夫誰にも言わないから」と
笑いながら話してきた。


違うんです。見せたいのはこれじゃないです
とメモ帳を再度開くと、先程入力した文字は消えており
それとは別に「次やったら電流です。」という表記に変わっていた。

俺はスマホとスマートウォッチが連動していることに気づいた。
そして、そうこうしている間に時間となり神崎は高級車の後部座席に乗り込み
その場を後にした。

俺もお店を出て、近くのホテルに泊まることにした。
チェックインをしてベットに横になった。

テレビをつけてニュースを見てみたり、ネットニュースを見てみても
神崎の言っていた感電死の記事は一切出てこない。

仮に入れ変わっていることを誰かに伝えられたとしても
きっとそんな映画みたいな話、誰も信じてくれないだろう・・・

俺はこのままヨシタクとして一生過ごしていくのかな・・・
息子に会いたいなぁと。そんな事を思いながら眠りについた。

次の日、携帯の着信で目が覚めた。

里中だった。

電話に出ると、「吉岡さん、家にいないじゃないですか。今日はコンサートですよ!
早く会場まで来てくださいね!!」と相変わらず忙しそうだ。

コンサートってなんだ。

俺はヨシタクのウィキペディアを見てみた。
するとどうやら、俳優をやる一方で俺はソロシンガーとしても昨年活動をしているらしい。


歌に興味のない俺は全く知らなかった。
頭の中のモヤモヤを残したまま、俺はタクシーで向かおうとホテルを出た。

すると、俺めがけて数十人が駆け寄ってくる。
またファンかと思ったがおっさんばっかりだし明らかにファンとは違う。

「週刊誌 芸能ワイドスキャンダルですけど、ドラマで共演している女優の澤山めるさんとお付き合いしてるんでしょうか?」
「詳しく聞かせてください」

週刊誌の記者達だった。
あっという間に取り囲まれて、めるとの事を聞かれる。
どうやら、こないだめるが家に来た事が週刊誌にバレたらしい。

俺は別に隠すことでもないし
「実はそうなんですよ〜」と言おうとした。
しかし、その瞬間久しぶりに電流が流れた。

俺がめると付き合っている事発表するのが何で禁止事項になってるんだよ。。。と思ったが
電流はもう勘弁なので、とりあえず「澤山さんとは共演してお家に遊びに来てもらったこともありますが
料理をしただけで仲の良い友人の1人です。」
「それ以上のことは本当になにもありません。」とだけ記者に告げて足早にタクシーに乗り込んだ。


コンサート会場に着くと、すぐに里中がやってきた。
「ちょっと、澤山さんの件で週刊誌に突撃されたそうじゃないですか。あれだけ気をつけてくださいと言っておいたのに。。」
里中は俺とめるの事を知っていたらしい。
ちゃんと友人だって説明しておいた事を伝えた。

「とりあえず、変なこと言わなくてよかったです。
下手に交際宣言なんてしちゃうと、今のドラマがドラマじゃなくなるし
スポンサー様からは怒られるし澤山さんの事務所からもめちゃくちゃ怒られるしで大変なんですから。」と。

なるほど。芸能人同士の付き合いってのは
色々とスポンサーが絡むのか。。ましてや俺には女性ファンが多いし、めるには男性ファンが多いから
恋愛スキャンダルはご法度ってわけか。

面倒くさいな芸能人は。


色々あったが、俺はライブのリハーサルを終えた。

やっぱり仕事の事は口も体も勝手に動く。とりあえず乗り越えれそうだ。
そして迎えたライブ本番。

会場には数万人という人が俺のために集まっている。
ステージからそのファンを見下ろして歌うというのは
相当快感だった。気持ちぃ〜〜俺はヨシタクを満喫した。


最後の曲を歌い終わり
花道を歩きながらファンのみんなに手を降った。

結構俺と同い年ぐらいの人もいるんだなぁ〜と思いながら手を降っていると
遠くにまた見慣れた顔を見つけた

「嫁だ。しかも隣には息子も。」
俺は思いっきり嫁に向かって手を降った

名前を呼んであげたかったが間違いなく電流が来るだろうからやめた。
嫁も俺が手を降っているのをみて息子を抱きかかえながら手をふる。


すっごい嬉しそうだった。

ってかヨシタクの事ライブ行く程に好きだったんかい。と
ちょっと嫉妬した。

今お前が手を降っているのは俺で、旦那だと思っているのがヨシタクなんだけどな。

どうやら、嫁は何も気づいていないっぽい。

流石はヨシタク。見事に俺を演じているんだな。


そう思いながらライブは無事に終了した。


楽屋に戻り着替えを済まし、俺は里中に送ってもらい1日振りに家に戻ってきた。
すぐさま、iPhoneの地図アプリで今いる場所を自宅として登録した。

部屋に戻りソファーに横になった。
ヨシタクとめるが付き合っているかも知れないという記事が明日には出る。

嫁はショックを受けるだろうな。。。
俺だってめるちゃんがヨシタクと付き合ってるのはショックだったんだから。


そう思いながら今日の事を振り返っていた。

しかし、前回俺が家に行った時よりも明らかに嫁との距離が近かったのに
今日は電流すら流れなかったな。

もしかしたら、俺から近づくんじゃなくて嫁から近づいてくる分には
問題ないのかも知れない。


そう思った俺は嫁と接触するためにはどうすれば良いか一晩中考えた。

いつの間にか眠ってしまっていた。

続く

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