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【オリジナル小説】タバコやめたら?



「タバコやめたら?」


私は友人、恋人、同僚からこの言葉を何回聞いただろう。


20歳になった時に、興味本位で始めたタバコ。

知らぬ間にタバコ無しでは生きていけない体になっていた。

現代は健康に気をつける人や、周りへの副流煙の問題
それから、オリンピックが開催されることから
喫煙者は肩身の狭い思いをしている。

いつからだろうか。
タバコミュニケーションと言って
喫煙所で話す同僚としか会話しなくなったのは。
友人も自然とタバコを吸う人だけを選んで会うようになっていた。
彼女はタバコは吸わないのでデートの時に喫煙所に行く度、毎回寂しい思いをさせてしまっている。

昔は居酒屋でタバコを吸いながら楽しくお酒を飲めた。

今は楽しい空間からわざわざ少し離れ、寒空の下
盛り上がっているみんなを見ながら1人タバコを吸っている。


正直、法改正で室内原則禁煙になってから多くの友人がタバコを辞めた。
会う度に、タバコやめてよかった話をされ
あんなに吸ってたくせに目の前で吸うと煙たがられる。

私はそのタイミングを逃した。
意思が弱いからじゃない。辞めないという意思が強いのだ。

ある日、いつものように最寄り駅の近くでタバコを吸っていた私の目の前に
1人の女性が現れた。

「すいません、火貸してもらっていいですか?」と声をかけられた。

驚きながら私は持っていたライターを手渡した。

誰もいない狭い喫煙所で二人。
沈黙に耐えきれず声をかけた。
「珍しいですね。今どき女性でタバコ吸ってるなんて。」

失礼な事聞いちゃったかなと思ったが

彼女は空を見上げながらつぶやいた。
「ですよね〜辞めたいとは思ってるんですけど どうしても辞めれなくて。」

そんな些細な話から、少し雑談をした。
どうやら彼女は「絵里」といい、外回りをする営業の仕事をしているらしい。

私が同じ営業職だったこともあり意気投合した。
まぁ未だにタバコを吸っているということが一番大きかった。

私は持っていた自分のライターにその場で電話番号を書き込み
「よかったらこれ使ってください」とライターを渡し仕事へと向かった。


彼女がいながら何をしているんだと、反省もしたが
3日経っても連絡はなかった。

休日のある日、彼女が遊びに来ることになっていたため駅まで迎えに行くことにした。
早く着いてしまったため、いつもの喫煙所へと向かった。

すると、そこには絵里がいた。

「あれ?こないだの!」私に気づいた絵里は笑顔で話しかけてきた。
「こないだはライターありがとうございました。電話したんですけど繋がらなくてお礼ができてなかったのでまた会えてよかったです!」

そうゆうことか。
どうやら私は電話番号を書き間違えてたらしい。

絵里は「今度お礼にお食事とかどうですか?」と誘ってきた。
私は彼女がいるので断ろうとしたのだが立て続けに
「私、タバコが吸えるところ知ってるんです!!」と。

何。。


東京はどこもタバコが吸えなくなったはずだ。
居酒屋でタバコを吸いながらお酒を飲んだ事なんてもう数年はない。
1回行って場所だけは確認したい。。。
その思いが強くなり誘いを快諾して、連絡先を交換した。

「やっぱりここにいたんだ〜」と彼女が喫煙所まで入ってきた。
彼女は絵里を見ると、「ねぇ誰?」と私に聞いてきた。

とっさに嘘をつこうとしたが、それよりも先に絵里が
「私、タバコの販売をしてまして、
今お兄さんにQRのクーポンを差し上げたところなんですよ!
では私、次の仕事がありますので失礼します。」
そう言って喫煙所を出ていった。

私は追加された絵里のLINEにありがとうスタンプを送った。


その日の夜は彼女とホテルで過ごした。

彼女はすでに眠っている。
当然、ホテルも禁煙のため私は仕方なく
ベランダに出てビールの缶を灰皿代わりにして
タバコを吸っていた。

しばらくすると携帯が鳴った。
絵里からだ。

「明日の夜とかどうですか??」

私も早くタバコの吸える
居酒屋を知りたいと思っていたので当然OKした。

寝ている彼女をガラス窓越しに見ながら、
明日1回だけ会って場所を確認しよう。

場所さえわかればその後からは彼女と行こうと。
そう決めた。

次の日、私は指定された待ち合わせ場所に向かった。
改札を出ると、絵里が待っていた。

そして、一緒に話しながら歩く事10分。

「ここです」と言われて顔を上げた。
ん?私は理解できなかった。

目の前に広がっていたのは大きなマンションだったのだ。

「マンションの1室でやっているバーみたいなとこなのだろうか」

戸惑うまま、エレベーターに乗り15階まで進む。
絵里はドアを開けた。

「タバコを吸える所って私の家なの。」


そうゆうことか。俺はようやく理解した。

確かにお店とは言ってなかったので絵里が嘘をついていた訳じゃない。
私が勝手に居酒屋だと解釈しただけだ。

帰ろうかとも思ったが、
部屋には既に食事やお酒、もちろん灰皿も並べてあったため
私は今日だけ付き合うことにした。

お酒も入り、私はしっかりと彼女が居る事を伝え
もう今後は家には来れないと伝えた。

絵里は黙ってうなずいた。
気まずくなりタバコを手に取ろうとしたその時だった。
急にお酒がまわったのかフラついて目の前が真っ暗になった。

次の日、差し込む朝日によって私は目を覚ました。
隣では絵里が寝ていた。そして絵里も私も裸だった。
二日酔いで痛い頭を叩きながら起き上がり
「やっちまった〜」とつぶやいた。

時計を見るともう6時を過ぎている。
今日は会社に行かないと行けなかったので急いで服を着て
絵里の家を後にした。

何とか会社に間に合いようやく携帯を見た。
すると彼女から5件以上も不在着信が入っていた。

すぐに折り返した。
彼女が電話に出た瞬間、「ごめん。ほんとにごめん。」と謝った。

彼女は「なに?どうしたの?」と理解できていない。続けて、
「昨日、夜電話するって言ってたのに寝てたんでしょ?それはしょうがないよ。また今度ね。じゃあ仕事だからまたね。」
そう言って電話は切れた。

てっきり浮気がバレたと思って冷や汗が出たがどうやらバレてないようだ。
電話する約束なんてしたかなという疑問は残っていたが、とりあえずホッとした。もう2度と会わない。そう決めた。

絵里の連絡先を削除しようとしたちょうどその時
絵里から電話がかかってきた。

無言で家を出てしまった申し訳無さもあり謝ろうと電話に出た。
会社に遅刻しそうだったので無言で出たこと
ご馳走してくれたお礼を伝え、電話を切ろうとしたその時
絵里は一言つぶやいた。


「彼女さんすごく心配そうな声で電話してきてたよ。」


私はすぐに電話を切ってもう一度着信の履歴を確認した。
すると5分だけ通話した履歴が残っていた。

私は再び冷や汗が流れ出した。
「彼女は気づいてる。知らないふりをしているだけだ。。。」
怖くなった私は再度彼女に電話をかけた。

そして、正直に全てを話した。
彼女は黙って私の話を聞いた後、一言こうつぶやいた。



「タバコやめたら?」




私はこれでタバコを辞めました。


Fin

○おまけ

実はこの記事はあんまり納得がいく内容にならなかったので
昨年の6月頃には書き終わっていたのですが
ずっと下書きの一番下に眠っていました。(笑)

またちょこちょことオリジナル小説も
書いていこうかなと思いますw

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