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1月に出会った音楽、そのメモと小噺など

怒涛のリリースラッシュだった1月が終わり、何とか乗り越えたものの、金銭的HPがかなり削られました・・が、幸福度は上がったのでよしとします。11月からゆるーく続けていた月間聴いていた音楽のシリーズ、今回は趣向を変えて9選にしてみました。

気が付けば1月があっという間に終わってしまったんですが、色々と別のことをしていて、本当に一瞬で終わりました・・。

★1月出会ったアーティストの中で良かったなあと思ったもの9選

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①Honey Harper/ Something Relative

USはジョージア州アトランタ出身、イギリス在住のSSW、Honey HarperことWilliam Fussell。デビューアルバムのリリースを控えシングルのヴィデオ・クリップが発表されました。

この曲はオーヴァードーズ(薬物の過剰摂取)で亡くなった友人に対してのものだということですが、美しいギターストリングスで聴かせるジェントルな歌声で紡がれる歌詞がとても素敵で、「彼はきっとこの曲は嫌いだろうけど、でもこの曲が自分のことを歌っていると知ったら喜ぶと思う(He would have hated this song but loved that it was about him.)」という発言も何だか良いなあって思います。

2019年からいくつか出ているシングルが全て良いので、新しいアルバムがとても楽しみです。

②Locate S,1 / Personalia

USはジョージア州、アセンズ出身のSSW。アルバムは自宅のスタジオで作られたとのことですが、プロデューサーがOf MontrealのKevin Barnes・・というかクレジットをよく見るとギター、ベース、ドラムのプログラミング、Co-ヴォーカルでKevin Barnes、ドラムはClayton Rychlik、別の曲でJoJo Glidewellがシンセサイザーを担当しているそうなので、ほとんどOf Montrealですね・・。

今のところ公開されているのはアルバムのタイトル曲である「Personalia」のみですが、ヴァース部分で四つ打ちになるドラム+ハイトーンのシンセの感じが80sポップぽいのと、ヴィデオが昔のCG出始めの頃のような感じで良いなと思います。「Personalia」はMary Ruefleの詩から来ているとのこと。

③Bullion / Hula

ウェスト・ロンドン出身、リスボン在住のNathan JenkinsことBullion。2012年に自身で設立したDEEK Recordingsから2/28にリリース予定のアルバムのシングルカット。BullionはBlue Pedroのトライバル風でサマーブリージン、何となくドープな多幸感で一躍有名になりましたが、Bullionの曲って本当にどれもいいなって思います。

あと本作はAustin Furtak Coleのアルバム・ジャケットがめちゃくちゃかっこいいです・・!

④Windy & Carl / Crossing Over

USはミシガン出身のデュオ。ギターストリングスの絡み合う感じはドリームエンド辺りのシューゲイザーにも聴こえますが、シンセサイザーなどの電子音楽よりも生楽器の演奏を前景に出したアンビエントという解釈の方が恐らく近いような気がします。どの楽曲も楽器のレイヤーがとても美しく、俯瞰で見るとメロディが一つのコードのように重なり合っているようです。

⑤Sorry / More

去年辺りから各種メディアが「アルバム出るぞ・・」と騒いでいたイメージがありますが、ドミノからリリースされるアルバムがとっても楽しみです。

キャッチーなメロディの端っこにトリッキーなマテリアルを挟み込む不意打ちのストレンジな感じが何ともたまらないというか、楽曲ごとに展開の読めない面白さがあり、参照点がたくさんあるバンドならではの得体の知れない面白さを感じます。

⑥sir Was / Letter

スウェーデン出身のアーティストで、去年出たアルバムもとても良かったのですが、2/28にまたEPが出るなんて嬉しいです。

打ち込みのドラムに合わせてトラックが展開していく様子や、リズムのリフレイン、チョップド&スクリュード的に再生速度を遅くしたヴォーカルが入る感じはヒップホップ的な所作を感じます。ヨーテボリと南アフリカでサクソフォンを学んだと書いてあるサイトも見つけましたが、ほんのりと漂うソウルのグルーヴ感はそういうところから来ているのかな。

⑦Okay Kaya / Zero Interaction Ramen Bar

カヤ・ウィルキンスことオケイ・カヤ(Okay kaya)、SSWでもありながらモデル、俳優などマルチな活躍を見せていらっしゃって、ヴィデオクリップも毎回印象的で、何だか気になる存在で、インディアナ州のインディ・レーベルであるジャグジャクウォー(Jagjaguwar)からリリースされたアルバム『Watch This Liquid Pour Itself』はどの曲も良かったです。

「Zero Interaction Ramen Bar」は彼女の低くて美しいヴォーカルとクリスマスの聖歌隊のような神々しさのある曲なのですが、歌詞はラーメンを食べるときに音を出して赤面して「ファック・・」てなる感じなのでしょうか?

⑧NNAMDÏ / Wasted

ロサンゼルス出身、シカゴ在住のNNAMDÏ ことNnamdi Ogbonnayaによるアルバムが4/3に自主レーベルSooper Recordsからリリースされるとのこと。何だかドリーミーなヴィジュアルイメージがシュールな感じで、「Wasted」もレイドバックしたヒップホップがなかなか癖になります。

⑨Ryan Beatty / Patchwork

カリフォルニアはクローヴィス出身のSSW。レイドバックしたR&Bですが、歌われているのは自虐的でナイーヴな恋愛観で、冒頭のラインでぐっと心を掴まれます。

”どうして彼が躊躇っているのかわかる・・/ 帰れよ、汗だくになるよりは独りでいる方がいいし/ 薬飲んで俺を忘れろ”

最後に繰り返される「theres some men out there on the floor/ watching me lose myself to disco music」のラインなんかは、孤独を音楽で忘れようとする主人公が何となくスミスを彷彿とさせる哀愁が漂っている気がします。(スミスの歌詞ではディスコに耐えきれず家帰って泣くタイプですけれど)

ヴィデオクリップもかっこいいですよね。やはり、最近はこのように解像度の低い映像+映像内に(だいたい四角く)別の映像のカットインという表現を多く見かけます。(直近だとEyedressのTrauma、表現方法は少し違いますがLuis AkeのChangeなど)

★まとめ&今月のベスト盤

1月はアラビア・トルコ音楽以外のところでは結構USインディをよく聴いていた気がします。北欧枠も、何気に毎月新しいリリースがあるのでそれも楽しいですし、サブスクリプションでアジアのインディ・アーティストを掘っていくのも楽しいなあと思っていた月間でした。

色々なアルバムがリリースされましたが、個人的にはやはりHoly Fuck『Deleter』が一番良かったです。Holy Fuckって海外人気はすごくあるのに日本ではあまりウケてないというか、何となく海外と日本とで温度差を感じるのですが、気のせいかしら・・。


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