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中学の知り合いから、「最近どう?」というLINEが来ていたので、誘いに乗ってみたというお話

とあるメッセージ

時はさかのぼること2か月前、夜LINEを確認しているときの話。
あまり、というよりも全然話したこともなかった人から
「最近どう?」というメッセージが来ていた。
そう例のあのメッセージだ。

この話をする前に、私とこのメッセージを送ってきた人物(以下K)の関係性、そしてKの人間性を明確にしておく必要がある。

私とKの関係性は

・クラスが一緒だっただけ
・学校でははぼ話さない
・LINEする仲でもない。

というものだった。
なのでまずKからLINEが来るということ自体、驚きだった。

次にKの人間性。Kは皆さんの学校にも恐らくいたであろう

「みんなの尊敬を集める運動神経がよくかっこいい人物」

その人である。

なので私はこのLINEをみた時「まさかこいつがな…」という感想を抱いていた。

話を本題に戻そう。
私はその「最近どう?」というLINEに対して、

「元気してるよ~」や「えーそうなんだ~」

などというやり取りをした。そしてしばらくして会話が終わった。





いや待て、こいつはそんなこと聞きたいためだけに俺にLINEするようなやつじゃないだろ。と思い、私は「んで、どうかしたの?」と返信することにした。すると

「最近大学では知れない内容を勉強している!」
「今週すごい人に会うから来てほしい!」

というダブルパンチを食らってしまった。
私は思わず失笑した。いやそんなコピペみたいな勧誘ある?
まあもう少し聞いてやるかと思い

「すごい人ってどんな人なの?」と聞いたら

「年収数億円稼いでいるまじですごい人」
「会って損はないよ!!!」

あ~もうお手上げだ、私の負けだよ、と言ってしまいたくなるような見事な文章が返ってきた。その後も「会って損はない」「とりあえず会おう」と、とても熱心にメッセージを送られたので、とりあえずKを良く知る人物(中学はKとは同じではない)に今回の件について話すことにした。するとそいつは私がこの件について話すやいなや、大笑いし「マルチやね」「よし、会おうぜ」と言ってきた。 いや止めろよ。

私自身も詐欺師(未定)に実際に会えるまたとない機会なので会ってみたいという気持ちはあった。しかし私は流石に一人で行くというのは何かあった時に心配だった。そこで私の別の知り合いのA君にこれまでの経緯を説明し

「一緒に詐欺師に会いに行ってくれないか?」

と言ったところ快く承諾してくれた。またA君も流石に私一人では…ということだったので、知り合いのT君にも協力を要請し来てくれることに。そして私は3人で詐欺師に会いに行くことになったのである。

しかしこのやり取りが終わった後、私はまだKがこのようなことに関与しているという事実が受け止めきれず、現地に行ったらドッキリでした~というオチを内心願っていた。そのぐらい私にとってKは憧れの存在でもあったのだ。

作戦当日

当日誘われたのはとある場所の喫茶店。10時あたりに来てくれということだったので私たち3人で8時ぐらいからその場所に集合し下見などをした。
当日私が2人に頼んだのはボディーガード。私がもしもどこ他の場所に連れていかれそうになったり、言い寄られてピンチになったりした時に颯爽と現れて救出してくれというもの。当日Tくんが「*事前に勧誘であるという主旨を伝えず勧誘を行うことは違法だから、勧誘されたら通報していいよ、それと公衆の出入りする場所以外の場所での勧誘はすべて禁止されているよ」といったことを教えてくれたのでとても頼もしかったのを覚えている。

3人での楽しい時間はあっという間に過ぎ10時。約束の時間になってしまった。この時私の中で様々な感情が交錯していた。怖い人かな、どんな話をするんだろうなど様々あったが一番大きかったのは、これがドッキリであってくれといった感情だった。

時間になり私は喫茶店へ赴くことに。喫茶店の前ではKが待っていた。およそ6年ぶりに会うKの印象はかなり変わっていた。久しぶりといった適当な挨拶をした後、まじですごい話を聞けるからと言われ店内に案内された。ここで私のドッキリであってくれという願いは儚く散ることになった。

いざご対面

店内に入るとその仲間らしき人達が10人以上いたので私はギョッとした。あれ、もしかして私今からこの人数で詰め寄られちゃう?やばー、AとTも時間差で店内に入ることになってるしどうしよう…ということを内心思っていたら、Kが取り敢えずここに、とその集団の中に座らされた。すると隣に座っていた仲間の一人が今何しているんですか?と聞かれたので大学に通っていますと答えたところ。あ、そうなんですか私も大学生ですと返ってきたので、今ここにいる人らのほとんどは大学生なのかなと思い一安心。しばらくその大学生らしき人達と話しているとKがやってきてこっちねと別の席に案内され、例の「年収数億稼いでるまじですごい人」が登場した。その人はコロナ禍にも関わらずマスクをしていない人だった。こちらにどうぞと言われ離れた席に案内されたのだが、ここで驚くことにそのお話を聞きに来ていたのは私1人ではなく男(おそらくKが誘った)が私の隣に座っていた。

まず初めにお互いに自己紹介をした。(本当はここで偽名を使いたかったのだがKが目の前にいたのでそれはできず)。そこから大学では教わらないありがたい話を聞いた。

話された内容を要約すると、

なぜ私が稼げていて君らが稼げていないか。なぜ一般人はたくさん働いても金を稼げないのか。資本家と労働者は1:9になっている。君らがこっち側に来れないのは情報を知らないからなんだ。1割の働かなくても稼げる勝ち組と9割の努力しても金が稼げない労働者どっちがいいかな?明日その情報に関してもっとすごい話聞ける人が来るからからもちろん来るよね。ここで踏み出せるかどうかが今後の人生を変えるんだよ。

といった感じだった。

他にも私がどれだけすごい人間か。幸せになるためにはどうしたらいいか。今朝活やってます。などの話も聞いた。話を聞いている最中私は心の中でずっとあーどっかで聞いたことある話ばっかだな~と思いながら彼の話を聞いていた。話している内容はほとんどが堀江貴文氏の「ゼロ」だった。私はこの詐欺師に会った当時、まだこの「ゼロ」を読んでおらず、ちょうどこの文章を書いている最中に読む機会があったので読んだのだが、驚愕した。なんとその詐欺師が言っていたことがそのままそっくり書いてあったのだ。もしかすると私が2か月にあったのは堀江氏だったのかもしれないと錯覚するほど酷似していた。その他の内容は「人に嫌われよ!」というアドラーを先鋭化させたようなものも聞かされた。

また私が今回詐欺師に会うという行為をしたのにはいくつか理由があり、一つはボディーガードをつけられたこと。そしてもう一つに私が一時期意識高い系のYouTuber(例を挙げるとホリエモン、まこなり、ダイゴやその他本要約チャンネルなど)を見漁った時期があり、その手の幸せになる方法や稼げる方法といった情報をすでに知っていたといったということが挙げられる。なので絶対に心を動かされない自信があった。そして正直なところどのぐらい聞いたことがある話を話すのか、そしてその知識をいかに、あたかも自分の考えのように話をするのかなという興味をもって聞きに行ったという面もある。このようなこともあり、私にはこの手の話には免疫があり、話半分でしか聞いていなかったのだが、隣にいた人はとても感動していたみたいで、目をキラキラさせながら聞いていた。かくいう私も「あーこれ意識高い系の大学生が聞いたら絶対嵌るだろうな」とは感じ恐ろしくなった。

そして一時間半ほどの話が終わり、
ではまた明日も会おうねと言われ解散した。
その後もKに熱心に勧誘されたが、当然すべて断った。
これ以降Kとは連絡をとっていない。


あとがきという名の駄文

この詐欺師にあった感想だが正直なところこの人物が何者なのかはよくわからないが本音である。その理由としてKが私をその詐欺師に紹介する時にすごい人に会えると言って来させました!と言ったのだがそれに対して男がよくそれで来たね!?と言ったのである。私はこの発言がどうも引っ掛かる。他にも大手企業のインターンみたいなものにKと2人で行っていたりしている。これによりKはこの男に一層心酔したみたいで、実際人生が変わったと言っていた。他にも話している最中に一切情報商材などのお金の話が出てこなかったことなどが挙げられる。またこの男が胡散臭い理由については、Kはこの男とフェイスブックで知り合ったと言っていた。年収数億稼いでいると言っていて、複数の会社?を経営していると言っていたが、どこのどういう会社をいくつ経営しているかなどは詳しく紹介してもらえなかった。また私がこれより前はなんの仕事していたのですかと尋ねたところ転売業と言っていた。などが挙げられる。どう考えても胡散臭いところが多すぎるというのが私の感想だ。

この手の意識高い系の人たちは「情報を知らないからお前らは頑張っても一生報われないんだよ」とよくいう。ほんとにそうだろうか。私はこの手の話を聞くたびに思うことがある。それは「人はなぜ宇宙飛行士になれるのか」というものである。突然突拍子もないことを言うなと思ったかもしれないが、まず聞いてほしい。人はなぜ宇宙飛行士になれるのだろうか、勉強ができるから?才能があるから?どれも違う。私は「宇宙飛行士になろうと思うという気持ち」があるからこそなれるのであると考える。別にこれが宇宙飛行士でなくともよい。ただ単に何か憧れているものになろうとする時なろうと思えなければなれないのである。何かになるためにはまずなりたいという熱く滾るような情熱が必要なのである。これは金持ちになりたいという願望も同じであろう。例を挙げるなら金を今より稼ぎたいからと言って単純作業したくない怠惰な平社員が忙しい管理職になろうとおもうだろうか。

この手の話をする人たちは極端な話、顔もよくいい体をしている人に性産業の情報を渡し、「なぜ稼げるこっちをやらない?」と真顔で助言してくるのとほぼ同じである。何故人は体を売らないのだろうか。それは当然、大多数の人間がやりたくないと思っているからであろう。これは先ほどの宇宙飛行士の話にもつながってくると思う。「やる、やらない」ではなく「やりたくないからやらない」が正しい。ここに認識の差があると私は考えている。そして彼らのさらに厄介なことは、このように話をした後、話した人物が自分の考えに共感しなければ、その人物を蒙昧であるとし侮蔑する。まさに当たり屋そのものであるという点だ。

人には人の生き方がある。私はそう考える。
わざわざ眠っていたい獅子を起こす必要はない。
是非とも自らが救世主だと思っているおせっかいさんの意識高い系の方たちには全人類が貴方のような貴い思想を持っているわけではないというのを覚えておいて欲しい。

*当日Tくんが「事前に勧誘であるという主旨を伝えず勧誘を行うことは違法だから、勧誘されたら通報していいよ、それと公衆の出入りする場所以外の場所での勧誘はすべて禁止されているよ」
これは特定商取引法第33条の2/連鎖販売取引における氏名等の明示、
同法第34条4項/禁止行為 によって禁止されている行為である。
他にも「必ず儲かる」などのうたい文句は誇大広告に引っかかる可能性がある。

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