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名建築で旅をする~沖縄名護市庁舎

沖縄旅行の際には、少し足を延ばして北の方に行ってみませんか?
恩納村のリゾート地の先に名護をいう町にある名護市庁舎が素晴らしい建築なのでご紹介します。

建築までのストーリー


■沖縄における建築とは何か?
■市庁舎とはどうあるべきか?
昭和47年沖縄返還による本土復帰に伴い、名護市で新庁舎の建築計画がスタートし、完成は昭和56年に完成。
市庁舎に求められたのは沖縄の風土を生かしながら、「外に向かって沖縄を表明する市民のための市庁舎」
という目的のもと、コンペによって建てられました。

沖縄の地域特性を生かして

省エネ、バリアフリー、市民と行政との交流など、高い理念を目指して建てられた名護市庁舎。建設にあたり、コンペにあたって名護市がかかげた目的の1つとして、沖縄の地域特性を体現し、かつ要求される諸機能を果たすことが出来るとともに、市のシンボルとして長く市民に愛される市庁舎を建設する!
ということでした。
沖縄は亜熱帯に属し、多くの島々と周辺海域によって成り立ち、日本でも特異な自然環境に置かれている地域。
古来、人々はこの自然を生き、人と自然、人と人との長い関わりの中から独特の風土が形成され、地域の個性的な感性と建築様式が生まれてきました。沖縄の風土を確実に捉え返し地域の自治を建築のなかに表現し、外にむかって「沖縄」を表明しうる建築を!
という素晴らし目的のもと建設されたんです。


エアコンがない!

 この建築目標を目指した特徴としての1つめは、この庁舎に、議場などをのぞいて長い間エアコンがなかったんです。
冷房が本格的に設置されたのはサミットの頃。それまでは自然の風を「風のみち」と呼ばれる通風管から取り入れて暑さをしのいでいました。
「自然環境を大切にする」という考えのもと、エネルギーを大量に使うエアコンに頼らない庁舎を目指したそうです。
天井の下に、海からの風を取り込む「風のミチ」を作り、そこから吹き出す風で、室を冷やす工夫が全館に施された。「風のミチ」は2メートル四方のコンクリートの筒が建物を南から北まで突き抜けるもので、その側面に50センチメートル角の穴があいているもの。
「風のミチ」と呼ばれるこの自然通風システムは、残念ながら現在では使われておらず、エアコンの機械が入ってしまっています。

風のみち


花ブロック


2つめの特徴が、建物の構造と自然の風を利用し、且つ強い日射をさえぎりながら、海からの風を受け入れること。
沖縄で多用されているブロックを積んだ柱、花ブロックを日除けとして活用しました。
沖縄では、戦後、駐留米軍が持ち込んだコンクリートブロックの技術を参考に、台風にも強く、シロアリにも負けない、しかも材料の砂が近くで簡単に入手できるなどの利点から、ブロックが急速に普及した。沖縄の街を歩くと至る所にブロックの家が埋め尽くしています。
このコンクリートブロックを全面的に取り入れたことが、この建築の大きな特徴になっています。

自然の日よけ


北側の傾斜した屋根は「アサギテラス」と名付けられた日除けがあり、ここにはブーゲンビリアが生い茂って、濃い日陰を作っています。
アサギとは神様が降りてくる場として沖縄の集落に設けられるものなんですって。


南側ファサードには、いくつもの穴が開いています。
これは、建物を南北に貫くダクトの入り口で、ここから入ってくる涼しい海風が、建物を自然の力で冷やしてくれるという仕組みになっています。亜熱帯の沖縄であるにもかかわらず、この建物は機械空調なしで建てられたのです。すごいですよね。

カラフルなインテリア

内部も数々のステンドグラスが使われている。
太陽の光でキラキラするんだろうなあと想像できます。
かわいいですよね。

扉の取っ手もかわいいデザインです。

細かなところまで素敵です。

ファザードを見上げると、こんなステンドグラスが。
いろんな時間で空間を楽しめそうです。

まとめ

沖縄といえば、海!リゾート!というところでなかなか建築まで見に行くことはないと思いますが、本土ではなかなか見ることができない名建築。
沖縄の風土をいかした空間を体感できて、違う沖縄を楽しむことができるかもしれません。


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