見出し画像

【ゲームとか翻訳話】年に一度の確定申告の攻め方

今年もやつがやって来た。
そう、確定申告が。

本当になぜ、毎年巡ってくるのか。税金なら払おう。だが、おれの時間を奪わないでくれ。フリーランスにとって時間は銭そのものだ。それに私は海外取引が多いため、還付はまず受けられない。取られる銭を計算するだけ。虚しい。

いっそルーレットで納税額を決めてくれよ、と毎年心の底から思うのだが、社会は無情だ。

そこで今回はフリーランスとして一応十五年以上、この確定申告(もち青色だ。数年前の法改正により、白色のメリットはほぼ失われた)に取り組んできた私が、毎年どうやってこの悲劇と向き合い、乗り越えているか明かしたい。

ちなみにあくまでも私個人の意見であり経験のため、他人にも同じやり方が適用されるかはまったく保証できません。あしからず。

まずは領収書の整理から。地獄の責め苦のような確定申告の中でも、比較的リラックスして臨める時間帯である。私の場合は、一年分の領収書(あらかじめ月別くらいには仕分けてある)をペタペタと、月ごとのコピー用紙に貼っていく。

この日はこんな場所でこんな人と会ったなあとか、こんなことを話したなあとか、一年間の記憶が領収書を通じて、走馬灯のように蘇ってきて、ふふ、と笑ったり、恥ずかしさのあまり悶絶したりする。楽しい。

それでもずっとこのペタペタ作業を続けていると、心が倦んでくる。腰も痛くなる。そこで役に立つのが、コンビニなどでも売られている茶色い液体だ。私は比較的安価な、サントリーのトリスというブランドを愛用している。

このトリスを一口飲むと、喉がかあっと熱くなり、なぜだかウキウキとテンションが昂ってくる。なのでペタペタ作業の終盤戦の疲れた頃にはうってつけだ。しまいにはハサミが転がっただけでも抱腹絶倒する。気がつけば領収書の整頓も終わっているという寸法だ。

次に入力。ここからが本番だ。私はオンライン版の弥生という会計ソフトを使っている。

プライベートと仕事とで口座を完全に分けているので、基本的には仕事用口座の取引記録を弥生に入力していくだけの単純作業となる。それでも一年分の入力となるとそれなりの量があり、作業の変化にも乏しいため徐々に嫌になってくる。

そこで重宝するのが、炭酸のきいた茶色いジュースだ。日本でもアサヒやサッポロなど様々なメーカーから販売されていて、コンビニでも気軽に買える。このジュースを定期的に摂取すると、単調な反復作業がなぜか楽しく思えてくるばかりか、厄介な入力ミスも気にならなくなる。魔法かよ。

ついでにビートルズという四人組の「タックスマン」という歌や、エレファントカシマシというバンドの「デーデ」という曲を流しながら作業すると、自分が今、何のために、こんなことをしているのかが切迫感を伴って感じられるので、おすすめだ。

弥生への入力が問題なく終わり、ソフトに言われるまま無心で必要書類を出力したら、あとは提出するだけだ。

昨今はオンラインでも可能であり、私もそれだけの環境は整っているのだが、あえて毎年、自分の足で税務署まで持っていく。

そこで役立つのがラーメン屋である。税務署のそばに美味しいラーメン屋があるのだ。その店の極上の一杯を食べたいという思いが、毎年私に重い腰を上げさせ、税務署へと向かわせる。そして提出後に美味しいラーメンを啜りながら、この悪魔との戦いに一区切りをつけるのだ。

と、私の確定申告は毎年こんな感じである。

ただまあ、もうすぐインボイス制度も始まるし、これからは素直に税理士さんにお願いするのが、正解な気がしている。かしこ。

****

“コトバと戯れる読みものウェブ”ことBadCats Weekly、本日のピックアップ記事はこちら! noteでも人気のライター&エッセイスト、みくりや佐代子さんによる、映画『猿楽町で会いましょう』に絡めた“若さ”についてのエッセイを。

寄稿ライターさんの他メディアでのお仕事も。ラノベ作家の蛙田アメコさんによる、フリーランスの赤裸々ライフコラム。参考になりますよ!

最後に編集長の翻訳ジョブを。個人的に翻訳も気に入っている学園ホラーアドベンチャー『コーマ2』をどうぞ!

これもう猫めっちゃ喜びます!