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Kimitaka/小川室長
2022年2月23日 16:02
エレベーターが止まった。四階で。妙である。わが家は七階にあるから自分では四階のボタンを押していないし、七階以外のボタンがオレンジ色に光っていた記憶も、覚えている限りではない。もちろん、乗っているのは私だけ。他には誰も見当たらない。億劫そうにドアが開いたエレベーターに、誰かが乗り込んでくる気配もない。蛍光灯が頼りなく照らす廊下は静まり返っている。そこで考える──忘れ物か。つまり四階に