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台湾で学生通訳をしたことが転機になった

英語学習の転機は人それぞれ。
大きな転機もあれば、小さな感動が転機になることもありますよね。
私は、英語圏の国ではなく、台湾での経験が転機でした。

現地で学生通訳をやることに

学生のころ、音楽系サークル活動の一環で台湾に行くことになりました。
英語科にいた私は、80人ほどの集団のために、運営や交渉を務めることになり、唯一多少話せる英語で、現地のスタッフとやり取りをすることに・・・。
今でこそ、英会話は日常生活に問題ない程度で話せますが、当時はそんな英語力はなかったので、途中何度も「引き受けなければよかった」と後悔していました。

「輪ゴム」がほしい!だけど伝わらない!

なぜ台湾へ?私たちのサークルに、台湾で演奏旅行をするという大きな計画が舞い込んできたのです。
もちろん旅行会社が付き添ってくれるのですが、その場でのホテルや現地の運営ボランティアとの細かいやり取りは、自分たちでやることになりました。
演奏会の時間や場所の交渉も、時間をかけて何度も確認して事なきを得ます。

ある時、サークルの仲間から「紙を丸めて運びたいから、輪ゴムとかないかな?」と申し出がありました。
さっそくスタッフの方に "Do you have rubber bands?"と聞いてみます。
"What do you mean? Bands?"と尋ね返されました。伝わらない!
仲間は後ろで待っています、「ないみたい」では終われません!
仕方ない、なんとか説明して、何でもいいから用意してもらおう!
たしかこんな英語で説明しました。しかも、紙を束ねるジェスチャーも添えて。

We want to get some pieces of paper together. 
(紙を一つにまとめたいんだけど)
We have lots of paper, and it's hard to carry them. 
(紙が多くて、運びづらいんですよ)
Could you give us some strings or bands to bind paper?
(紙を束ねられるヒモかバンドもらえませんか?)

すると、あ、という顔をして、なんと、輪ゴムを持ってきてくれました。
伝えないといけない場面に遭遇すると、英語力が一気に高まる気がします。

講堂で大学教授の英語を通訳して

ようやく慣れてきた頃、サークル仲間全員がある大学の講堂に案内されました。
どうやら偉い人の話を聞くようで・・・と思っていたら、私だけ前の舞台に促され、学長らしきの人の横にちょこんと座りました。
学長が英語で少し話すと、こちらを見ます。
なるほど、日本語に通訳しろ、ということですね。
残念ながら、広東語アクセントの強い英語がほとんど聞き取れず、わずかに聞き取れた単語をつないで、推測しながら日本語に通訳しました。
日本語と広東語のわかる人がいたら、そんなこと言ってないですよ、って言われていると思います。
こうして、汗びっしょりの時間が終わりました。
これまでも、そしてこれからも、こんなにつらい英語の時間はないと思います。
本当に鍛えられました。

Thank you. に思いが込められて

こうして、私たちの台湾訪問が終わりました。
台湾の人々は本当に優しかったです。
広東語が使えない私たちに、日本語と英語で必死に伝えようとしてくれました。
言葉は伝わっている感覚がないのに、目が合うと何となく通じ合っている気がするのです。

いよいよ最終日。空港までのバスに乗り込んでしまえば、帰国です。
最後、他の仲間が全員バスに乗ったところで、運営スタッフの方と握手。
毎日一緒に動いてくれたスタッフに伝えようと、前夜に練習した言葉を伝えました。

"You helped us a lot. If you come to Japan, we'll welcome you."
本当に助かりました。日本に来たら、歓迎しますから。

スタッフの方は、いろいろ言いたいことがあったのだと思いますが、
英語にならなかったのかもしれません。
かぶっていたスタッフ用の帽子を私にかぶらせて、はっきりといった言葉

 "This is for you. Thank you, frined." 

短い言葉の中に、気持ちが凝縮されていました。

言葉には温度があるのだと思います。
体験や経験、感覚が伴った英語は、きっと本物の英語です。
難しい英語や長い文が言えることにも価値があると思いますが、
たとえ短いとしても、気持ちが詰まった温かい英語に触れた経験が
今の私の英語観につながっているのだと思います。


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