あかいの。

口先だけの冒険家。

あかいの。

口先だけの冒険家。

記事一覧

完全試合。

病は気から。 山井に代わって岩瀬。

1

そこが渡世人のつれぇところよ。

そん時オレな、「寅さんみたいになりたい」思ってん。 千原ジュニアのYouTubeチャンネル。ゲストのなだぎ武はそう言った。芸人・なだぎ武の成り立ち。人物譚を語る企画。…

6

オセロ。

来週CTの結果がわかる。昨日から不安と恐怖がパタパタと忍び寄ってくる。オセロのように。白が黒に裏返っていく。 抗う気力も体力もないのでただそれを受け入れるだけだ。…

あかいの。
3週間前
4

コノユビトマレ

先日フジロックで行われたスガシカオのライブを観た。彼は既に50代。モラトリアムなねっとりファンクがキレッキレだったあの頃とは違い、ちょっと枯れていた。声量もキーも…

あかいの。
3週間前
6

あれがしたい。 これがしたい。 でも今は我慢しなくちゃいけない。 蓋をすると気持ちが一瞬にして色を失う。 表情を動かさないまま過ごす日が増えてきた。

あかいの。
1か月前

人と会っている時はあまり思わない。けど、人と会わないだけの日々が続くと曇った言葉が降りてくる。頭の片隅に寿命のことがかすめる。映画観てても。散歩してても。ランチ…

あかいの。
1か月前
1

どこにも行けないドア

先日東京ドームで行われた井上尚弥vsネリの統一戦。自分は翌日に通院を控えていた。前回撮ったCTの結果が判明する。一抹の不安を拭えず、臆病風に吹かれている背中を押して…

あかいの。
3か月前
26

長谷部誠

ウォーキングしているとこころにも重さがあることがわかる。日によってそれが違うこともわかる。今まではそれを誤魔化しながら過ごしていた気がする。 酒だとか。週末に控…

あかいの。
3か月前
10

未練は残さず

一月前ぐらいから散髪時、風呂上がりの抜け毛が増えてきた。それは日が経つにつれて増していく。抗がん剤のダメージは蓄積すると担当医は言っていた。味覚障害や痺れもクー…

あかいの。
4か月前
5

タンブルウィード

いろんな楽しみ方がある。祭りもプロレスもライブも。演者も裏方も観客もありとあらゆる目線、内包するドラマがある。それは人の数だけ。まるで田舎で見上げる星空のように…

あかいの。
4か月前
16

ヘルプマーク

ヘルプマークをもらってきた。役所の窓口で貰えるものだとてっきり思っていた。窓口のおばちゃんに尋くとここじゃないんですよと。都営地下鉄の窓口ですぐ貰えますよと。 …

あかいの。
4か月前
21

侵食

歩いている時。今置かれているこころのコンディションが浮き彫りになる。立体になる。 元気な時もあれば、そうでない時もある。散歩道の千本桜がもうちょっとで満開だ。ひ…

あかいの。
4か月前
3

遮光カーテン

気持ちをつくるのがむずかしい。体調がよくなったと思えばもう投与の日が迫る。人と会わない時間をうまくやりくり、と毎日考える。結局遮光カーテンのような憂鬱がシャット…

あかいの。
4か月前
2

里崎智也

抗がん剤投与第四クール。ようやく春めいてきた。寒さの度合いが副作用に直結するのでそれが緩和されるだけで心持ちが違う。入院中抱いた遅すぎる日の出と早すぎる日の入り…

あかいの。
5か月前
6

第三クール

昨日抗がん剤投与第三クールを終えた。金曜までは様々な不調に見舞われるだろう。それは致し方なし。 昨日投与中に飲んだ痛み止め以来、今の時点で服用せずにいられている…

あかいの。
5か月前
5

すなわち

元気でもそうじゃなくても抗がん剤投与の火曜日は訪れる。散歩と筋トレと自炊と映画の毎日。憂鬱にならないよう事務的に前日をこなす。投与中に観る映画は何にしよう。 気…

あかいの。
5か月前
6

完全試合。

病は気から。

山井に代わって岩瀬。

そこが渡世人のつれぇところよ。

そん時オレな、「寅さんみたいになりたい」思ってん。

千原ジュニアのYouTubeチャンネル。ゲストのなだぎ武はそう言った。芸人・なだぎ武の成り立ち。人物譚を語る企画。いじめに遭ったり、引きこもりの過去がある芸人なのは多少知っていた。ただ彼の口から語られるこれまでの半生。そのまま映画にできそうなほど強烈な白と黒のグラデーション。一気に引き込まれていた。

中学でいじめに遭い、先生にまでいじられる毎

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オセロ。

来週CTの結果がわかる。昨日から不安と恐怖がパタパタと忍び寄ってくる。オセロのように。白が黒に裏返っていく。

抗う気力も体力もないのでただそれを受け入れるだけだ。サーフボートの上でフラフラ乗りこなす。こけないように。次々とやってくる真っ黒い波を。 

コノユビトマレ

先日フジロックで行われたスガシカオのライブを観た。彼は既に50代。モラトリアムなねっとりファンクがキレッキレだったあの頃とは違い、ちょっと枯れていた。声量もキーも動きもビジュアルも。だがそれが年輪となって色気になる。ファンクを奏でているけれど全身からとてつもなくロックが迸っていた。

思えば。常時150キロ投げられるピッチャーが150キロ投げる球より、村田兆治がOB戦で見せる140キロ。僕はそっち

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あれがしたい。

これがしたい。

でも今は我慢しなくちゃいけない。

蓋をすると気持ちが一瞬にして色を失う。

表情を動かさないまま過ごす日が増えてきた。

人と会っている時はあまり思わない。けど、人と会わないだけの日々が続くと曇った言葉が降りてくる。頭の片隅に寿命のことがかすめる。映画観てても。散歩してても。ランチ食べていても。そのたびに情熱が失われていく。

どこにも行けないドア

先日東京ドームで行われた井上尚弥vsネリの統一戦。自分は翌日に通院を控えていた。前回撮ったCTの結果が判明する。一抹の不安を拭えず、臆病風に吹かれている背中を押して欲しかった。勇気が欲しかった。

1ラウンド早々井上尚弥がマットに倒れる。マジか。観たことのない光景。無敵のチャンピオンが全てを失うかもしれない。だが彼は冷静だった。あの瞬間ドームにいた4万人の中で彼1人だけが冷静だった。イメージトレー

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長谷部誠

ウォーキングしているとこころにも重さがあることがわかる。日によってそれが違うこともわかる。今まではそれを誤魔化しながら過ごしていた気がする。

酒だとか。週末に控えているイベント毎だとか。気づかないふりだとか。

心身ともに痩せ細った今、こころを整えることに必死だ。こころが曇っていると音楽が入ってこない。嫌なことばで視界が埋まる。

歩くというのはまずニュートラルにギアを入れなくてはいけない。片手

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未練は残さず

一月前ぐらいから散髪時、風呂上がりの抜け毛が増えてきた。それは日が経つにつれて増していく。抗がん剤のダメージは蓄積すると担当医は言っていた。味覚障害や痺れもクールごとに抜けずらくなりはじめている。爪の根本も前よりくすんできた。

でもこの歳までもってくれたんだからええか。たとえズルムケになったとしても。髪の毛。頑張ったなキミたち。よく頑張ってくれた。

タンブルウィード

いろんな楽しみ方がある。祭りもプロレスもライブも。演者も裏方も観客もありとあらゆる目線、内包するドラマがある。それは人の数だけ。まるで田舎で見上げる星空のようにドラマがある。

大病を患ってからできること、できないことが常に線引きされる生活になった。抗がん剤投与日とその後3日間は痺れや倦怠感との付き合い。器用ではない自分はその生活に流されるように時間を過ごしていた。砂漠に転がるタンブルウィードみた

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ヘルプマーク

ヘルプマークをもらってきた。役所の窓口で貰えるものだとてっきり思っていた。窓口のおばちゃんに尋くとここじゃないんですよと。都営地下鉄の窓口ですぐ貰えますよと。

ならばと近所の都営バスの窓口へ。呼び鈴で係の方を呼び出し「ヘルプマークはこちらでいただけますか?」と一言。すると秒ではーいとレスポンスが返ってくる。そして差し出される袋に入ったピカピカのヘルプマーク。

 

何か申請する書類であるとか身

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侵食

歩いている時。今置かれているこころのコンディションが浮き彫りになる。立体になる。

元気な時もあれば、そうでない時もある。散歩道の千本桜がもうちょっとで満開だ。ひとと会わない日々が続くと病気のことが侵食してくる。終わらない月蝕のように。

病気を忘れていられる時間こそが今はリラックス。月をあたたかいもので満たしていかねば。

遮光カーテン

気持ちをつくるのがむずかしい。体調がよくなったと思えばもう投与の日が迫る。人と会わない時間をうまくやりくり、と毎日考える。結局遮光カーテンのような憂鬱がシャットダウンする。

里崎智也

抗がん剤投与第四クール。ようやく春めいてきた。寒さの度合いが副作用に直結するのでそれが緩和されるだけで心持ちが違う。入院中抱いた遅すぎる日の出と早すぎる日の入りを憂う気持ち。春の訪れを待ち侘びる今と重なって懐かしい。

今この瞬間に限っては副作用は前回より少し軽め。相変わらず味覚障害でお茶がまずい。こんなお茶顧客に出してたらすぐ会社など潰れるレベルでまずい。味噌汁やコーンポタージュは普段と変わらな

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第三クール

昨日抗がん剤投与第三クールを終えた。金曜までは様々な不調に見舞われるだろう。それは致し方なし。

昨日投与中に飲んだ痛み止め以来、今の時点で服用せずにいられている。みぞおち、左脇腹に生じていた違和感や鈍痛は顔を見せていない。快復の兆しのひとつならばそれは嬉しいし、何より痛みに脳のメモリーが支配されないだけでかかるストレスが全然違う。睡眠の質も下がるし。

もともと薬の服用自体あまり好きなほうではな

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すなわち

元気でもそうじゃなくても抗がん剤投与の火曜日は訪れる。散歩と筋トレと自炊と映画の毎日。憂鬱にならないよう事務的に前日をこなす。投与中に観る映画は何にしよう。

気持ちを作るのが難しい。気持ちが沈む投与後4日間の事を考えるとこころが曇りだす。喜怒哀楽の波が何一つない。頑張れと散歩中に誰かの歌が流れる。はやる気持ちに身体がついてゆかない。投げ出したくなる自分と弱さを認めたくない自分とせめぎ合っている。

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