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愛した他人

正直、失恋は辛い。
心臓が灰になってしまうのではないかと感じる程に傷み、瞳から想いの分の涙が溢れる。
だが、そんな状態で一度愛した存在とそのまま関わる事はもっと辛い。なんなら最悪の事態だ。
好きな人、恋人とお別れした後はもう二度とその存在を自分の人生に入れたくは無い。
なんてったってその方が楽なのだ。
自分を甘やかし可愛がりたい為、精神衛生上により善い道を選ぶ。おかしくない話だろう?
人間、十人十色なのだから。

私自身、恋愛の終わりに関しては
0か100でありたく、50は許せない。
一度でも恋仲にあった存在と友人になどなれないのだ。元々、友では無いからである。

哀しい夜も、
恋しくなる夕方も、
お気に入りの花が咲いた昼も、
挨拶を交わす朝も、
もう二度と想いを伝えれないのだ。
そしてもう二度と会う事はないのだ。
きっと空へ旅だったその日以降も
向こうの世界で会う事も無いのだろう。
死ぬまで、死んだ後も
私達の人生が交わることは無い。

今夜あった地震も
『大丈夫?』と、連絡すらできず
一度愛した存在の身の安全を勝手に願う、
情けない未練を漂わせる夜なのだ。

後悔した言動も、美化される思い出も、
憎んだ事も、傷付いた言葉も、
時間と共に色褪せる記憶となるのだ。
何もしない。
ただ、一度愛した存在に関する情報を遮断し
時の流れに身を委ねるのだ。
そして自分を抱き締める。
『これで良かったのだ』と、呟きながら。

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