忘れものは何ですか?
「行ってきます」
そう言うと姿はみえずとも、どこからともなく聞こえてくる、いつもの声。
「行ってらっしゃい。今日は暑いよ!水分多めにとりなよ」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい!帽子忘れてるよ!」
「行ってきます」
「プールの用意ちゃんと持った?」
「行ってきます」
「何か羽織る物を持っていきなさいよ」
ドアを開けると、いつの間にかすっかり冷たくなった風が、まだ日焼けたままの腕を通り過ぎる。
慌てて手にしていた上着を羽織った。
そうか。
季節は秋になっていたのか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?