恐竜元年:始まってからの二日間の物語
06:タツマとユェズとショウ・韻「雷竜のトゥシ。名前は聞いたことがあったけど……」
ユェズが誰となしに呟き、積み上げられた飾りを揃えて束ね、捨てる準備にかかっていた。滞りなく済んだ儀式の後、全ての飾りを取り払われて開放感に浸る竜達を視界に入れつつ、堅く反った軸に気をつけながら向きを合わせていく。二人が厩舎に戻ったのは昼過ぎだった。一方のタツマは飼葉桶を竜達の元へ運び、そっとその柔らかい首を撫で、
「よく我慢したね。そんなに何に怯えていたんだい?」
――コワカッタヨ、アノコ、コ