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恐竜元年:承

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その星は生きている星 小さく、青く、強く、か弱く 愛しい約束に抱かれ、優しい記憶を抱いて、 暗闇に眠る、美しい星……
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恐竜元年:終わりの物語

その星は生きている星 小さく、青く、強く、か弱く 愛しい約束に抱かれ、優しい記憶を抱いて、…

片桐継
3年前

恐竜元年:始まってからの二日間の物語

01:タツマとユェズ「これで、準備は終わりだね」 流れ着いて半年が過ぎ、もうすっかり慣れた…

片桐継
3年前
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恐竜元年:始まってからの二日間の物語

02:バードル・ダブスと皇帝と正妃「陛下におかれましては、ご機嫌麗しく」 バードルは広間に…

片桐継
3年前
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恐竜元年:始まってからの二日間の物語

03:トゥシ・怒槌とショウ・韻その日、空に雲一つない快晴の日、トゥシとヴァシェの目覚めはい…

片桐継
3年前

恐竜元年:始まってからの二日間の物語

04:スグリムと独楽(こま)「居やがった」 その宮廷前の門のやり取りを遠くから見ていた男は…

片桐継
3年前

恐竜元年:始まってからの二日間の物語

05:ヴィクトリアス・シージップとアトル・アトリウム・エルデス都市の喧噪と打って変わり、静…

片桐継
3年前

恐竜元年:始まってからの二日間の物語

06:タツマとユェズとショウ・韻「雷竜のトゥシ。名前は聞いたことがあったけど……」 ユェズが誰となしに呟き、積み上げられた飾りを揃えて束ね、捨てる準備にかかっていた。滞りなく済んだ儀式の後、全ての飾りを取り払われて開放感に浸る竜達を視界に入れつつ、堅く反った軸に気をつけながら向きを合わせていく。二人が厩舎に戻ったのは昼過ぎだった。一方のタツマは飼葉桶を竜達の元へ運び、そっとその柔らかい首を撫で、 「よく我慢したね。そんなに何に怯えていたんだい?」 ――コワカッタヨ、アノコ、コ

恐竜元年:始まってからの二日間の物語

07:ロード・奥羽とキユラ・奥羽と六郎佐「お館様、火急の件でございます」 午後、第二師団皇…

片桐継
3年前

恐竜元年:始まってからの二日間の物語

08:タツマとスグリムとユェズと独楽太陽が地平線に惹かれようとしていた。午後は休めと言われ…

片桐継
3年前

恐竜元年:始まってからの二日間の物語

09:ダブ・バードルとエルーメラとミササギ「いかんな……」 アトル皇子が奥羽の末娘を正室に…

片桐継
3年前
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恐竜元年:始まってからの二日間の物語

10:タツマとユェズと棗(なつ)「戻りました」 疲れた声で戸口を空けたタツマ以下三人を 「お…

片桐継
3年前

恐竜元年:始まってからの二日間の物語

11:ラプトル明るい夜だな。 オイラ達の群れは、いつもの狩場とは違う茂みからここに出てみた…

片桐継
3年前
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恐竜元年:始まってからの二日間の物語

12:トゥシとヴァシェと三本角と少女月が見下ろす夜明け前の荒野、目の前には数多くの《狩人》…

片桐継
3年前

恐竜元年:始まってからの二日間の物語

13:独楽(こま)とスグリム大きく完全無比の円を描き、月はまるで太陽のように薄い金色の光を放って空にあった。その眩しさは星をも霞ませる、まるで彼女のように。 ――華奈 見上げる月から (独楽……!) 響く声。見詰め合っている、そんな気がする。 「きっとまた会える」 小さな、けれど強い言葉。 「眠れねぇらしいな、独楽」 窓辺に独り居る彼に、いつのまにか部屋に来たらしいスグリムが揶揄い半分で話しかける。上着を肩にかけているだけの彼は誰が見ても「やった後」と判るだろう姿をしていた。