見出し画像

2022年度に観たライブ 前編

1年間の中で印象に残ったライブをまとめるシリーズを、今年もやろうと思います。

昨年度は本当に素晴らしいと思えたライブが多く、充実感がありました。新型コロナウイルスも徐々に落ち着き、その反動でいろんなアーティストがエネルギーをぶっ放したのかな、などと勝手に想像しています。

2022年4月から2023年3月までの間、僕が生で参戦したライブは35本でした。その中から特に印象に残った8本を、文章としてまとめます。まずは前半の4本から。

2022.8.5
くるり
『くるりライブツアー2022』
Zeep Haneda

Zeep Hanedaはその名の通り、羽田空港の近くにある「羽田イノベーションシティ」という施設内にあるライブハウスだ。くるりは去年もここでツアーファイナルをやっていて、僕も一度来たことがある。あれから少しずつ店舗や施設が増えているみたいだけど、それでも興味をそそられるものはなかった。

職場でコロナが流行りつつあったところをどうにか耐えしのぎ、この日を迎えた。先行物販でラバーキーホルダーを買ってから、名物(?)の足湯に入る。夕方にZeep Hanedaが開場し、ドリンクチケットでビールを飲みながらぼんやりと開演を待った。

ライブでは序盤に『忘れないように』が聴けた。僕がくるりを聴くようになったころに、ちょうどリリースされた新曲なので思い出深い(曲自体はかなり前に作られたものらしいけど)。優しいメロディと歌いやすいキーのおかげで、カラオケでもよく歌っている。その後も「グラミー賞など数ある賞を総ナメしたヒット曲(MCで言ってた岸田さんの冗談)」が満載だった。


『しゃぼんがぼんぼん』でノリノリになった直後には、『青い空』。これがメチャクチャ嬉しい…!!くるりの中でいちばん好きな曲だ。

事前にツイッターのフォロワーさんから、今回のツアーはかなりロックなセトリだと聴いていたので、正直この曲にすごく期待していた。岸田さんがギターを鳴らした瞬間、やった!セトリ見なくてよかった!!と喜びのあまりガッツポーズしてしまう。周りも似た気持ちだったようで、会場全体の盛り上がりが半端じゃなかった。

青い空は、くるりとしては異色のロックナンバーだと思う。けれど歌詞がものすごく好きで、今でもずっと聴き続けている。サビの「何かが違うと考える頭は真っ白に」という言葉は、仕事で頭がゴチャゴチャしている時によく浮かぶのだけど、続けてサラッと歌うCメロの歌詞を聴くと「自分もまだ大丈夫だ」と思える安心感が生まれる。

今日はキーボードも入ったバンド編成で、原曲の疾走感を残しつつ、今のくるりにマッチしたアレンジが最高だった。青い空が生で聴けるまで死ねない、と思っていたほどで、今日人生の目標をひとつ達成した。


終盤で演奏された『loveless』は今までしっかりと聴いて来なかったのだけど、今回のライブでその良さに気付けた。あたたかいメロディに、どことなく喪失感の混じった歌詞が乗る。しかし暗い気持ちを否定せずに包み込んでくれるような言葉が、今の自分を肯定してくれている。

このライブを機にlovelessをヘビロテするようになり、今では自分の核だと思える曲のひとつになった。落ち込んでいる時や将来に絶望している時に聴くと、自然と曲に励まされる感じがする。最高のタイミングで聴けたのがよかった。


『ブレーメン』や『Tokyo OP』は、トランペットのファンファンさんが脱退してから初めて聴いたけど、変わらずに楽しむことが出来た。『ロックンロール』で本編は終演。アンコールは『琥珀色の街、上海蟹の朝』、『飴色の部屋』、『東京』という豪華3本立てだった。東京の「雨に降られて彼等は風邪をひきました〜」のくだりが、今の自分の状況とピッタリすぎる。

僕がくるりを聴くようになったのは今から4年くらい前なのだけど、ちょうどそのことを思い出すような時間だった。今日のライブはどうしても行きたかったので、なんとか健康にやってきた。こういう楽しみって、本当に心身を支えるために重要なものなのだと実感した。


2022.11.12
スピッツ
『Spitzbergen 30th Anniversary Tour "GO!GO!スカンジナビア vol.8"』
ぴあアリーナMM

スピッツの有料ファンクラブ会員限定のツアー、通称「ゴースカ」。僕がFCに入ったのはつい去年のことなので、このツアーに行くのも初めてだ。以前は全国のあらゆる場所に行っていたそうだけど、今年はコロナの関係で横浜と神戸の2会場5公演のみ。

昼頃に会場へ着き、物販の列に並ぶ。トレーディングカードのような異例のグッズが人気のようで、ある意味予想通りの長い列が出来ていた。僕はツアーのロゴにもなっているラバーキーホルダーを買う。開場後に見つけた指定席は、絶妙に前という中々の位置だった。すぐ右側が通路だったのでゆったり座って開演を待つ。

この日のハイライトは、何といっても1曲目の『君と暮らせたら』だ。アルバム「ハチミツ」のラスト曲というイメージが強くて予想外の始まりだったことと、偶然頻繁に聴いていたことから、胸の奥が一気に熱くなる。曲とマッチした緑色のステージライトも素敵だった。


ゴースカライブでは、毎回会員による曲投票がある。チケットの申し込み時に、ライブで演奏してほしい曲を3つ投票出来るのだ(インディーズの曲や音源化されていない曲など、本当にあらゆる曲を希望出来る)。その投票数の上位に入った曲たちを中心にセトリが組まれている。レア曲『あかりちゃん』が聴けたりした。

ライブの中盤では、会場に入った時から存在感を放っていたセンターステージらしき場所にメンバーが歩いて移動。1階フロアの真ん中で演奏が始まった。この時聴けた曲は『仲良し』、『ナンプラー日和』、『謝々!』、『エンドロールには早すぎる』。どれも生で初めて聴く曲ばかりだ。座席の位置が幸いし、メンバーの背中を間近で観られたり、埼ちゃんのドラムの生音が聞こえてきたりして終始ワクワクしっぱなしだった。つい通路にハミ出て踊ったりしてしまう。

本編の終わりは新曲『大好物』。良いチルアウトになった。アンコールではメンバーがオーダーメイドスーツを試着する映像が流れ(ファンクラブ内でそういう企画があった)、そのスーツを着た4人がステージに再登場。レア曲や新曲、『1987→』を演奏してライブは終演となった。

最後に投票曲の上位15曲が発表されたのだけど、1位が『大好物』だったのが意外に感じた。他の曲も全体的に、所謂「隠れた名曲と言われがちな有名曲」が多かった。FC会員限定だし、もっと変わった曲が入るのかと思ったけど、母数が多いとそんなもんか。僕が投票した曲はひとつもセトリに入らなかったけど、普段のスピッツでは見られない演出などのおかげですごく貴重なライブになった。


2022.11.19
ハルカトミユキ
『ハルカトミユキ 10th Anniversary Live "十字路に立つ"』
渋谷PLEASURE PLEASURE

ハルカトミユキの結成10周年の記念ワンマン。会場の渋谷PLEASURE PLEASUREは見覚えのある場所だなと思っていたけど、現地に着いてから色々思い出した。ここ、昔ふくろうずのライブで来たことがある。当時は森永乳業が会場を運営していて、マウントレーニアホールという名称だけが記憶に残っていた(現在は運営が別の企業に変わり、マウントレーニアの名前も消滅した)。

僕はFC会員限定の、様々な特典が付いたVIPチケットに当選していた。その特典のひとつとして、開場前のリハーサルを見学出来るというものがあった。好きなアーティストのリハを生で観る機会なんて滅多にないだろうし、良い体験だ。今日のセトリに入っていない曲『Hate you』を演ってくれた。

リハが終わって一旦退場し、正規の時間に再入場。僕はまさかの最前列だった。前方の席で観られるのもVIPチケットの特権のひとつでもあるのだけど、特等席を引いたな。目の前にハルカさんがいて、最初の方は緊張してしまう。


僕がハルカトミユキを聴くようになったのは3〜4年ほど前からなのだけど、ちょうど仕事がつらくてメンタルがぶっ壊れる寸前の時期だった。『その日が来たら』と『奇跡を祈ることはもうしない』は当時特に聴き込んでいた曲で、それらが立て続けに演奏されてグッと込み上がるものがあった。


今回はバンドセットによる編成だけれど、ファンからの投票で選ばれた『宝物』はメンバー2人だけで演奏された。ミユキさんのピアノとハルカさんの歌がダイレクトに胸へと刺さる。じぶんたあやみんなの、これまでの人生を受け入れたいという気持ちから歌われた『肯定する』も良かった。

最近のライブはここ1〜2年で出た新曲が中心になっているようだったけれど、この日は違っていて新旧様々な名曲でセトリが組まれていた。当時のつらかった記憶を思い出してしまう一方、音楽の力でそれらを大切に包んでくれるような、冷たさと温かさを両方感じたライブだった。

アンコールでは新曲『十字路に立つ』が演奏される。ひと昔前の毒々しい曲が好きだけれど、まっすぐなこの曲も純粋にいいなと思えた。

ライブ終演後にはサイン会。CDジャケットの表にメンバーお2人からサインをもらう。なんか緊張しすぎて、「最高のライブでした」の一言を絞り出すのに必死だったな。このライブはのちに映像化されたのだけど、最前列に居た僕も結構頻繁に映っていた。あんまりこういう経験がないのでちょっと恥ずかしい。


2022.12.18
スカート
『eleven matchboxes, ninety-six cigarettes』
大手町三井ホール

年末が近付き風がだいぶ冷たくなってきた頃、スカートのワンマンライブがあった。会場は大手町三井ホール。

スカートの唯一無二の良いところは、そのバンド編成だ。ギターボーカル、ベース、キーボード、ドラム、そしてパーカッション。派手すぎないけどオシャレな楽器隊による生演奏は、たとえ知らない曲だったとしても関係なく楽しめる。何となくゲーム『MOTHER』シリーズのライブシーンとイメージの繋がるところがあり、個人的に「ライブを聴いている」という実感が強い。

僕の指定席は前から2列目のほぼ中央で、メンバー1人1人がよく見えた。安定したドラムと踊るように演奏するパーカッションは、つい見惚れてしまうな。


今回のライブのテーマは「走馬灯」。珍しくアルバムなどに関連していないワンマンということで、セットリストは新旧様々な曲で構成されていた。『花束にかえて』〜『どうしてこんなに晴れているのに』の流れがよかった。

スカートは最近新しいアルバムをリリースしていて、その新曲も何曲か演ってくれた。終盤も素晴らしいラインナップで、特に『魔女』と『すみか』は、スカートを知った時期からずっと好んで聴いていた。澤部さんお気に入りの曲として選ばれたのだ思うと、こちらも嬉しくなるな。魔女は間奏の口笛、そしてコンガのリズムが心地良い。すみかはバンドセットとして生で聴くのも初めてだった。


MCも澤部さんとドラムの佐久間さんのかけ合いが面白い。スーパーで売っている惣菜パックの「ビックカツ」シールを冷蔵庫に貼っている話は爆笑した。ステージ間近で演奏を楽しめたことや好きな曲がたくさん聴けたこともあり、今まで観たスカートの中でいちばん良いライブだと思えた。

物販では歴代のアルバムジャケットが描かれたマグネットを買う。ブラインド方式で何の絵柄が出るかはランダムだけど、好きな曲が多い「20/20」のデザインが出て嬉しかった。マグネットなのでいつものカラーボックスではなく、冷蔵庫に貼っておく。


後編はこちらからどうぞ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?