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リトルトゥースがくれたお守り

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2024年7月20日
僕は絶対に泣いてしまうだろう。

その日、僕の好きなアイドルグループが解散をする。
僕はそのグループの西村萌というアイドルを好きになった。
彼女と仲良くなったきっかけは、オードリーのオールナイトニッポンだった。
リトルトゥースという共通点が、二人の距離を一気に縮めてくれた。

彼女はよく僕のnoteを読んでくれていた。
僕が新しくnoteを投稿するたびに「私のnoteも書いてほしいな」と言ってくれた。
僕はその言葉がとても嬉しかった。
でも彼女とは絶対に長い付き合いになると思っていたから、もっともっと思い出をためてからnoteを書こうとしていた。
彼女のnoteは、2〜3年後に書くはずだった。
それぐらいの期間、ずっと彼女のグループに通うつもりだった。
なぜなら、彼女の事が大好きだったから。

だからいつもnoteの話になると「エピソードをたくさん入れたいから、もっと思い出作ってからにしよ!」と彼女には伝えていた。
それは紛れもない僕の本心だった。
しかし、この言葉を僕は突然撤回する事になる。

5月19日に行われたライブで、彼女たちの口からグループの解散が突然発表された。
ラストライブは7月20日との事だった。

その数日後に彼女に会った時、僕はこう伝えた。
「解散ライブまでにnote書くね」


オードリーのオールナイトニッポンを通して巡り合ったアイドルとの、最高にトゥースだった思い出の日々をここに記していきたいと思う。


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西村萌というアイドルを知ったのは、2022年の夏だった。
あるアイドルが出演するライブのチケットを購入した僕は、その日の対バン相手をSNSでチェックしていた。
その中に、Linaria(リナリア)というアイドルグループの名前があった。
メンバーのXに飛んで一人一人チェックしていたら、西村萌という子のアカウントに目が止まった。
そこには、オードリーが好きという内容のポストがあった。
過去の投稿を遡ると、オードリーのオールナイトニッポンの話題も出ていた。
僕はオードリーのオールナイトニッポンに毎週ネタを投稿していたので、同じ番組のリスナーという共通点があった彼女に興味を惹かれた。

そして迎えたライブ当日。
浅草橋MANHOLEで彼女たちのライブを初めて見た。
「あ~、この子がSNSで見たリトルトゥースの女の子か~」と思いながライブを見ていたのを今でもはっきり覚えている。
ボブが似合うとてもかわいい女の子だった。

ライブ終了後、物販に行きチェキを撮ろうか迷ったけど、その日はなんとなくチェキを撮らずに帰ってしまった。
本当だったら、彼女との縁はここで終わっていたはずだった。

それから1年2ヶ月後。
僕は彼女と運命の再会を果たす事になる。
二人を引き寄せてくれたのは、オードリーのオールナイトニッポンだった。

初めてLinariaのライブを見に行った時のチケット


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2023年10月1日
西村萌が所属するLinariaのライブを見るため、僕は新宿MARZというライブハウスに向かっていた。

ちょうどこの少し前から、自分の周りでリトルトゥースのアイドルが増えている実感があった。
元々通っていた推しのアイドルが「最近オードリーのラジオ聴き始めたんだけど、読まれててビックリしたよ!」と言ってくれたり、初対面のアイドルが偶然リトルトゥースで僕の名前を知っていてくれていたなんて事もあった。
他にも様々な形で、リトルトゥースのアイドルたちとこの時期に出会った。

そんな時に頭に浮かんだのが西村萌だった。
1年2ヶ月前に、たった一度だけライブを見たあの子の事がふと気になった。
「まだオードリーのこと好きなのかな?」なんて思いながら彼女のXを見に行ったら、オードリーの事をポストしていた。
これも何かの縁かなと思い、僕は彼女のXをフォローした。

それから彼女がSHOWROOMの配信をやっている事を知った。
僕がその配信を初めて見に行った時、彼女が僕に気付いてくれて「ブーメランチャンネルさん、初訪問ありがとうございます!」と言ってくれた。
そしてその後「おい、ブーメランチャンネル!萌の配信見るの、死んでもやめんじゃねーぞ!」と言ってくれた。
「死んでもやめんじゃねーぞ!」というフレーズは、オードリーのオールナイトニッポンの人気コーナー「しんやめ」の中で毎回使われる、リスナーにとってはお馴染みのセリフでもあった。
リトルトゥースの僕に向かって、リトルトゥースの彼女が、リトルトゥースにしか分からない共通言語を使って言葉を送ってくれた。
それがとても嬉しくて、僕は彼女に会ってみたくなった。
そして彼女が所属するLinariaのライブスケジュールをチェックし、チケットを購入した。

迎えたライブ当日、僕は新宿MARZにいた。
1年2ヶ月前に止まっていた二人の時計の針が、ここから再び動き出す事になる。


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ライブ終了後、彼女とチェキを撮った。
僕が「ブーメランチャンネルです!」と自己紹介すると、彼女はしゃがみながら顔を両手で押さえて爆笑してくれた。
「SNSにいいねをくれていたから、いつか来てくれるのかなって期待してたけど、こんなに早く来てくれるとは思わなかった!嬉しい!」と言って喜んでくれた。
彼女はオードリーの話をたくさんしてくれた。
初対面だったけど、共通の趣味があったので喋るのが本当に楽しかった。
途中で彼女が「うちの運営もリトルトゥースなんですよ!」と教えてくれて、急に運営さんの方に歩いて行って「ブーメランチャンネルさんが来てくれました!」と報告しに行く謎の展開になったりもして、なんか本当にいろいろ印象深い初対面になった。
チェキにも「ラジオの人だー!」と書いてくれて、すごく感動した。

1年2ヶ月前に出会った時はすれ違ってしまった二人のリトルトゥースが、この日再び出会い、お互いの人生が交差した。
まるで運命のような出会いだった。

もえぴとの初チェキ


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2023年10月2日

彼女はアイドルと並行して、コンカフェのお仕事もやっていた。
この前日に初めてLinariaのライブに行き、彼女と会話したのがすごく楽しかったのと、もっと彼女の事が知りたくなった僕は、彼女のいるコンカフェへ遊びに行った。

普段コンカフェに行ったりしない人間だから、めちゃくちゃ緊張しながらお店に向かったのを覚えている。
エレベーターを上がり、扉が開くとそこはすぐにお店で、ちょうど目の前に彼女が立っていた。
前日にライブを見に行ったばかりだったという事もあり「え~!来てくれたんですか~!」とビックリしながら、彼女は笑顔で僕を迎え入れてくれた。

ここでいろいろ話をしたのだが、ビックリするぐらい共通点があって、二人で「そんな偶然ある?」みたいに驚きながら顔を合わせる瞬間がたくさんあった。
まず驚いたのが、オードリーの話をしていて「ネタライブとか見に行った事ある?」という話になり、彼女が「一度だけある!」と教えてくれた。
ちなみに僕も一度だけネタライブに行った事があった。
オードリーは「1Hネタライブ」という、ゲストを数組呼んでネタを披露するライブを不定期で開催している。
人気のライブなので当然チケットは毎回争奪戦になる。
そんなライブに一度だけお互い当選した事があるという話になり「えっ!誰がゲストの時に行ったの?」と喋りながらいろいろ調べたら、なんと偶然同じ日にライブを見に行っていたのだ。
なかなかチケットが当たらないライブだから、お互いチケットが当選しただけでもすごい確率なのに、それが同じ日だなんてすごい奇跡的だなと思った。
二人で「運命!運命!」なんて言いながら騒いだのをよく覚えている。

それ以外にも「普段はどんなアイドルグループ見に行くの?」と彼女が質問してくれた時に、僕があるグループの名前を言ったら「えっ!私も好きで、この前ライブ行ったよ!○○ちゃんとチェキ撮った!」と教えてくれた。
リトルトゥースという共通点だけでなく、好きなアイドルまで同じという共通点があり、すごくビックリしてしまった。
彼女がそのアイドルグループのMVを店内のビジョンで流し、僕の目の前で振りコピしながら少し歌ってくれたのも覚えている。
趣味も一緒だし、とても話しやすい子だったので、彼女と喋るのがとにかく楽しかった。


それから彼女のコンカフェに時々遊びに行くようになった。
ここでの会話をきっかけに、二人は仲良くなった。
noteには書けないようなくだらない話を、店内の端っこの席で二人でゲラゲラ笑いながらいつもしている。
この前も彼女がしゃがみながら「呼吸困難!呼吸困難!」と言いながら僕の話に涙目で笑ってくれて、僕もそれを見ながら笑っていた。
逆に僕も、彼女の話でたくさん笑わせてもらっている。
いつも二人はそんな感じだ。
本当にずっと二人で笑い合っている。
彼女といると、笑いが絶えない時間を過ごせるからとても楽しいし、幸せなのだ。

彼女は、僕がお店に行くと「ちょっと待ってて!」と言って、いつも一旦お店の裏に行く。
そして駆け足で戻ってきた彼女の左手には、毎回ラスタカラーのリストバンドがついている。
その状態で僕が帰るまでずっと接客してくれるのだ。
毎回僕のために、わざわざリストバンドをつけてくれるのがとても嬉しいし、愛情を感じずにはいられない。
僕たち二人の間には、リトルトゥースの絆が生まれていた。

彼女のコンカフェにて


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オードリーのオールナイトニッポンでネタが採用されると、彼女は毎回その事を褒めてくれる。
しかも、ただ「読まれてたね!」と感想をくれるのではなく「〇〇のネタおもしろかったよ!」とネタの内容まで覚えていてくれて、いつも具体的に褒めてくれる。
ネタの内容なんて自分でも忘れてしまう時があるのに、彼女はいつもしっかり覚えていてくれる。
それがとても嬉しくて、投稿の大きな原動力にもなっている。

しばらく彼女に会えていない期間があって、久しぶりにコンカフェに行った時、一言目に「ねえ最近読まれすぎー!」と言ってくれた事があった。
会えない日々が続いていても、僕のネタがラジオで採用された事を彼女はずっと覚えていてくれた。
彼女の日常生活の中のほんの一瞬だったかもしれないけど、ラジオを通して僕の事を思い出してくれる時間があったのかなと思うと、とても嬉しかった。

一度彼女にいつもどんなふうにネタを書いているのか聞かれた事があった。
その時に、かなり詳しく自分のネタ投稿の話をした。
そこで僕がふと「もえぴもネタ書いてみなよ!読まれるとすごい嬉しいし、もえぴおもしろいから読まれるかもよ!」と言った。
彼女も「書いてみたい!」と言ってくれて、実際にネタ作りのアイディアを二人で出し合った事もあった。
彼女が「こんなエピソードあるんだけど、どうかな?」と出してくれた案に「そのエピソードだったら、話の入り方はこんな感じで、最後はこんな展開でまとめたらどう?」みたいに、具体的に二人でネタを考えた。
そこで話し合った内容を彼女が家に持ち帰って、後日文章を本人が整えて番組に投稿した。
残念ながら採用はされなかったのだが、後でどんなネタを送ったのか見せてもらったら、めちゃくちゃクオリティーが高くて「ねえ、このままメール送り続けてたら、いつか絶対読まれるよ!また時間あったら送りなよ!」と僕は言った。
彼女も「いつか同じ放送で、二人一緒に読まれたいね!」と言ってくれた。
彼女のラジオネームをこっそり教えてもらったので、いつか彼女のメールが読まれる事を、僕は楽しみにしている。
あわよくば、いつか同じ放送で一緒にメールが読まれたら、こんなにもトゥースな事はない。

こんな感じで、僕たち二人はオードリーのオールナイトニッポンを通して、どんどん仲を深め合っていった。


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2024年1月

僕が昔から推していたアイドルが、グループからの卒業を発表した。
卒業ライブは4月に行われるとの事だった。
ちなみにその子は、僕の事をオードリーのオールナイトニッポンを通して、ずっと前から知ってくれていた子だった。
そういった経緯もあり、出会った頃からずっとずっと本当に良くしてくれた子だった。
だからその子の引退ロードだけは絶対に見届けたくて、卒業発表から卒業ライブまでの約3か月間、僕はその子のライブを追いかけ続けた。

そのためLinariaのライブには、その期間たった一度しか行けなかった。
でも僕の頭の中には常にLinariaの事があった。
卒業ライブをしっかり見届けた後は、Linariaのライブにたくさん通おうと思っていた。
それぐらい僕の中で「西村萌」というアイドルの存在が大きくなっていった時期だった。


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2024年5月5日

秋葉原のTwinBoxGARAGEに、Linariaのライブを見に行った。
彼女たちのライブを見るのは本当に久しぶりだった。
そして僕は改めてこの日に思った。
ステージに立つ西村萌が好きだと。
生き生きした表情でパフォーマンスする彼女の姿を見て、アイドルをしている時の彼女が一番輝いているなと思った。

僕はこの日、ある一つの目的があった。
西村萌専用のチェキ帳を作りたくて、新品のチェキ帳を持って行ったのだ。
そして彼女にサインとメッセージを書いてもらった。
このチェキ帳に、これから彼女との思い出をたくさん詰め込もうと思っていた。
このチェキ帳を、彼女との思い出でいっぱいにしようと思っていた。

でもそれは夢で終わってしまった。
この2週間後、Linariaの解散が突然発表される事になる。

もえぴ専用のチェキ帳


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2024年5月18日

この日僕は、西村萌の撮影会に参加していた。
翌日に、Linariaの2周年記念単独公演が行われるという事もあって、そのライブ楽しみだねなんて話を二人でしていた。

彼女と出会った初めの頃。
コンカフェでオードリーの話をしていた時「だが、情熱はある」というドラマの話になった事があった。
このドラマは、主人公の若林さんがオードリーとして売れる前の不遇の時代を描いたドラマだった。
彼女はそのドラマを見ていて「売れない時代の若林さんが、今の自分と重なる部分が多いから、見ていて胸が苦しくなったり、いろいろ思う事があるんだ。でもね、ドラマを見て、若林さんみたいに私ももっと頑張ろうってなったよ。」と教えてくれた。
その話を聞いて、僕は彼女に頑張ってほしいなと思った。
どうかその努力が報われてほしいなと思った。

その時の話がずっと心に残っていたから「もう覚えてないかもしれないけど、二人が出会った頃にコンカフェで、だが情熱はあるの話した時にさ、、、」という感じでこの話をした。
そしてアイドル2周年を迎える彼女に僕はエールを送った。
僕は彼女たちのライブを見て「いいな」と思ったからライブに通っていた。
だからもっといろんな人に見つかるといいねと伝えた。
まだこの時は解散発表前だったので、僕たち二人は明るい未来の話をしていた。

翌日の2周年単独公演では、Linariaから重大発表があると告知されていた。
当然その話にこの時もなった。
僕は「重大発表って何なの?」と聞いた。
彼女は「こればっかりは、明日のライブまで待って。」と返してきた。
そういう答えがくると思っていたから深追いはせず、僕は話題を変えようとした。
すると彼女が「でも、重大発表って何だと思ってる?今、ブーメランチャンネルがどう思ってるのか知りたい。」と言ってきた。


僕は正直「解散」だと思っていた。

この少し前に彼女に「重大発表って、嬉しいお知らせなの?それとも悲しいお知らせなの?」と聞いた事がある。
でも彼女は答えてくれなかった。
彼女は優しい人だから、嬉しいお知らせだったら「嬉しいお知らせだよ!」と言って僕を安心させてくれたはずだ。
でも彼女はその時、何も答えてくれなかった。
だから悲しいお知らせなんだなと僕は悟った。
そしてこの時期に他のメンバーがSNSで「これからのライブは全部見に来てほしい」とか「一つも見逃さないでほしい」というニュアンスの投稿をするようになった。
その投稿を目にするたびに、Linariaが終わりに近づいているのかなと胸騒ぎがするようになった。

彼女は表情を見られるのが嫌だからと言って顔を両手で隠しながら「重大発表って何だと思ってるか言って」と言ってきた。
僕は「新曲の発表とかかな?それか新メンバーとか!」と未来に繋がる明るい話題を出した。
本当は解散だと思っていたけど、そんな事を彼女の前では言えなかった。
言いたくなかった。
だってLinariaのライブを、Linariaの西村萌を、僕はまだまだ見たかったから。

その後僕は「写真撮りに行こうか」と話題を変えて、場所を移動し彼女に写真を撮らせてもらった。
彼女はカバンの中からラスタカラーのリストバンドを取り出し、左手につけてくれた。
そしてカメラを構える僕に向かって、トゥースのポーズをしながら微笑んでくれた。

撮影会にて

写真を何枚か撮らせてもらった後、まだ少し時間があったので近くの家電量販店に入って、二人でベンチに座って話をした。
さっき撮影した写真を二人で見ながら「いつかnote書く時に、今日の写真使いたいね!」と僕は言った。
そして二人が一番気に入った写真を、彼女のnoteを書く時のトップ画にしようという話になった。
そして僕はnoteの新規作成画面を開き、二人で選んだ写真をトップ画にして保存した。

noteを書いてほしいと言われると、いつもはぐらかしていた僕に「ねえ、note書いてくれるってこと?期待していいの?」と彼女は聞いてきた。
でもいつもと同じように僕は「一年後とか二年後に書くね!まだまだ思い出ためていこう!」と言った。

頭の中で「解散」の二文字がよぎっていた僕の、精一杯の強がりだった。
解散なんてただの自分の思い込みであればいいと思っていた。
一年、二年と、これからも同じ時間を共有してからnoteを書きたかった。
こんなに早くnoteなんて書きたくなかった。
だから解散なんて絶対しないでくれと思っていた。


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撮影会の終了時刻が近づいてきたので、運営さんのいる場所まで彼女を送った。
彼女が最後に「一緒にチェキ撮ろ!」と言ってくれた。
ちなみにその日は土曜日だった。
土曜日といえば、僕たち二人が仲良くなったきっかけでもあるオードリーのオールナイトニッポンの放送日だ。
彼女はチェキを撮る時に、両手を合わせて何かお願い事をするようなポーズをしてくれた。
そしてそのチェキに「メール読まれますよーに!」と書いてくれた。
僕はとても嬉しくて「お守りみたいなチェキだね!今度からこのチェキ見ながらネタ書くね!」と彼女にそう伝え、その日はサヨナラした。

宝物のお守りチェキ

その日の夜、僕はいつも通りオードリーのオールナイトニッポンを聴いていた。
深夜2時40分過ぎに、チン!というネタコーナーが始まった。
このコーナーは定期的にお題が変わるのだが、その週は「何でも話せる友達がいたら話したい事」というテーマでメールを募集していた。
僕はこのお題に変わってから投稿に大苦戦していて、一度もメールが読まれた事がなかった。
このお題に関しては、6週連続不採用が続いていた。
彼女にせっかくお守りのチェキを書いてもらったけど、今回も絶対不採用だと思っていた。

しかしこの後、信じられない出来事が起こった。
若林さんの口から「ラジオネーム・ブーメランチャンネル」という言葉が発せられたのだ。

これだけ不採用が続いていたお題で、絶対に読まれないと諦めていたお題で、なんとメールが読まれたのである。
彼女が「メール読まれますよーに!」というお守りチェキを書いてくれた日に、連続不採用記録がストップしたのだ。
こんなドラマチックな展開になるだなんて思っていなかったので、本当にビックリした。

僕はネタが採用されてとても嬉しくなり、Xでその喜びをポストした。
すると深夜3時近くだというのに、彼女からいいねの通知がすぐに届いた。
僕はその通知を見ながら「もえぴのおかけで読まれたよ!ありがとう!」と心の中でつぶやいた。


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2024年5月19日

池袋リヴォイスで、Linaria2周年記念単独公演が行われた。
この日は、会場に入ってから重大発表の内容が気になってしかたなかった。
ずっとそわそわしていた。
でもそんな気持ちを忘れさせてくれるぐらい、彼女たちは熱のこもったライブを披露してくれた。
2周年記念のワンマンライブだったという事もあってか、彼女たちもかなり気合いが入っているように見えた。
それぐらいこの日のステージは、心に響く物があった。


数曲披露したところでMCのコーナーになった。
ここで彼女たちの口から重大発表に関するお知らせがあった。


「7月20日にアキバステラキューブで行われるワンマンライブをもって、Linariaは解散します!」



その瞬間、会場が一気に静まり返った。
本当に物音一つしない時間が流れた。
全員がショックで声が出なかった。


沈黙を破って西村萌が客席に向かって語りかけた。
「この前の撮影会でもファンの方と重大発表の話になった時、新曲発表とか新メンバーとか予想してくれる人がいたのに、こういった悲しい報告になってしまってごめんなさい。」と言った。
これは前日の撮影会で、僕と話した内容だった。
あの時きっと苦しい思いをしながら、僕と会話してくれたのかなと思って、僕は胸が痛んだ。
そしてこちらこそごめんねと思った。

その後、彼女と目が合った。
彼女はしばらく僕の目を見ていた。
あの時彼女は何を思っていたんだろう。
僕も彼女の目をじっと見つめていた。
「解散」の二文字を彼女の口から聞いた僕は、放心状態で何も考えられなかった。
ただ、彼女の目を見る事しかできなかった。

ライブ後の特典会で彼女は「ずっと黙っててごめんね。悲しい報告になっちゃってごめんね。」と謝ってきた。
僕もなんて返していいのか分からなくて「謝んないでよ。こっちこそいろいろ話聞いてしまってごめんね。」と謝った。

彼女は最後に「また、、、会えるよね?」と聞いてきた。
僕は彼女の目をしっかり見ながら、力強くうなずいた。


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Linariaの解散発表から数日後。
彼女のいるコンカフェに遊びに行った。
彼女はいつも通り「ちょっと待ってて!」と言ってお店の裏に消えていった。
そしてラスタカラーのリストバンドをつけて僕の元へ戻ってきた。

もえぴのリストバンド

ここで解散の話も少しした。
その後はいつも通り二人でくだらない話をたくさんした。
ずっと二人で笑っていた。
解散するのがまるで嘘みたいに、僕たちはいつも通りの笑いが絶えない時間を過ごした。


彼女と別れてからの帰り道。
電車の中でLinariaの曲を聞いていた。
僕はLinariaの楽曲の中で「Heritage!!」という曲が一番好きだ。
この曲には次のような歌詞がある。

100年先の未来も続くメロディ

Linaria「Heritage!!」より引用

僕はこの歌詞が好きだ。
Linariaは解散してしまうけど、Linariaの音楽はこれから先もずっと生き続ける。
音楽は死なないから、100年先の未来も彼女たちの歌声は響き渡るのだ。

しかし僕たち人間はいつか死ぬ。
100年後、僕も彼女もこの世界からはいなくなっている。
お互いの頭の中から、お互いの記憶が消えてしまう瞬間がいつか必ずくる。
人間って儚い生き物だなっていつも思う。
でもそれはあまりにも悲しすぎる。
だから彼女との思い出を文章にした。
「文章」も「音楽」と一緒で死なない。
何年経ってもこの文章は残る。
彼女と過ごした日々を永遠に残したかったから、このnoteを書いた。


100年先も、僕たちが過ごしたこの思い出が消えませんように。


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Linariaの解散ライブまで、あと2ヶ月を切った。
解散ライブの後、彼女がアイドルを続けてくれるのか、アイドルを辞めてしまうのか、それは分からない。
でも一つだけ分かっている事がある。
それは、僕たちの間には「リトルトゥースの絆」がこれから先もずっとあるという事だ。
二人はオードリーのオールナイトニッポンが大好きだ。
土曜深夜になれば、何年後も何十年後もお互いラジオを聴いているだろう。

僕はこのラジオが続く限りずっとメールを送るつもりだ。
彼女からもらった「読まれますよーに!」と書かれたお守りのチェキを横に置きながら、これからもネタを書き続ける。
こんなにも頼りになるお守りはない。
僕の隣には常に彼女がいる。
これから先も彼女とは長い付き合いになりそうだ。


オードリーのオールナイトニッポンを通して、僕たち二人はずっとずっと繋がっている。


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