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評価編 『急変予兆』 血圧管理は収縮期血圧しか参考にしていない⁇ - 紹介&実践ver -

 急性期総合病院に勤務している理学療法士が、臨床の実際や、診療を通しての発見をお伝えしていきます。

 本編は、紹介verと実践verを合わせてご紹介させていただきます。

 今回は、評価編として、急変予兆を察知するためのVitai Singsの基礎知識についてご紹介します。

 タイトルにもある通り、血圧の結果を解釈する際に、

収縮期血圧のみに着目してはいないでしょうか?

 私自身、新人の頃は、収縮期血圧が高過ぎず、低過ぎなければ良いかな?と解釈していた時期がありました。

 しかし、それだけでは十分に病態を把握出来ないことが、臨床上多々あります。特に、高血圧患者、脳卒中患者をはじめとした動脈硬化症を有する症例においては、不十分だったな~と感じております。

 今回、実際に急変されてしまった方の臨床経験を含め、紹介させていただきます。

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 まずは、Vitai Singsの基礎知識を整理していきます。今回は、Vital Signsの中でも、血圧を中心に紹介していきます。

【血圧(BP:blood pressure)】

収縮期血圧と拡張期血圧とは…

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ここで重要なのは、大動脈の動脈硬化が進行している症例の場合、

 収縮期血圧は高い、またはそこそこ保たれている一方で、拡張期血圧は低下する可能性があることです。

 動脈の弾性力が保たれている場合、収縮期に拍出された血液が大動脈内にプールされるため、拡張期においてプールされた血流が血管内を流れていくため拡張期血圧は保たれます。

 一方で、動脈硬化進行例では、プール機能が低下しているため、大動脈内に残った血液量が少ないため、結果として拡張期血圧は低下してしまいます。


ここで、疑問が生じます・・・

拡張期血圧が低いことはいけないの?

収縮期血圧がそこそこあればいいんでないの? といった点です。

確かに、臨床的にショック状態=収縮期血圧60mmHg未満と言われておりますので、収縮期血圧が重要な指標であることに変わりありません。

しかし、『○○○○』を知ることで、拡張期血圧の重要性が理解できます。


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