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デザイン留学が想像よりもつらかった話

大学院を修了しました

2023年6月に晴れて2年間通ったDesign Academy EindhovenのMaster Information Design を修了しました。
無事に卒業こそできたものの、この2年間、特に修論と卒業制作がある2年目は辛い時期も多かったです。
このnoteでは具体的に何が精神的につらかったのか、これから同じように留学を考えてる人の参考になるようにまとめようと思います。(あくまで私個人の体験であり、必ずしも多くの人が同じように感じるというお話ではありません。)

楽しくも辛かった学校生活

どれくらい辛かったのかを言葉で説明するのは難しいですが、特に悩んでいた時期は通学中バスや電車で涙が止まらなくなったり、家に帰ってからも泣いたりしていました。
日本の大学受験も私はけっこう辛かったタイプなのですが、その時と同じように長い暗いトンネルを走っている感覚でした。
本当に学校をやめてしまおうかと思ったこともありました。

ここからは具体的に、何が辛いと感じていたのか振り返ってみたいと思います。

ジャッジされることへのプレッシャー

デザイン分野の性質上、学校ではテストやレポート形式で評価されるのではありません。デザインプロジェクトを作り、先生方の前でプレゼンをし、それが評価されます。

私の学部時代の学校(日本の大学)の制作系の授業では、課題は出しさえすればまず落単はない、というようなぬるま湯でした。
ですがオランダの学校では、先生方を納得させられるクオリティを出さなければ普通に落とされます。
当たり前といえば当たり前なのですが、テストのように何点以下という明確な基準もない状況で、先生の匙加減ひとつで結果がきまります。
そのため、プレゼン前は「これで十分なのか?」常に不安で仕方がありませんでした。

また、現在は制度が変わったものの、私が1年生の時は1年間で2回落とすと退学(!)という鬼畜制度だったのでよりいっそうストレスでした。
実際、他のコースで強制退学となった学生も何人かいました。(学生からの大ブーイングで翌年から制度が変わりましたが、一度退学になった生徒はもう戻りませんでした。)

ダッチデザインウィークへの気負い

私の学校は卒業制作展がダッチデザインウィーク中に行われます。
オランダのデザイン分野では大きなイベントで、卒業制作展にも毎年五万人以上が訪れるそうです(学校曰く)。

そうなると、学生たちはやはり「いいものを作って発表したい!」という気持ちになります。
もちろん良いことなのですが、私の場合はその気持ちが負担になることも多かったです。

作品制作はうまくいくことばかりではないので、「理想の成果」と「実際の作品」のギャップに落ち込んでしまうことが多々ありました。

チューター(先生)の多さ

私的にはこれが1番頭を悩ませたのですが、卒業制作では、学生達が常時5 ~ 6人の先生方と面談をしながら1年かけて作品を形にします。
さらにこの他に学期に1回ずつある中間発表と期末発表では、ゲストのコメンテーターも来ます。
その上エディトリアルやコンセプトなど専門に特化した追加チューターとの面談も短期的に入ってきます。

ここで困るのが、チューター全員が同じ意見を言ってくるわけではないということです。
常に何通りものちがう声を聞いていると、本当に自分を保つのが難しくなります。
先生方のアプローチもそれぞれちがっていて、学生のしたいことを引き出そうとしてくれる先生もいれば、「私ならこうする!」と半ば意見を押し付けてくるような先生もいるのです。

その結果自分の作品なはずなのに、誰のための作品を作っているのかわからなくなりました。
私は自分の卒業制作がまったく愛せなくなって、「もうやめてしまいたい」とすら考えるように…。
結局最後の最後まで自分の作品を好きになれず、今は正直作ったものと距離を置きたいと感じています。

この状況に頭を悩ませていたのは私だけではなくて、何人ものクラスメイトが同じような辛さを共有していました。
あるイタリア人クラスメイトはサイコロジストに相談に行き、「チューターと話すことが助けにならずストレスを与えるなら、面談をやめてしまいなさい。」ときっぱり言われたそう。
実際その子は最後の数ヶ月チューターとの面談を一切行っていなかったそうです。(私は卒業後にそれを知りました。)

辛かったけど、後悔はなし

これだけ辛かったとは言っていますが、本当に学びの多い年間だったし、クラスメイトに恵まれて楽しい思い出も沢山できました。
辞めたいと思ったこともありましたが、今はこの学校で学べてよかったなと思っています。
ただ、「キラキラした留学生活」とは程遠いリアルがあるというのが少しでも伝わっていればと思います。

ちなみに卒業後の2023年7月現在はオランダで就活中です。こちらについても就活が終わったらnote書けたらな〜と思っています。




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