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事業承継・M&Aを失敗しないための注意点 第7回「M&Aにおける表明保証」

◆M&Aにおける表明保証の注意点の解説

前回の事業承継・M&Aを失敗しないための注意点 第6回では「M&Aにおける競業避止義務」を解説しました。

▼前回記事

今回はM&Aにおける表明保証の注意点について、解説します。

M&Aにおける表明保証は、前回の競業避止義務同様、非常に重要な論点です。

▼表明保証についての詳細記事はこちら

M&A交渉において、表明保証条項の条件調整は難しく、譲渡契約書の草案作成時において、かなり入念な協議が行われる論点となります。

特に、譲渡契約書の別紙に記載する「除外事項」については、しっかりとした話し合いが必要となります。

本記事を閲覧する事で、M&Aにおける表明保証に関する注意点を深く理解しましょう。

◆M&Aにおける表明保証の注意点

M&Aにおける表明保証の注意点を、売り手側・買い手側に分けて解説して行きます。

✅M&Aにおける表明保証とは

M&Aにおける表明保証とは、売り手及び買い手が最終譲渡契約の締結日又はクロージング日において、売り手及び買い手又は対象会社に関する財務、税務、法務、労務、業務内容等に関する一定の事項が真実かつ正確であることを表明し、その表明した内容を保証することです。

◆売り手側 M&Aにおける表明保証の注意点

✅M&A交渉・デューデリジェンス(買収監査)時に嘘をつかない

当然の話ですが、M&A交渉・デューデリジェンス(買収監査)時に嘘をついてはいけません。

M&A交渉・デューデリジェンス(買収監査)時に売り手にインタビューした内容を元に条件調整をし、最終的に譲渡契約書へ反映されます。

しかし、M&A成約後、売り手が話した内容と異なる部分が出てきてしまうと表明保証条項違反により損害賠償の対象となります。

売り手としては、M&A交渉を進めるうえで、売却価額の引き下げや、不利な条件を提示されるような情報も買い手に共有しなければならい事は多々あります。

それを嫌がり交渉が少しでも有利になるようにと、虚偽の情報を申告しては決していけません。

特に、デューデリジェンス(買収監査)時に監査人から受けたインタビューの内容は、デューディリジェンス(買収監査)レポートにも記録されています。

当然の話ですが、一度嘘をつくと後々つじつまが合わなくなるため自分で自分の首を絞める結果となってしまいます。

確かに売り手側としたら、公表したくない情報もあるでしょうが、買い手側からしたら、今後自分の経営する事業のリスクは完全に把握しておきたいものです。

これについては、勇気を出して買い手に正確な情報をシェアしなければなりません。

むしろ、ネガティブな内容を積極的に買い手に開示する事で好感を受け、交渉条件を譲歩してもらえることさえあります。

表明保証条項違反により損害賠償を受けることは、売り手にとって最大のリスクと言えます。

ネガティブな情報であっても、虚偽申告は決してせず、買い手と監査人に正確な情報を伝える事が重要です。

✅売り手側でもリスク調査をしておく

「M&A交渉・デューデリジェンス(買収監査)時に聞かれなかったから答えなかった」も、当然NGです。

かといって、売り手側も自社のリスクを全て把握している訳ではありません。

そこで、M&Aを検討し始めたら、必要資料の収集と自社のリスク調査も行うべきです。

自社の状況を把握するには、

  • 組織体制、株主等の状況

  • ビジネス・業務内容の棚卸し

  • 得意先・取引先の状況

  • 従業員の状況

  • 各種契約の状況

  • 許認可の状況

などを、調査しておけば、概ねOKです。

財務・税務については顧問税理士へ自社の問題点などがないかを相談します。

調査してみると、自分でも気づかなかった自社のリスクを把握する事ができます。

その内容は、積極的に買い手に共有するようにして下さい。

M&Aへの本気度の高い買い手だと、そのリスク対策を打った上での買収を検討してくれます。

また、自社のネガティブ情報を予め開示する事はM&A交渉上のマナーのひとつでもありますので、自社のリスク調査は必ず行うようにしましょう。

◆買い手側 M&Aにおける表明保証の注意点

✅デューデリジェンス(買収監査)を徹底する

デューデリジェンス(買収監査)は、必ず徹底するようにしましょう。

徹底的に調査を行わないと、売り主側のリスクの全容が見えず、後顧の憂いともなり得ます。

譲渡契約書に表明保証条項を入れておけば、最悪の場合、損害賠償請求をすればいいなどとは決して考えてはいけません。

特にスモールM&Aにおいてよくある失敗は、デューデリジェンスを行わないという事です。

スモールM&Aにおいては、買収価額も高くないので、デューデリジェンスをショートカットしたがる買い手も多くいます。

しかし、後のトラブルを避けるためにも、時間と労力、そして費用をかけてでもM&A専門家に相談し、デューデリジェンスを徹底するようにしましょう。

◆まとめ

以上、事業承継・M&Aを失敗しないための注意点 第7回「M&Aにおける表明保証」を、ご説明しました。

譲渡契約書上、「M&Aにおける表明保証条項」は前回ご説明した、「M&Aにおける競業避止義務」同様、非常に重要な条項となります。

▼前回記事

そのため、条件調整は難しく、両者間で綿密な協議が必要となります。

M&Aにおける表明保証の条件調整については、売り手、買い手が相互に歩み寄りながら誠実に協議し、お互い納得のいく結論を導き出すことが重要なのです。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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それではまた次の記事で!

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