語り尽くせない立山の魅力。その3
前回からの続きです。
8月の猛暑の中、2泊3日で立山を歩きまわってきました。
その時の写真と記事が登山メディアの山と渓谷オンラインに読者レポートとして掲載されています。
3日で1,000枚近い写真を撮ったので、使わなかった写真と語りきれなかった立山の魅力についてnoteで書きたいと思います。立山には語っても語り尽くせない魅力があるのです。
前回の記事はこちら。
2日目の立山縦走中、稜線を歩く間ずっと霧の中だったので、予定を変更して最終日は、逆方向からもう一度立山を縦走しようと決めました。
何故ならどうしても、立山稜線上からの絶景が見たい。
朝、まだ日が上りきる前にテントを出発します。
朝露でしっとり濡れた熊笹の隙間を縫うようにして歩きます。葉に溜まった水分は微々たるものではありますが、濡れた葉の間を歩いていくので大変濡れます。いくら登山ズボンが撥水性があるとは言っても水が沁み込んでいき、熊笹を抜ける頃には肌に張り付くほどしっとりと濡れていました。
こんなことになるならレインウェアの下を履いておくべきだった、と3日目のスタート早々から後悔。しかも目指す第一の山頂、雄山には薄く雲までかかっています。これで今日もガスの中だったら報われないぞ。
晴れてくれ、と祈りながら登り、雄山の直下である一ノ越に到着し、振り返った時の景色がこちらです。
見えるぞ!
山が見えるぞ!
幸運なことに雲は空の高い位置にしかなく、北アルプスの山々は隠されずにはっきりと見えていました。一ノ越から山頂までは約1時間、この絶景が隠される前に山頂に辿り着くしかない! と歩行速度が上がります。
まだ山頂に辿り着いてもいないのに絶景に継ぐ絶景。これも立山の魅力のひとつ。ここまで上がるのにそれほど苦労していないのに、晴れてさえいればとんでもない絶景が見られるのです。
途中、同じ個所で撮影した二枚の写真がこちらです。
最終日のこの日はずっと天気に恵まれているのです。そりゃ写真を撮る手も止まらなくなります。そしていよいよ雄山の山頂です。これも前日の霧の中との対比を。
ちなみにこの雄山の山頂は神社になっており、山頂に立つには登拝料をお支払いします。登拝料を払うと山頂でご祈祷してもらえて、お札も貰えます。
この日は祈祷時間前だったので山頂は開放されており、自由に登頂可能でした。登頂記念にお札が欲しい方は8時まで山頂で待ちましょう。
さて念願だった、雄山山頂からの景色です。ここは360度、どこを眺めても絶景です。
前日は霧に隠されていた稜線上の道がはっきりと見えました。
昨日はこんな場所を歩いていたのかー、と眺めているだけで楽しくなります。
昨日はどこを歩いているのだか今いちわからないまま歩き続けましたが、この日は違います。どこまでも絶景。どこまで進んでも山は景色を隠すことなく見せてくれます。
どれだけ進んでも、絶景で、まるで夢でも見ているような気持ちで歩き続けます。
しかし、二泊三日の縦走最終日。体力は確実に減っていました。疲れは急激にあらわれます。前日よりも短いコースを歩いているはずなのに足が痛み、なんだかペースも上がりません。水を飲んでも行動食をとっても楽にならないので、座り込んでしばし休憩します。
どうにも目が痛い。あと首筋が猛烈に痛い。
前日は曇りでほとんど影響がなかったことから、3000メートル級の紫外線の強さを忘れていたのです。完全に日焼けです。飲み水でタオルを濡らして首筋に巻きますが手遅れで、ぬるいタオルと擦れるだけで痛いのです。
一度意識してしまうととにかく痛くて、景色を眺めていたいけど目も痛いしゆっくりしていても首も痛いし、ここに至って「さっさと下山しよ」と景色堪能モードから下山モードに切り替わりました。
ですが疲れもあって全然、スピードが上がりません。
稜線からテント場まで下る雷鳥坂は浮石のゴロゴロ転がる坂道で、動かすと首が痛むのであまり下も見られず、そもそも目が痛いのでじっくり足元を観察する余裕もなく、何度も足を取られて転びそうになりながら何とか下山しました。
もっとも、下山したところテントを撤収して全荷物を担いで室堂まで登り返す必要があるのですが……。
二泊三日目の最終日はこうして天候に恵まれ、絶景を脳裏に焼き付けて帰りました。
立山は雄山までなら小学生でも登れる(富山の小学生は遠足で登っていました)コースですし、雄山まで登らなくても室堂の周辺で絶景を楽しめます。真夏は涼しい避暑地ですし、今の時期なら紅葉も楽しめます。冬は富山側からしか登れませんが、数メートルにも及ぶ雪の壁が見られるのだとか。旅行先に迷っている方は検討されてはどうでしょうか。
まだまだ載せていない絶景の写真や、立山の魅力に感じたところはたくさんあるのですが、きりがなくなるのでここで終わりにします。
立山は良いところだぞ!
また新しい山に登ります。