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速水御舟 作『炎舞』を書く ①

赤を黒とよぶ世界があることをご存じだろうか。
速水御舟は本作『炎舞』に使われた黒色について「朱色」を混ぜたと語ったそうだ。曰く「二度と出せない色である」と語ったようである。

『燁冥(ようめい)』
わたしが次に書く作品のタイトルが決まった。触媒となる画は速水御舟 作『炎舞』である。
タイトルが決まったということは、書こうとする世界も決まったわけだ。
夢殿、秋涙、凍裂に比肩する作品となる予感が強い。今の時点でわかることは夢殿が辿った道を踏襲するだろうということぐらいか。
第一形態からのトランスフォームとなる気配が濃厚だ。どうせ一発では書ききれまい。悲しいことにそんな筆力はない。ただし感性と洞察だけは立っている。始末が悪い。

速水御舟 作 炎舞 大正14年頃の作品

随分前に、インターネットで眺めたことしかなく、実物はまだ観ることが出来ていない。大正14年ごろの作品_________泉下の人となる10年前の作品だ。山種に収蔵されているようなので観ておかなければならないだろう。

闇に凝着をみせる業炎と蛾。
紡がれた瞬きに込められたドラマは何処からきて何処へと向かうのか。
その羽を焦がすと知ってなおも狂ったように舞い踊る蛾。
 さて、お運びのご仁達。ともに旅をしてみようではないか。縦長の画枠の外への旅を_________何が見えるだろうキャンバスの外に。

何人たりともさわるべからず。
わたしにしか書けない___________。


山種美術館
2023/05/20 ~ 2023/07/17 「小林小径と速水御舟」展
〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36 
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)


※『燁冥(ようめい)』という言葉はない。ハンドルネームにしておられる御仁がお一人いらしたことは確認できた。
 それぞれに感じて頂ければ良いところだが、冥府のきらめき冥界のはなやぎ_______ぐらいに考えて頂ければ良いかもしれぬ。あとは小説作品になった時にテーマと話とタイトルの親和性と調和というところだと思う。

まずは、可能な限り速水御舟を勉強するところからだ。
拾えるところは拾っておきたい。

世一


備忘録
※蛾からは写実的取り組み姿勢がうかがえるものの、炎からは印象的姿勢が勝っている様に感じられるのは気のせいなのか。どうも日本画、日本美術の変遷に見られる炎のスタイルを踏襲しているように見える。蛾の一瞬を切り取った姿と炎の姿には異質が滲んでいる様に見える。
 分かりやすく書くならば、彫刻美術にみられる_________例えば、不動明王などの彫刻美術を飾る火炎に酷似するのである。

関東大震災 大正十二年
作画時期  大正十四年ごろ





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