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速水御舟 作『炎舞』を書く ②

さて、速水御舟の勉強がはじまった。
まずは、わたしがどうしても気になっているところから始めてみたのだが
先日書いた原稿を裏付けるような応えが導き出されたことをどう表現すればよいのだろうか。やはりこの画家も一筋縄でゆく画家ではない。突き詰めるのだ。自分の持つ世界を徹底的に突き詰める。

例えばわたしが感じた、『炎舞』にみられる表現手法の異和感も当たり前なのである。表現の"方針"は一本調子ではない。複数の試みが綾なされているのだ。徹底的な写実と研ぎ澄まされた印象。
 勉強は、今のところ『裏付け』という処で歓迎してくれたようだ。

 昨日今日で資料が二冊届いていたが、さすがに新品は無い。三冊手に入れたものの、すべて古本の部類である。アサヒグラフは38年前の本。アーティストジャパンは15年前のもの。もう一冊はまだ届いていない。
 惜しむらくは、学術系に寄った本が欲しかったのだが、学研さんから上下巻、一冊6000円で出ていたが、チョイと高い。シロウトの勉強にしては値が嵩張るのである。

速水御舟 資料

さて、この数日。この画を眺めていてどうしても理解できないことにぶち当たったので書いておきたい。
 速水御舟あなたは何故、すべての蛾が羽を開いた姿に拘ったのか、なぜ、横を向いた姿や向かってくる姿を描かなかったのか。あなたの精神が凝着をみせたのは、蛾の何に対してなのか。
 
思へば蛾は羽を休めるときには羽を開いたままに休む。蝶は羽を立てて休む。蝶は横移動縦移動を自在に操る。蛾は規則的な横移動はしない。むしろ縦移動の方が得意であり滑空を好む。
 腹を見せた蛾と、背中を見せた蛾_________御舟の描いた蛾は共に羽を開いたものであり、裏表を見せるにとどめている。裏表…… 
 
写実と印象の使い分けも興味深い。

ここを消化しなければ『触媒』にはしようが無く、画家の精神世界を覗き見なければ、わたしが考えるオモシロい小説などは書きようのないことは明白なのだ。

速水御舟 炎舞 大正14年ごろ 山種美術館収蔵

一定のところに到達した時点で、まずは詩にしてみるのも一つの手か。

山種美術館
2023/05/20 ~ 2023/07/17 「小林小径と速水御舟」展
〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36 
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)

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