【ほぼ百字小説】各駅の月光列車で“指野原”に降りると見渡す限り白い指がはえていた。よく見るとうっすら透けており、血管や関節のようなものが見える。歩くと程よい弾力があり、一歩一歩が軽く浮き上がってしまう。まるでどこかへ運ばれているような感覚。いや、実際に運ばれていたのだ。首野原へ。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。