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"DIVIN" Vol.4

『DIVIN』(ダイヴィン)は、国内外の様々な記事や読んだ本、面白いinstagramアカウントなど、生活している中で得た「誰かに教えたい情報」をお伝えするニュースレターです。

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今週で4回目。週1での更新なので一ヶ月続いたということになる。

最初は手探りで始めたこのニュースレターも回数を重ねるにつれて、日々の自分のリズムもできてきた。

受信ボックスに貯まる国内外のニュースレターや、お気に入りのWEBメディアを早朝にチェック。

冒頭と見出し付近をササッと読んで、気になる記事や内容のみを、自分だけが入っているLINEグループに入れる。(これかなりオススメです)

朝のランニングをし、シャワーを浴びてから、落ち着いてその中から2,3個を読む。英語のニュースは時間と集中が必要なのでこの時間が自分的にベスト。

手探りで始めたこのニュースレター『DIVIN』、本当は”ニュースレター”のように、読者の方にメール配信し、今の自分のように好きなタイミングで読むコンテンツになれればと思うのですが、今はnoteでの更新という形に。

それでも、例えばHTMLメールを勉強し、サーバーを借りてドメインを取って…などの”通常のプロセス”を取らなくてよかったと思っている。

ローコスト(noteは無料だが)で始められることを、まずやってみることが大事だと思う。そのトライ・アンド・エラーの中で見えてくるものがきっとある。

おそらく僕が”ニュースレター”という形に固執していたら、たぶん1ヶ月後の今頃はやっとHTMLで”それっぽいメルマガ”をやっと配信し始めたところだと思う。

今読んでいる佐々木 康裕さんの『感性思考』という本。その中にプロトタイプについてこう述べている箇所がある。

プロトタイプはラフなものであって構いません。完璧につくると思わぬ弊害が生まれます。精緻なプロトタイプは批評を呼び込み、ラフなプロトタイプはアイデアを呼び込みます。

これからもこのニュースレター”DIVIN”はいい意味で『ラフなプロトタイプ』であり続けたいし、進化・改善を続けながら、人々にそして自分にアイデアを呼び込めるコンテンツでいたいと思う。


Airbnb CEOの公開メッセージ


ホテル業界は今まで、ライバルと言えばマリオットや、ヒルトン、ハイアットであった。プライスのレンジはあるとは言え、ホテル業界の競合はホテルであった。

そんな業界、関係性を一気に壊したのがご存知Airbnbである。一般の人に泊まるという発想と体験、サイトのUI/UXの良さで瞬く間に彼らの最も大きなライバルとなった。

3名の共同創業者たちが既得権益に負けず、血がにじむような努力で会社とその思想を世界中に広めていくノンフィクション『Airbnb Story』は、300ページを超える厚さに限らわず、すぐに読破してしまったことを覚えている。

世界中を旅していた最中、2018年の夏にサンフランシスコの本社を訪問したことがある。「世界一のオフィス」とも呼ばれるその空間は、遊び心に溢れ、働く人々が実に羨ましく感じたものである。

そんな観光業の雄、Airbnbが5月5日の午後に従業員の4分の1を解雇すると発表。

AirbnbのCEOで共同創業者のBrian Cheskyが社員に向けて書いたメッセージには、同社の全従業員7500人の25%にあたる1900人が解雇される、とある。

また、Airbnbは2020年の売上高が2019年の半分以下になると予想している。※同社の2019年の売上高は約48億ドル(約5100億円)。

世界中の企業の中で最もブランド・カルチャーを大切にする企業の1つとも呼ばれるAirbnb。

そんな企業はレイオフの通知であっても、その企業性が現れていた。つまり、崇高なミッションへの想いと社員への感謝・愛と強いリーダーシップである。

このメッセージの中では、解雇規定や流れを説明するとともに、決定に至ったプロセス、今後の取り組み、考えが述べられている。

解雇される従業員は14週間分の給与を受け取り、さらに勤続1年につき1週間分の給与が加算される点。株式や健康保険についてなど。

退職者へのサポートはかなり手厚かった。

・退職者のプロフィールやレジュメを紹介するwebサイトを作って公開
・リクルーターチームは退職者の次の仕事を探すチームにジョブチェンジ
・4ヶ月間就職斡旋サービス利用可能
・残る社員が退職者の仕事探しを手伝うのことを奨励
・貸与PCはそのまま渡す

ブライアン・チェスキーは、メッセージの中で今回の意思決定に伴う「旅行業」の今後についてこう述べている。

1.「旅行」というものがいつ戻るかわからない
2.「旅行」が戻ってきても、それは違うものになるだろう

だから、根本的にAirbnbが拡大していたビジネスと人の領域を「選択と集中」する必要がある、と。

メッセージは正直に彼の言葉が語られ、悔しさや悲しみがひしひしと伝わる。最後のメッセージはこれだ。

As I have learned these past eight weeks, a crisis brings you clarity about what is truly important. Though we have been through a whirlwind, some things are more clear to me than ever before.
What we are about is belonging, and at the center of belonging is love.

Airbnbの特徴であり革新でありコアである「人との繋がり」、そしてミッションのBelonging anywhere(どこでも居場所がある。)を改めて伝えている。

こんな状況であっても信念を貫き、正直に伝えるブライアン・チェスキーの言葉は、世界中にいるこのサービス・会社のファンに対して、これからもファンでいさせる力強い言葉である。

Airbnbはユーザーがペナルティなしで予約をキャンセルできるようにし、ホスト側には経済援助を提供した。最近調達した資金の一部はこうした取り組みにあてられ、また同社が2021年まで健全運営できるだけの資金となる見込みである。

新しい「旅行」が帰って来た際に、どのようにAirbnbが取り組んでいくのか。


アムステルダムの新しいレストランのかたち


オランダ・アムステルダム。

美しい運河と町並み、過ごしやすい気候に関わらず、物価は西欧各国に比べ安く、治安も良い‥いいところ尽くしのこの街は世界屈指の観光都市となった。

82万人が人口のアムステルダムには、昨年900万人が訪れた。

自分も訪れたことがあるアムステルダムは大好きな街の1つ。運河を自転車で駆け抜け、美術館でアートを楽しみ、夜はビオワインを飲みのんびり過ごす。

3日間の滞在の予定が、あまりの居心地の良さから1週間になったことを覚えている。その時は真冬で運河は凍り、人々はアイススケートを楽しんでいた。

アムステルダムは巧妙なマーケティングも相まって、旅の目的地としてヨーロッパ、アメリカ、そしてアジアからも人気を集めた。

その一方で、「オーバーツーリズム」の問題が近年巻き起こっていた。騒音や公衆衛生(街中の「立ちション禁止」の看板を多く目にするだろう)、土産物屋でごった返す運河‥などなどである。

3月中旬に自主的ロックダウンをオランダ政府が取ると、この人気都市は一夜にして雰囲気が変わった。

もちろんこの措置により観光業は極端に落ち、経済・資本は大打撃を受けたが、オーバーツーリズム以前からそこに住む人々は生活を取り戻した。

中心部に住むシャーロットさんは最近の「静けさ」について聞かれると表情を明るくする。

”やっとご近所の人たちについて知ってきた。今まで住んでたけれど、それは人混みに紛れていたの。今、太陽が上るとともに、人々は椅子を外に出して座る。とてもgezelligだわ”と。

 gezelligはオランダ語の動詞で、”良い時間をともに過ごす”(having a good time together.)という意味。

人々は思わぬかたちで現れた静けさと、忘れかけていた当たり前の生活を取り戻し楽しんでいる。

さて、そんなアムステルダムでテスト営業を開始したレストラン。グリーンハウスを用いて、社会的距離を保ちながら、食事を楽しめるレストランだ。

店名はフランス語で「別室」を意味するSerres Séparées。

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お客さんはグリーンハウスで安全と守りながらディナーを楽しめる。許可が出次第、本格営業を始めるとのこと。

面白いのがこの「個室」で一緒に食事をできるのは、「一緒に住んでいる人同士」という点。

新型コロナウイルス感染症のワクチンができるまで、このような形式のレストラン・バーが今後生まれうる将来の飲食店の形を示唆している。

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”なんか気持ちいい”の理由


従来ビジネスは、理性やロジックに重きが置かれてきた。比較すれば良いものが選ばれるはずで、勝者となる。それが経済学の常識であり基本概念である。

しかし実際、ビジネスは人によって成り立っており、人は理性では動かず、無意識レベルでさまざまな情報に影響されている。人はなぜか不合理に物事を選んでしまう。

その考え方を踏まえて経済学を語るのが行動経済学である。心理学と経済学のミックスというと分かりやすい。

Dan Arielyが書いた『予想どおりに不合理』は、全員読んだほうがいい名著だと思っている。読みながらメモが止まらない良書。

様々な理論が事例とともに紹介されているのだが、すごいかいつまんで1つ紹介すると…

超一流のバイオリニストが、通勤ラッシュの駅前で演奏しても、足を止める人は5%も居ませんでした。

コンサートは高額で世界中で大人気。そのような人が無料で演奏していたら聴くべき(合理的)であるのにも関わらず、人は勝手に「こんな場所で演奏してるのだから大したこと無い人である」と思い、耳を傾けない。

同じように巧妙に心理を利用したキャンペーンについて検証とともに紹介されている。

さて、話は世界中のApple StoreでMacが同じ角度で展示されている、という話。

Apple Store では、展示しているノート型パソコンの開いている角度は76度と全世界共通で決まっている。

その角度を測る専用のアプリがあり、お店のスタッフは開店前にスマートフォンのアプリで角度を測って、76度にそろえている。

なぜ76度なのか。

それはユーザーに触らせるため。理由は、その1つに尽きる。

これはApple のデザイナーのジョナサン・アイブの「人は触ったものには恐れを抱かない」という考えに基づいていると言う。訪問客がプロダクトと物理的に触れることで、訪問客の中で、プロダクトに対する心理的なハードルが一段下がり、一気に興味・関心が高くなる。

電気屋でも薬局でも、同じような商品が陳列されている中で、「手にとってもらうこと」が何よりも大切である。

手に取ってもらい、注意書きを読み、効能やスペックを深く知る。あるいは店員さんを呼び、機能の違いについて尋ねる。尋ねられた店員は、ここがチャンスとばかりに説明を始め、オススメの商品をさも自然にオススメする。

そう、手にとってもらわないと何も始まらないのである。

Apple はこの角度の微調整を重ねており、2015年ぐらいまではその角度は70度だったと言われています。最適な角度を今でも探り続けている。

Facebookが毎日のように小さなバージョンアップを繰り返し、UIの最適化を図る。サービス・プロダクトは終わりがないと言われるが、Appleであってもその姿勢を変えていない。

あるいはパーカーを洗濯した時のこと。

洗濯し、乾いたと思って取り込むと重なりあったフードの部分がまだ濡れているときがある。一度畳んだパーカーを再度ハンガーに掛け、ベランダに干し直す。そんな経験は多いと思う。

ユニクロはそんな小さな課題に対し、パーカーを洗濯し干した際に、「全ての部分が同じタイミングで乾く」よう、フードの部分のみ素材を変えている。

そのおかげでボディが乾いて取り込むとフードも同時に乾いている。組成表示を読まないと誰も気付かないものであるが、圧倒的なプロフェッショナルさでそんな小さな取り組みを行っている。

”なんか気持ちいい”

”なんだか好き”

”なぜかいつも選んでしまう”

そこにはきっと理由があり、こだわっている人がいる。自分も見えない部分をこだわり、丁寧に取り組んでいこうと思う。



今週見つけたブランド


Lowell farmsはカリフォルニアに拠点を置く有機大麻農場。農業プロセス中に有機肥料とすべて天然の材料のみを使用している。

ジョイントのほか、CBDオイルなどの商品を販売している。サイトやSNSの写真は統一感があり、かなり凝っている。



自分が知ったきっかけは壁画。かっこいいデザインだなあと思っていると、そのパッケージをよくよく見ると大麻だった。

パッケージやサイトの世界観は勿論、マッチまでこだわられていて、さすが海外ブランドのクリエイティブの高さと思った。

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さて、今回のDIVINはここまで。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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edited by Ayumu Kurashima 


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illustration : @mihirayuta






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