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"DIVIN" Vo.2

『DIVIN』(ダイヴィン)は、国内外の様々な記事や読んだ本、面白いinstagramアカウントなど、生活している中で得た「誰かに教えたい情報」をお伝えするニュースレターです。


今回で第二回目。

今回、新しくこの”DIVIN”のロゴ、サムネイル画像が出来ました。

制作は会社のメンバーで、イラストレーターとしても活躍している Yuta Mihiraくん。アパレルやメーカーなど様々なブランドでイラストを提供しています。

素敵なタッチで”DIVIN(Dive in)”を表現してくれました。


まだ二回目のニュースレターではありますが、様々なメリットが見つかりました。その中には意外だったものも。

1つは、”意識して”情報に向かうようになったこと。1つのニュース、記事、本、意見に対して、ただ単に眺めるのではなく、様々な方向から捉えることができるようになった。

また、複数の事象・事実に対して「繋がり」を考えるようにも。例えばアメリカで起こったある事象に対して、原因を考察し、国内への動きに結びつけたり。

意外だったのは、前回の初投稿の後に複数の友人・知人から「このニュース面白いよ」「このアカウント好き!」「この動画見た?」という連絡をもらったこと。

目に見えたTAKEが無くともまずは始めてみれば、後々思わぬ結果で自らに返ってくる。いい事づくしの趣味の予感だ。

このニュースレターをキッカケに、そんな小さなムーブメントが始まると嬉しい。

さて、そんな第二回目のDIVIN。


クリエイティブの価値と提供のしかた

日本でも”フリーランス”の働き方、生き方が増えてきた。その多くはデザイナーやライター、カメラマンやスタイリストといったクリエイティブに関わる業種がやはり多いだろう。

もちろん営業代行やプロデューサーのように、プロジェクト単位でその指揮をとり、取り纏めをするスペシャリストの人も出てきてはいるが、やはり大部分はクリエイティブに関わる人が多いだろう。

それは海外であっても同じである。イギリスには70万人ものフリーランスのクリエイティブワーカーが存在する。アメリカのアート・デザイン業界に至っては、75%がフリーランスだ。

フリーランスという働き方は、フレキシブルにその働き方ができるものの、”会社員”の特権である社会(会社)からの保障が少ないため、仕事が減ってしまえば分かりやすく収入が減ってしまう。

国内外を問わず、危機に面しているクリエイティブワーカーがいる中で、この状況をポジティブに、そしてクリエイティブに解決し、取り組んでいる人々がいる。

アメリカの首都ワシントンに住むアマチュアカメラマンのHolly Harperさんが始めたプロジェクト。自宅待機生活を余儀なくされた人々がいるアメリカで、この時間を有効活用し、自らのスキルで価値を提供している。

それは娘のマデリンちゃんを乗せ、自転車で近隣の家々を訪ねて、自宅待機生活を送る家族を撮影するというもの。

望遠レンズを用いて撮影し、ソーシャルディスタンスを保って、”安全・安心”に撮影を行う。

撮影の10分前にテキストメッセージを送り、撮影を行った後はダウンロードリンクを送付。依頼者は自宅の玄関に並び(ときには愛犬も一緒に)、撮影を行う。

一切に対面でのやり取りが発生しないシステムだ。

撮影費用は50ドルの”recommended price”があり、その収入は小規模事業者やフリーランサー、失業者への支援に充てているという。

依頼者の住所を調べ、その日の”ルート”を考え、自転車で回る日々と言う。

 マサチューセッツ州で始まったこの「フロント・ステップ・プロジェクト」は今では全米の都市に広がっている。

自宅待機しているからこそ家族全員が揃い、集合写真を撮るには絶好のタイミングだ。

小さい子どもを折角写真に残したいと思っても、街のフォトスタジオにも行けない。多くの人が抱えていた課題に対して、彼女ができる価値を提供した。

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現状を客観的に捉え、その中で自分のスキルや経験を生かして何ができるのか。そして一番は、何をしてあげれば喜ぶだろうかを考えた末に出てきた、シンプルながらも、彼女らしさに溢れたアイデアだろう。

シェフがレシピを写真を添えて教え、スタイリストがファッションコーデを投稿し、デザイナーは家で飾れるアートを提供する。

フリーランスだからこそ生まれた時間をフルに使い、それをビジネスにどう結びつけるか、考える時間になるだろう。


安全さを求めて

アメリカの巨塔、AppleとGoogleがタッグを組み、新型コロナウイルス感染症の接触者追跡APIを提供する。

このプロジェクトは遂に来週、まずはデベロッパー向けにリリースとなる。

このプラットフォームはiOSとAndroidの両方のモバイルデバイスで使用できる。

ユーザーの実際のID情報とは無関係なランダムIDが振り分けられ、新型コロナウイルス(COVID-19)の検査で陽性と確認された人と接触した可能性を通信で把握できるというもの。

個人のプライバシーを保護するため、位置データを集めない分散システムを用い、またそのプラグインの選択はユーザーが都度選べるシステムにする予定だ。

現在開発中、またはすでに実装された接触者追跡システムは実はたくさんある。

フランス政府は独自にこのトラッキングシステム・アプリを開発しており、5月11日にリリースすると言われている。

しかしこのアプリは、追跡システムにBluetoothを使う予定である。特にAppleはサードパーティーに対してBluetooth機能を用いたデータのやり取りに制限を掛けているため、どう対処するのかがまだ議論となっている。

一方で、このAppleとGoogleが手を結ぶプラットフォームが構築できれば、共通の技術による相互乗り入れ通信が可能かつ、iOSとAndroidという世界で圧倒的シェアを持つ機種間での参加の機会が開けることになる。

日本でも、東京都の発表した感染者の多くが「感染経路が不明」という事実が大きな衝撃と不安を増進させた。

実際にユーザーが利用できるようになるのは、今年後半との見込みもあるが、”監視社会”となることの不安や、感染者のプライバシーの問題がクリアとなれば、現在世界中で行われているロックダウンや各施策の効果検証が可能となり、さらなる分析が可能となるだろう。

欧州委員会はティム・クックとのビデオ会議の中で、このプラットフォームがECのプライバシー法に則ること、そして匿名性と自由選択制、機密性、透明性、限定的使用、そして相互運用性を強く求めている。

Breton pressed Apple to guarantee that the contact tracking technology  would be in line with EU privacy laws, by being anonymous, voluntary, transparent, temporary, secure and interoperable.



B Corpという新しい判断基準

前回のDIVINでご紹介したthingtesting。広告無しの本音でD2Cブランドなどを紹介するというアカウント。

そのthingtestingが興味深い投稿をしていた。

長いのですが下記。

So many brands claim to be “sustainable”. 🤔🌎 For a long time I’ve wanted to list and review brands to see how true those claims actually are. I might not be the only one feeling skeptical and confused, because it’s also the most frequently requested filter that you’d like to see added on thingtesting.com⁣

But sustainability is extremely multifaceted; recyclable, returnable, compostable, recycled, refillable, certified, reusable, renewable, etc. For some sustainable means locally produced, and for some it means vegan.⁣

We decided to add a B-Corp filter to our website as a starting point. I know B-corp certificates are sometimes considered pure greenwashing, and while I feel skeptical about almost all certificates, I do think they are better than the status quo. ⁣

”サステナビリティ”という言葉が、日に日にトレンドとなる一方で、それをどういう意味で捉えるか、また共通認識を持つかは難しい。

thingtestingが言うように、ある人はリサイクル・リユーズできるものであると言い、ある人は地元で出来たプロダクトであると言い、ある人にとってはビーガンであったりする。

プロダクトに対しては、「オーガニック」や「フェアトレード」などの基準があるけれど、企業に対しての基準はあまり見られない。

確かに国際規格・基準としては、ISOなども存在するが、ビジョンや経営思想を反映するものではないだろう。

色々な”基準”がある中で、thingtestingが選択したのは「B Corp」だ。パタゴニアやユニリーバなどの世界的な企業が取得したことで有名となり、日本でも知名度が上がっているこの基準。

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B-Corpを考案したのは、アメリカのNPO「B Lab」である。「B」は「Benefit(利益)」を意味しており、従業員や顧客といった全てのステークホルダーに対する包括的な利益を指している。

「B Lab」のファウンダーは、Jay Coen GilbertとBart Houlahanの2人。

2人はスタンフォード大学の同級生で、ジェイが創立した「AND 1(アンドワン)」というスニーカー・ブランドはバスケなどで有名である。


AND1を売却後、彼らは「株主の利益よりも公益を優先する」このB-Corpのアイデアを徐々に固めていった。

当たり前のことであるが、株式会社は営利企業である。株主の利益を最大化することが最大のゴールであり、経営目的である。

決算で発表される利益によって企業価値が決まり、株の相場が上下するのであれば、企業は長期的な責任よりも、短期的な利益を優先せざるをえない。

しかし、実は利益以上により大切なゴールがあるのではないか。そう信じる企業は社会の公益をその存在意義とする。

「ベン&ジェリーズ」「パタゴニア」など、社会責任(Social Responsibility)に重きを置くことで知られる企業が、このB Corpを取得し、「公益企業」の登場はムーヴメントとなった。

今では世界60カ国、2,600社以上にも及ぶ企業がB Corporation (=B Corp)を取得し、アジアでもここ数年前からブームとなっている。

「透明性」や「説明責任」などB Labの掲げる基準を満たすことが認証条件となる。認証を得るには、五つの分野(ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、カスタマー)から構成される200点満点の認証試験において80点を獲得することが条件。

企業がこの認証を取得する価値は何点かある。

1つは、点数で分かりやすく可視化されるため、経営側が「良い会社」になろうとする努力や姿勢が従業員にも社会にも伝わる。

また、その姿勢を伝えることで強力なブランディングとなる。

そして、B Corpを持つ他の企業や地域のコミュニティに対し、同じビジョンや価値観を共有することで、新しい価値をつくることができる。

クラフトマンシップにこだわった、手仕事が伝わるグラスでクラフトビールを飲み、地元のアーティストの作品を部屋に飾り、フェアトレードのオーガニックの食材を楽しむ。

そんな昨今の新しいライフスタイルのように、これからは「B Corpの銀行にお金を預け、B Corpの店で買い物をし、B Corpのブランドで服を買う」といった消費の選択基準が日本でも始まるかもしれない。


今週見つけたブランド

LA発のミネラルウォーターブランド「Liquid Death」


パッケージデザインだけを見るとエナジードリンクやビールブランドのように見間違えるが、ただの”水”である。(オーストラリアのアルプスから汲んだ美味しい水だそうだ。)

しかも12本パックで15.99ドルという価格。

Liquid Deathの創設者でありCEOのMike Cessarioは、前職はNetflixのクリエイティブ・ディレクター。大人気シリーズの「ストレンジャー・シングス」や「ナルコス」などのプロモーションを担当。

そんな彼のチームが展開するプロモーションは個性的。デザインの通り、パンクで独特なプロモーションを展開している。 

コンセプトは、「喉の渇きを抹殺する」と、まさにLiquid Death(死の水)。エナジードリンクを飲むようにかっこよく水を飲める、そんなプロダクト。


2019年に創業し、単なる”缶入りの水のブランド”であるのに、200万ドルの資金調達を達成したことでも話題となったが、今年2月に今度は900万ドルの資金調達を行った。

そして、このタイミングで髭剃りのサブスクリプションサービスであり、ユニリーバに巨額で買収されたことで有名であるD2C「Doll Shave Club」の立ち上げを支援したサイエンスチームが新たにジョイン。

アメリカで人気となったのは何点かの要因がある。

1つは、世界でもトレンドになりつつある「ノンアルコール」という選択肢。

アルコールを生活に取り入れない「ドライ・ライフスタイル」は世界中で若者を中心に広まっており、アメリカやヨーロッパ各国でこのニーズに対応したレストランやバーが増えている。

さらには、アルコールを扱わない「Sober Bar(ソバーバー)」と呼ばれる店舗が少しずつだが、着実に増えている。

このムーブメントが面白いのは、宗教や政治的な思想ではなく、ライフスタイルの中で”アルコールを摂取する”ことと同じくらい、”アルコールを摂取しない”ことが普通の選択としてある「Drink Optional」という考えに基づいている点である。

そのマーケティング手法からも比較されるが、まさに水版のレッドブル。クラブでもフェスでも飲んででかっこいい”水”だ。

2つ目がエコという視点。HPでも謳っている通り、ペットボトル以上にエコであり、しかも1缶売れるたびに5セントを海洋環境清掃団体に寄付している。

正直インスタの投稿コンテンツ自体は個人的な趣味ではないが、見せ方やコピーライティングなど、エンタメ要素を大きく取り入れた手法は参考となる。


今週のDIVINはここまで。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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edited by Ayumu Kurashima

IG : @micronheads

Tw: @micronheads_new

illustration : @mihirayuta 


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