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「風神雷神図屏風」尾形光琳

「風神雷神図屏風」尾形光琳
東京国立博物館


私、昨日の昨日まで「風神雷神図屏風」って1つだけしかないと思ってたんです。

Twitterでとりあえず気になったツイートには「いいね」しておくのですが昨日仕事がちょっと落ち着いたので「いいね」を見返してたら、『アーティゾン美術館で俵屋宗達の「風神雷神図屏風」が12月22日から1月24日まで見れる「琳派と印象派」展が開催される』というものと、『今トーハクで「風神雷神図屏風」見れるからみんなぜひ!』みたいなツイートの2つがでてきて、あれ?こんな短期間で2回も貴重な国宝が見れるはずがない!保存の観点から見てもこれは絶対にありえない!!!と思って調べてみたら、俵屋宗達の「風神雷神図屏風(国宝)」をもとに、尾形光琳が模写した「風神雷神図屏風(重要文化財)」がある!!!!ということを知りました。その尾形光琳バージョンがトーハクで今見れるという答えに辿り着きまして、え、いつまでやってんの?って調べたらなんと明後日8月10日(月)までしかやってないということで冬に俵屋宗達版を見る前に、尾形光琳版も絶対に見ておきたい!!!!!!!と思って急いで今日行ってきました。

トーハクの本館の中でも「屏風」の展示室が遠藤は大好きなのですが、いつもなら兜や甲冑の展示室の方から行くのを今日は着物の展示室の方から行ってみたら、まっすぐ一直線50mほど先に、輝くようにこちらに向かって「風神雷神図屏風」が展示されており、50m離れたところから見てもその圧倒的な神々しさに遠藤一瞬にして心が震え、「わぁあった…」って思わず声に出してしまいました。早る気持ちを抑え、屏風の前に着いた時にはこの数秒で愛着が湧いてしまい、なんだかこの2鬼の神様のことがとても愛しくてたまらなくなっていました。2鬼とも表情がほんまにかわいい。そしてファッションが超おしゃれ。ストールみたいなやつ、風なびいてなかったら地面にずるずるするぐらい長いけど大丈夫なんかな(なにが)

じっくり1時間、この屏風の前のソファーで実物を目の前にしながら携帯で俵屋宗達版の「風神雷神図屏風」の写真を開いて2つを見比べ、どこがどう違うか、光琳はどういう解釈でこの屏風絵を描いたのかに想いを馳せていました。俵屋宗達も尾形光琳も「琳派」ですが、琳派は師弟制度ではなくて、自分の憧れの方の絵を真似したりして独学で勉強しても「琳派」と名乗っていいという懐の広いチームなので、光琳は宗達に憧れたんだろうなぁと思ったり。とはいえ宗達の描く風神雷神はトリミングの位置がバスッ!!って切られてる前衛的な構図に対して、光琳は枠内におさめたバランスの良い描き方をしていたり、宗達よりも光琳の方が線や色使いや服の面裏のディティールがはるかに上手かったり、風神雷神の目線が違ったり、光琳は「真似る」というだけではなく、自分らしさみたいなものもきちんとこの模写の中で表現しようとしてたんだなぁと思いました。

光琳はこの模写を経て宗達から学んだことを生かしてあの名作、「紅白梅図屏風」を描くことになるのですが、なにこの最高ドラマ、月9でやってくれへんかな。わたしなんでもやるし(なにをやねん)


そして同じトーハク内にあるミュージアムシアターで「風神雷神図のウラー夏秋草図に秘めた想いー」が上演されていたのでついでにそれも見てきたのですが、これがもう最高すぎて!!!!!35分間のバーチャル映像にその場でナレーターの方が生で解説してくださるという温度と愛とトーハクの本気を感じる映像体験ができるのですが、このシステムがすごくすごく良かったのはもちろん、光琳の「風神雷神図屏風」の裏には光琳に憧れていた酒井抱一の「夏秋草図屏風」が描かれているということも初めて知ってえええええええ!!!!胸熱!!!!!ってなりました。今は保存のために2作品は別々にされていますが、この名作が2つ表裏にあっただなんてどんなロマンよ!!!!

「夏秋草図屏風」は銀箔ベースに右には夏(秋の七種である女郎花のつぼみ状態を夏から秋への間と表現してるのほんまにほんまにおしゃれ)を、左には秋の草花がそれぞれ雨風に打たれた後の姿で描かれているのですが、風神雷神図の金箔ベースに左に雷神と右に風神という形と呼応するように描かれており、バーチャル映像ではその2作品が重なり合う様子が見れたのですが、風神の袋のところに紅葉した葉が舞っていたり、どこにでも生えている強く美しい草木の眩しい輝きが風神雷神によって新たな効果やストーリーを生み出してて、2つの作品が共鳴し合う姿がたまらなく、遠藤大号泣大興奮!!!!!!抱一!!!!!(キュンッ)ってなりました!!!こっちは水10でドラマ化頼むわ!!!

実は抱一も「風神雷神図屏風」を模写しているのですが、彼は俵屋宗達版ではなく、尾形光琳版の方を模写したそうなので宗達の描きたかったことがきちんと伝わってなくて形がかなり崩れていますが抱一らしい愛嬌のある風神雷神でこれはこれでかわいいなと思いました。


光琳の「風神雷神図」を通して「琳派」について一気に理解が深まった気がします。俵屋宗達、本阿弥光悦、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一と琳派のスタイルが受け継がれていく様子がほんまにロマンしか感じひん。めちゃくちゃおもしろいことに気づいたので、「琳派」についてもっと知っていこうと思います。


というわけで、トーハクは滅多に出さないこんなすごい作品を出しているのに全然宣伝をしないから危うく見落としてしまうところでしたがほんと直前に気づけてよかった…!屏風や浮世絵や掛軸はすぐに痛んでしまうので、展示できる期間がかなり短く、光琳の「風神雷神図屏風」もたった2週間弱しか表に出ていないのです。間に合う方はぜひ行ってみてください!!!


冬に宗達の「風神雷神図屏風」を見るのが本当に本当に楽しみです!!!!!

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