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私のはなし 前編

ちらほらと私自身の話を聞きたいという声があったので、今日は私の話をしようと思う。こんな風に自分の話をまとめてするのは初めてで、自意識過剰な感じで恥ずかしさしかないが、今の活動に至る経緯ではあるので興味ある方は読んでください。

私の最初の記憶は2歳前、妹が生まれた直後だ。食器を乾かすためのケースの透明な蓋に新生児の妹が寝かされている。昼下がりで近くに親はいない。私は新しく入ってきた存在に、戸惑いを感じていた。

そんなある日、妹の顔に直射日光が当たっている。眩しそうで辛そうに顔を歪めている。母はいつも赤ん坊の顔に陽が当たらないようにしていた。私は心配になり、近くにあったタオルをケースの上に被せて日陰にしようとした。けれども重さで落ちて、妹の顔にタオルが被さってしまう。息ができない。私はタオルをピンと張った状態でタオルを押さえ続けた。辛い。きつい。でも妹は日陰で穏やかな顔をしている。陽が傾いて妹の顔に当たらなくなって、ふうと手を離す。これから自分が守ってやならければならないんだという、姉の自覚の芽生え。それが私の最初の記憶だ。

その後さぞ妹弟思いの優しいお姉ちゃんに育ったと思われるだろうが、そうでもない。確かに姉という自覚はあったが、それは守ると同時に支配意識もあった。「自分がコントロールしなければならない」という過剰な自意識と責任感。これは私が20代前半まで持つことになる。

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