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Annaの日記 犬というこども⑧

 通常、出産は、陣痛が来て普通分娩をすると5日で退院となる。帝王切開をして7日間。
 私は出産予定日から14日も出産が遅れ、お腹からの追い出し入院+緊急帝王切開で12日も入院した。

 犬は完全に私が家から去ったと思っただろう、捨てられたと思っただろう。ほんの少し前の男二人(犬と夫)の生活に戻った。
 入院日が決まっていたため、まぁ長くて1週間と思い、しこたま冷蔵庫、冷凍庫を埋め尽くすくらいご飯を作って入院したが、見事に5日目には空っぽになり、毎日3合のご飯と、スーパーの総菜という生活になった。

 私と夫の中では、日々はらはらし、緊急帝王切開で子供がうまれ、出生届を出し・・と日々バタバタしていたが、犬からしてみれば、この食生活をみて、このおじさんはひとりぼっちになってしまったと思っただろう。 
 犬も犬で、夕飯準備の時の肉のおこぼれをもらえる事はなくなり、やはり元気がなく、すぐ玄関にいく毎日を送っていたらしい。



12日目の奇跡。私が帰ってきたのだ。なんだか見たことない生き物を連れて。

 犬は本当にもう2度と私は帰ってこないと思っていたのだろう。
まん丸く目を大きくして、飛びついて、鳴いて鳴いて、顔中をなめまわした。


          嬉しかった。


 しばしの再会の儀式をした後に、妹になる新生児と対面した。
アレルギーの心配は多少なりあったが、どういう反応をするのか見たく
そっと床に娘を置いてみた。

 犬は、こにょこにょ動く生き物が不思議で仕方なく、匂いを嗅ぐに嗅きまっくった。
 その後も、娘が寝れば、ずっとベビーベットから片時も離れず、泣くと私のところにきてソワソワと妹が泣いている事を伝えきた。


     すっかり兄になっていた。


 しかし・・・兄といっても3歳。(人間にしたら30歳くらいだけど・・・)


    犬版赤ちゃん返りがあるなんて、この時は知る由もなく
    さすがだねーなんていっていた。


                  ~続く~



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