じあたま【作家】

SF哀愁ショートショート。思考ツールとしての日本語の、イラスト付き単語帳。ビジネスパー…

じあたま【作家】

SF哀愁ショートショート。思考ツールとしての日本語の、イラスト付き単語帳。ビジネスパーソンみたいに普段左脳を使ってる人には、「言語化しづらい悲しさ」を。立場問わず忙しい人には、スキマ時間で何度も見返せる「根本的な知性」を。

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  • じあたまの、英語学習あるある【エッセイ】

    英語学習のはし休めに効果的。 2分で読めるあるあるをまとめています。

  • 意味が分かると面白い話【エッセイ】

  • エッセイで地頭をムキムキにする

    「職場で提案が通らないんだよなあ」「人間関係が難しい、、、」 そんな悩みは、エッセイで頭の使い方を知れば一発解消です!

  • 就活後のエピソード【エッセイ】

    「なんかやる気出ないなー」 そんな時は、就活を終えて輝いてる/腐ってる先輩を見ましょう!モチベーションになるはずです!各エピソードは数分で読みきれます。

  • エッセイで学ぶ就活

    「心が削られる」「何が正解か分からない」 そんな悩みは、平凡文系なのに初年度550万円をもらう、じあたまのエッセイで吹き飛びます! 各エッセイは数分で読みきれます。

最近の記事

商社マン”イケ男”の哀愁 ①/④

  「え~、ってかぶっちゃけ、お二人ってどのくらい貰ってるんですかあ?」 今日は2対2の合コン。 「いや、全然もらってないよ。ボーナス入れて一千数百万とかだし。」 そう言いながら、イケ次郎が目配せしてくる。 「そうそう、俺らの先輩なんて、ほとんど仕事しないのに数千万貰ってる人もいるのにさあ!」   「え!スゴーイ!そんだけ若いのに?」 バトンは持ちすぎちゃいけない。 「またまたそんなこと言っちゃってw。○○ちゃんだって、その靴ジミーチュウじゃんか」 そういえば、大

    • 作者「肝試し感覚でどうぞ」

      「今日は、インタビューの依頼を引き受けて下さって、本当にありがとうございます。」 Zoomの中からライターが挨拶をしてくる。 「とんでもない笑。こちらこそお酒を飲みながらにはなりますが、どうぞよろしくお願いします。」 木製のテーブルの上に、PCとグラスが置いてある。 分厚いスチールでできた壁が、声をほんの少し反響させる。 男はかれこれ20年、コンテナの中から一歩も外へ出ていない。 「早速ですが、普段は何をなされてるんですか?」 「一応プログラマーですね。個人で、スマホ

      • 「いやいやお客様、それでは困ります。現代日本、食い逃げヤリ捨て泊まり逃げ、どれも全く許されません。」

        無精髭と、テカテカにひかる髪の毛。三十路ほどに見える大柄な男が、吹き抜けのエントランスに足を踏み入れた。そこは、床の隅までがワックスで輝く四つ星ホテル。猫背に千鳥足の男以外は、平日の夜から旅行できる権力者か、経費でハイレベルなホテルに泊まれる重役しかいなかった。 「おい、そこのフロントマン。今週いっぱいくらいまで空いてる部屋はあるか?」 一瞬怪訝になった顔は、プロ意識がすぐさま塗り替える。 「は、お客様。ご予約の方はございますか?」 「予約?いや、していない。ネットには

        • 焦る様子の無いふたり。普通の会社なら、役員会議のテーマになりそうだ。

          のどかな田んぼが車窓に流れる、数人しか乗っていない通勤電車。安いスーツを着た、若手の中学教師が座っていた。    『○○駅~、○○駅でございます。』 ドアが開き、新たに一人乗って来た。彼は代謝が良いのか、ジャケットを肘にかけてワイシャツ一枚になっている。同じ学校に勤めるベテラン教師だ。  「おはようございます、○○先生。」 ベテラン先生があいさつすると、新米先生は朗らかに隣の席を手で示す。通勤中の上司との接触にしては、違和感があるほどに柔らかい空気だ。  「○○先生、

        商社マン”イケ男”の哀愁 ①/④

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        記事

          作者「ちょっと下品だったかもですw」

          はあ。 「俺がもっとうまく組織を回せていれば、あんな奴の言うことなんて無視してやれたのに。」 VIP席のソファにもたれて息を漏らすのは、とある惑星のスポーツ協会会長だ。ガラス越しには、星全体が熱狂する、年に一度しかない決勝大会が見える。 日中のグラウンドで、筋肉を伸縮させる選手たち。相手チームとハイレベルな勝負を見せる彼らを、会場では数万人が、電波上では数億人が応援していた。 「いや~、今のプレイはどうでしたか。解説の○○さん?」 「やっぱりプロの技ですよね。たぶん今

          作者「ちょっと下品だったかもですw」

          「だよなあ。いくらボケ始めた頑固じいさんだとしても、かつての巨匠だろ?」

          ベストセラー作家でもある建築家にデザインされたオフィス街で、現代アートの展覧会が開かれている。展示会場には、三色のベタ塗りで描かれた図形の集合体や、浮遊する大理石が並ぶ。 壁に飾られた2m四方の絵を眺める家族。 「ママ、この絵、なんだかすごく好き。」 絵を見ながらそうつぶやいた娘は返事がないことにムスッとし、母親の袖を引っ張った。 「あ、○○ちゃん。ごめんね、ちょっとママ、すごく悲しくなっちゃって。」 母親は目の前にある濃紺基調の世界に、あと一歩で帰ってこれなくなる

          「だよなあ。いくらボケ始めた頑固じいさんだとしても、かつての巨匠だろ?」

          言い争いもするし、稼ぎも少ない。しかし、生理も含めた彼女の事情には人一倍の理解を示すパートナーと、結ばれて良いものか迷っていたのだ。

          「絶対ここがおすすめだって!普通コンサルって胡散臭いやつらばっかだけど、ここの人は実績もあるし、あのボーキング博士のもとでも学んでたんだぜ?」 「まあ、俺もここまで来てキャンセルなんてしないけどさ。」 スーツ姿の若者二人が、ロックバンドのMVのようにまばゆく光る、高層ビルの入り口で話していた。 「あ、すいません、○○で予約してたものですけど。」  ビルの一階にある『相談所』。店の前にはセンスの良い看板がかかっている。 中に入ると、天然の皮を使った濃い茶色のソファが並ぶ応

          言い争いもするし、稼ぎも少ない。しかし、生理も含めた彼女の事情には人一倍の理解を示すパートナーと、結ばれて良いものか迷っていたのだ。

          神様かんべんしてくれよ。ビル群が強烈に光る渋谷の横断歩道で、イケてる若者たちとアラサーOLの対比はきついでっせ。

          ふふ。わたしってやっぱり才能あるのかな、なんてね。 セールストークかも知れなくたって、ネイティブの先生にあれだけ褒められちゃったら、そりゃあ嬉しいよね。ただでさえ、わたしみたいな冴えない系OLはめったにチヤホヤされないんだもん。 仕事終わりに英会話教室に行き、夜も更けるタイミングでようやくアパートへと向かう。 ん?向こう側にいる人達、もしかして女子高生? 神様かんべんしてくれよ。ビル群が強烈に光る渋谷の横断歩道で、イケてる若者たちとアラサーOLの対比はきついでっせ。 で

          神様かんべんしてくれよ。ビル群が強烈に光る渋谷の横断歩道で、イケてる若者たちとアラサーOLの対比はきついでっせ。

          「へい!俺は、真ん中のやつは『事後』も加工済みのエサを食い続ける方に20ドル賭けるぜ。どっちの檻もだ。」

          その研究所には、人間を横に寝かせたくらいに大きな檻があった。檻には3匹のニワトリが入っていて、3羽がいるスペースは透明なアクリル板で仕切られていた。ニワトリにはそれぞれ別の食事が出されており、右端のニワトリには天然のエサが入った皿が、左端には加工済みのエサが入った皿が、真ん中には両方の皿が出されていた。とうぜん加工済みのエサは味が良く、かつ脂肪分が多く作られている。 その研究所には、そんな檻が二つあった。幼体が三羽入った檻と、成体が三羽の檻だ。  「なあ兄弟、そろそろ頃合

          「へい!俺は、真ん中のやつは『事後』も加工済みのエサを食い続ける方に20ドル賭けるぜ。どっちの檻もだ。」

          なんか、知らない人からもらう優しさって、新発売の肉まんみたいに温かいな。

          帰り道の渋谷はいつも混んでて、ここの横断歩道はギュウギュウになる。でもそのおかげで渡るときに、運よくイケメンなお兄さんと肩が触れたりすると、申し訳ないと思いつつも、やっぱりちょっとドキドキしたりする。 赤信号を待つ間に、自分の正面にいる人はなんとなく雰囲気を掴める。真面目そうなサラリーマンとか、イライラしてる主婦さんとか、早く友達の家に行きたくてウズウズしてる小学生とか。 今日の人は、正直ちょっと苦手なタイプ。 年齢は大学生くらいで、髪は茶色で、ダボッとしたTシャツに、大

          なんか、知らない人からもらう優しさって、新発売の肉まんみたいに温かいな。

          秋丸康はAI以上だ。

          「全く!笑いが止まらないよ」 数人の男が、高層マンションの一室でどんちゃん騒ぎに勤しんでいる。 「ああ、まさかこんなにうまく行くとは!」 ソファに座り、大理石の机に脚をのせている者もいる。 「あのAIを開発した学者さんに、いくらか包んでやってもいい位だ。」 一番下っ端風の男がそう言うと、空気は一気にぴりつく。 「おい、てきとうな事は言うな。あれを盗んだことが世に出たら、俺らは底辺プロデューサーに逆戻りだぞ。いいか、見張りの奴にもそれをよく伝えておけよ。」 男たち

          秋丸康はAI以上だ。

          おかしい、類人猿での実験では成功したんだ。なぜいつまでたっても取り出せない。

          「博士、今回は本当に助かったよ。」 「まあ大したことじゃないさ。ちょっとばかり掘削機のデザインをいじっただけだからな。」 「また謙遜を笑。博士のおかげで、これまでは手を付けられなかった鉱山からも、ケイ石を取り出せるようになるんだ。」 はっきり言って、私にはこいつらの言う事が全く理解できない。なぜ、鉱物の採集効率を上げることを、そんなにも難しいことと考えるのだろうか。 幼い頃は、私より賢い子などいくらでもいたはずだが。 「博士、今回は本当に助かりました!」 「まあ大したこと

          おかしい、類人猿での実験では成功したんだ。なぜいつまでたっても取り出せない。

          コツは私に訊かないで。 パーティに入れるようになってから、何も考えずにドアが開くようになったから。

          朝のスマホは、笑わないと開かない。この設定のおかげで、朝いちばんに脳からセロトニンを出せる。笑顔が苦手な人は、恋人とのツーショットをイメージして。 午後のノートパソコンは、怒らないと開かない。怒りはアドレナリンを分泌して、ランチの後でもパフォームできるようにしてくれる。コツは、歯をむき出しにして眉に力を込めること。 私は情報交換のために、仕事終わりにパーティに行く。 エントランスは、美しくないと開かない。相手の容姿が汚いと、ヒトの情報収集には偏見が入ってしまうから。ポイ

          コツは私に訊かないで。 パーティに入れるようになってから、何も考えずにドアが開くようになったから。

          「こちらインスタ班!あと2分で解析終わります!」

          そこは戦場だった。兵士たちは敵を傷つけ、倒す必要に駆られ、目を血走らせて敵の弱点を探した。  「おい、アイツの情報はまだ集まらないのか!」 上長が部下を怒鳴る。  「こちらインスタ班!あと2分で解析終わります!」  「こちらツイッター班!あと5分です!」 敵意をガソリンにして奔走する部下たちは、敵軍司令官がパンケーキの画像をアップしているのを見つけた。  「パンケーキを狙うのはいかがでしょう!」  「そんなんじゃ甘い!もっと致命的な弱点を探せ!」 二班はさらに調査

          「こちらインスタ班!あと2分で解析終わります!」

          彼がこんな風に、マチ針が刺さりまくった布切れみたいになって、陰口叩かれる理由は嫉妬じゃない。

          「あいつマジでノリ悪いよな」 分かる~w。 同期のタクミくんは、新卒の中で一番学歴が良くて、一番仕事がデキて、正直一番イケメン。そんな彼がこんな風に、マチ針が刺さりまくった布切れみたいになって、陰口叩かれる理由は嫉妬じゃない。 「私達のこと見下してるのかな?飲み会とか全然来てくれないよね。」 業務のやり取りは普通にしてくれるし、コーヒーメーカーの前では好感度No.1俳優かっていうくらい愛想よく雑談だってしてくれる。それなのに、なんで飲みの誘いとかは断られちゃうんだろう。

          彼がこんな風に、マチ針が刺さりまくった布切れみたいになって、陰口叩かれる理由は嫉妬じゃない。

          「君のそんな言葉を聞きながら、二人で一緒に死ねるなんて幸せだよ。」

          私達、今日までずいぶんと長生きしたわね。 うん。それに、ずいぶんと一緒に時間を過ごしたね。 あなた、あの時のこと覚えてる?スペインで食べ放題をしたときのこと。 ああ笑。あの時はふたりとも若かったね。それに、ヨーロッパ中が活気に溢れてて、食べ物も信じられないくらい味わい深かった。帰りに寄ったアメリカはいまいちだったけど笑。 良かった、あなたが覚えていてくれて。 忘れるわけないだろう。 それじゃあ、今度は僕の方から訊かせてもらうよ。あの時のことは覚えてる? もちろんよ

          「君のそんな言葉を聞きながら、二人で一緒に死ねるなんて幸せだよ。」