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善し悪しは時間が経ってから分かるから、損得勘定なしで選びたい

「ここの壁が厚いから、月経が重いでしょう。月経が重いからピルを飲んでいたの?」
検査結果の画像を指しながら話す医者の言葉に、驚いた。月経が重いことを分かってくれた医者は初めてで、その根拠を示してくれた人も初めてだったからである。
何より、自分の月経が重いことを思い込みとか、妄想とか言うのではなく、理解してくれたことに救われた。
さらに、
「長年のピルで炎症が抑えられているから、良い治療方法を採ったね。」
と言われたものだから、もっと驚いた。
……………
私がピルを服用し始めた5年前は、ピルは避妊目的との認識の人が多く、重い月経を抑えるためとの認識を持つ人が少なかった。現に、服用すべきかを相談した家族や友人は、服用の安全性を疑うばかりで、飲む方向に向いてくれる人は1人もいなかった。
それでも友人の医者が、執拗に勧め、ピルを家に送るものだから、飲む選択をした。
「りりいちゃんは月経が重いはずだから、必ず飲み続けるように。」
「最初は頭痛がするけど、飲み続ければ頭痛はしなくなるから。」
と、毎日のようにLINEがきた。ピルに抵抗があったが、彼が神の手と呼ばれる医師の直近だったから医学的に信用ができたこと、何より自分には目標があってそこに邁進したいと思ったから服用をし続けた。

その当時はピルによる治療の効果は、正直、そこまでは分からなかった。しかし、5年間続けた結果、服用を始めた時の友人医師の言葉を、もう一度、別の医師から聞くことになる。
「検査結果は一切、異常ありません。卵巣の老化がよく抑えられています。」
と。
……………
5年前、服用の決断をしたのは、友人医師が、
「女性でもやりたいことをやりな。」
「自分の人生を諦めてはいけない。」
「これを飲んでいれば、卵巣の老化を抑えることができる。結婚は今じゃないよ。」
と、何度も何度も言い続けてくれたからだった。さらに、月経が重いときには、診断書を書き休みを取るようにと、前職へ送ってくれた。
こうして、自分の人生を歩むことができた。結婚しようと思って始めた婚活で、偶然、母校が同じ同郷の医師に再会していなかったら、おそらくあの時、ピルを服用する選択はできていない。
その場合、今、どうなっていたかは想像に難くない。
………………
「あの時」と、結果が出てから選択をした何年も前のことを思い出すことがよくある。選択した当時は、結論が見えない。なぜなら、結論は時が教えてくれるものだから。だから選択の時は迷う。
その中で、間違えたと思うときは、選択をした時に打算で選んでしまった場合だと思う。パートナーにしろ、薬1つにしろ、思い返した時に、誤っていても正解でも「よかった」と思えるのは、損得感情抜きで、自分の心に従った時だろう。こちらを選んでいれば、見返りが獲られる。そんな思いのもとで選んだ選択肢は大体、何も手にしない。

私が友人医師の判断を選んだのは、ただ彼と同じ様に自己実現で生きていくことを、あの瞬間したかったから。そこに、家族や友人のご機嫌を取ることや、彼の言いなりになったら何かのメリットがあるかもとか、そんな欲はなかった。ただ重い月経から解放されて、伸び伸びと自分のやるべきことに夢中になりたかった。
………………
結論が見えない段階で選ぶのは、難しい。その時、打算や損得感情で選ぶと、本当に必要なものを見失ってしまう。
私には生理痛から解放された快適な日常が必要だった。そして、自分の人生に夢中になりたかった。神の手といわれる脳外科医につく麻酔科医の彼のように、自由に生きていきたかった。
ただその思いで選んだから、今、手にした結論がよかったのだろう。

仕事をしていると、今、自分が飲み込めばきっとみんな分かってくれて自分にいいことがあるという期待や損得勘定で動くことがある。しかし、それらは大体何も得られない。
何かを得たいのなら、損得勘定抜きで、今、必要なものを選ばなければならない。そうやって取捨選択を積み重ねて、時間が経った時、選んだものが成功となるのだろう。

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