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贖罪の向こう側

「禿げてるよ」

幼い頃 ジャングルジムで
友達が僕を見下ろし
目を丸くして言った

あの言葉が無ければ
僕はいつ 自分のストレスに
気づくことができたのだろう

社会に居心地の悪さを感じながら
逃げ出すには幼すぎて
知恵や手段のない僕は
無力感に苛まれていた

その皺寄せとしてとった行動が
自傷行為だった

自傷行為

リストカットなどではなく
爪を噛んだり コンパスで刺す
髪を抜く といったものだった

小さな頃から
羞恥心が強かった僕は
人前でそのような行為に
及ばないよう気をつけていた分
人から指摘されることは
殆どなかったが
頭髪だけは誤魔化しが効かなかった

誤魔化しが効かなかった
そのおかげで
自分を客観視でき
抜毛症は次第におさまった

T.Y.くん
今どこで何をしているか
知らないけれど
君には感謝しかない

爪を噛む癖は
今も過度なストレスに際すると
出てしまうのだが

爪を噛む人はヤバい

先日 テレビを見ていた時に
ある大所帯グループのアイドルが

「爪噛む人はヤバい人」

と言っていた
そのように映るのは
仕方ないと思うのだが
そこに至る理由もある

なんてことは
想像に難いから
その発言も理解はできる

ただ 10歳にも満たない私が
そうだったように
爪を噛みたくて
噛んでるわけじゃない子どもたちがいることは
多くの人に知っておいてほしい

「爪を噛むのやめなさい」

と言っても
その行為は止められない
原因は別のところにある
そして 子どもだから
その原因は限られた環境の中に潜んでいる

爪を噛む子に寄り添うべき人たちが
理由であることも多いため
事態の解決を難しくしているし
たとえ誰か他人が気づいても
どうしてあげることもできないのだ

贖罪の向こう側へ

孤立が広い世代で問題となり
コロナ禍も手伝って
人とヒトの距離はさらに広がっている

私は社会の被害者となり 次第に
加害者にもなって行ってしまった
と言う経験は 表現活動の
根幹を成しているとも言える

あの日の自分を助け出し
あの日の自分を許したい

贖罪と呼べば抵抗を感じる人も
いるかも知れないが
私にはしっくり来る言葉である

Ayaorchestra で掲げるミッションも
このような経験があってたどり着いた言葉だ

音楽・表現を通じ年齢・性別・職業・国籍など
あらゆるボーダーを溶かし、
人とひと・人とものこと・人と場所・人とそのヒトの心
などにおける「つながり」を育みます

寄り添うべき人が 寄り添える
どうにかしてあげたいと思った人が どうにかしてあげられる
そんな社会づくりに
音楽と表現のある空間で微力でも貢献したい

活動も 12年目
私が誰かを幸せにできたかは分からないが
自分が幸せを感じられるようになったことは確かだ

そろそろ 贖罪の向こう側へ歩み出す時が
来ているような気がする

Ayao, Ayaorchestra
https://www.ayaorchestra.com

=Event info=
https://peatix.com/group/6651/events

「音楽を求めてくださる方々に届けること」を目指しておりますので、サポート頂けるとこれまでお届けできなかった人々のところへも伺うことができるかも知れません。宜しければお願いします。