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なんかスキ

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よくわからないけど、スキだと直観的に感じた記事を集めてみた。  何がスキなのかは、集めているうちに気が付くかもしれない大笑。
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2024年2月の記事一覧

【フォト小説】たどりついたら猫の島

※この作品はフィクションです  私が三十八歳のときに、夫は三十九歳で他界した。  夫の遺品を整理している最中、免許証を見て、その本籍地が香川県の佐柳(さなぎ)という場所であることを思い出した。夫の父は佐柳島という瀬戸内海に浮かぶ小さな島の出身らしい。横浜生まれで横浜育ちの夫も、その父と同じく本籍地はだけは佐柳島になっているらしかった。  一周忌が終わった後で、私はその佐柳島へ行くことにした。夫の父親も若い頃に島を出ているわけだし、本籍地の住所に行っても何も無いことはわか

今日の名言は、「美とは、芸術家が世界の混沌から魂を傷だらけにして作り出す素晴らしいなにか、常人がみたこともないなにかなんだ。」

パンケーキ大好きなかおるんです。いつもエンピツカフェの決まった席で本を読んでいます。 悩みごとがあるときに、ふっと何か大切なものを気づかせてくれる先人の名言を紹介しますね。 イギリスの人気作家Somerset Maugham(サマセット・モーム)さんが、画家Paul Gauguin(ポール・ゴーギャン)さんに着想を得て書いた小説「月と六ペンス」って知ってますか? 株式仲買人としてよく働き、よき家庭人として振る舞っていた主人公のストリックランドさんが、40歳で絵を描くためロ

【 note公式マガジンに収録されました 】 BOOKホテルにて

***** 💡noteの公式マガジンに収録されました💡 【 ホテル・旅館 記事まとめ 】 お題企画「 #泊まってよかった宿 」や関連する投稿の中から、ホテルや旅館など、さまざまな宿泊施設にまつわるすてきな記事をまとめるnote公式マガジンです。 ***** 以前、「自分へのご褒美」をテーマにしたエッセイを書いた際、こんなコメントをいただいた。 「私の場合、自分へのご褒美は1人の時間をつくることです。例えばBOOKホテルに行くとか。1人で何にも縛られずに自由にいれる

結婚

最寄駅の京阪電車「渡辺橋」のふたつも手前の「なにわ橋」で降りてしまったことに気づいたのは外に出てからだった。このあたりは川べりが広々としてヨーロッパの雰囲気(歩いている人は関西弁)。明治、大正、昭和の雰囲気が漂う古いビルが建ち並び、落ち着いて心地よい場所である。 「みなも〜!」 入試が終わって発表まで中一日ある15歳の娘が、淀川の水面の美しさに感激してスマホを取り出す。淀川の水がきれいなわけではない。その水面に反射する春の光が、この世のものとは思えぬ美を発散していた。 「

追憶と忘却の織物 -映画『瞳をとじて』、ビクトル=エリセの若さ【レビュー・批評#8】

現在公開中の、スペインの映画監督、ビクトル=エリセの新作映画『瞳をとじて』を観てきました。Xの方にも少し書きましたが、素晴らしい傑作であり、驚きの作品でした。 ある映画の主演俳優が失踪したまま、映画が中止になります。それから年月が経ち、映画監督は、それ以降作品が撮れず、ほぼ小説家になっています。 そんなある日、失踪した俳優を探すテレビ番組に出るために、かつての映画監督はマドリードに行くことに。そこから、俳優の行方と、監督自身の過去を巡る旅が始まります。 この作品は、『ミ

続・メッセージを受け取る私。いよいよ誕生! への道 (2024/2/6加筆版)

初めましての方、そしていつもご覧下さってる方、sanaのnoteに足を運んで下さり、ありがとうございます。皆さんが縁あるいつかの星に繋がる時のために、sanaの現場からの何かをころんとお届け出来たら、と思っています。 2020/06/06の記事を2024/02/05に加筆更新しました。2000文字程度増量して加筆版は1万字を超えていますので長いです。 ということを先にお知らせさせていただきます。 メッセージを受け取る私への道 これはお知らせを受け取るとか、直感によって様

音の名前、文字の名前、捨てられた名前たち

 今回は、名前を付ける行為について、私の思うことをお話しします。最後に掌編小説も載せます。 ◆音の名前  ウラジーミル・ナボコフは、Lに誘惑され取り憑かれた人のように感じられます。Lolita という名前より、Lに取り憑かれている気がします。あの小説の冒頭のように、 l をばらばらしているからです。  つまり、Lolita を解(ほど)き、ばらばらにするのです。名前を身体の比喩と見なすとすれば、この行為は猟奇的だと言わざるをえません。  名前=身体を口の中に入れ、舌で転