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「公園」をします(第一回:一軒家の公園)


池田彩乃滞在制作展「公園」

第一回:一軒家の公園
2022年12月31日~2023年1月4日
12時~19時

トタン
東京都台東区谷中3-9-23

https://totan.tokyo/

公園はあなたに尋ねたりしない
あなたがしたことも していないことも
何者であっても なくても
公園はあなたをあなたとしか思わない
そこにいる
そこにいるだけでよい
公園はここにある
あなたも わたしも
ただここにあるだけでよい

--

ここにいます。
ここで、公園をします。
詩と手紙と本とあたたかい飲み物、あります。

はじめての試みとして、その場でオーダーメイドの詩作を承ります。
一年のおわりに、あたらしい一年のはじまりに
ことほぎくじやお守りも作ってみようかなと思っています。
こちらは「おめでとう」のオンラインショップでもおひろめします。

遠く近くから、ここへ。
公園で会いましょう。

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【ご案内】
・古い家屋をお借りします。十分あたたかい格好でお越しください。
・飲食物の持ち込みできます。展示空間のため匂いの強いものはご遠慮ください。
・食べ物のシェアもできます。感染症対策にご理解ご協力をよろしくお願いいたします。



2021年~2022年の年末年始


昨年、12月30日になったばかりの真夜中、居ても立っても居られず思い切ってツイートしました。

わたしは年末年始が一年の中で一番こわいです。
自分のこれまでの年末年始に対する思いはnoteに書きました。

この年の年末年始の顛末は、鍋いっぱいにおでんを作り呼びかけたところ、市内在住の読者の方がメッセージをくださり、シェアハウスの住人も混じえてごはんを食べました。流れるようにその方と年越しをし、初詣に行き、長い散歩をして、ドーナツをたくさん食べました。あたらしい友だちができた年末年始でした。マシュマロを設置し、いろんな方とも言葉を交わしました。「近かったら行きたかった」と仰ってくださった方もいました。
その年の12月に起きた北新地放火事件(ちょうどこれを書いている一年前だ。夜には雪が降ってた)の速報を見た帰り道、涙が止まらなかったことは書くべきではないと思え、ただ「愛を急がなきゃ」と書いた。ここにはまだ足りないものがある。その事実を突きつけられたように思えて仕方なかった。

「うちにごはん食べにきてください」はこれまでの活動や言動の中で最も決定的に領分を違えた発言だったけれど、出会えた人がいた。話してくれた人がいた。わたしたちはどうして別々の屋根の下でふるえているのだろう。時々ほんとうにわからなくなる。
感じたことを忘れたくなくて、スケジュール帳の2022年12月に「おめでとう屋さんをする!」と書き込んだ。


2022年~2023年の年末年始


「おめでとう屋さん」のイメージはふんわりしたままだったけれど、年末年始いられるところ、且つなるべく都会がいいと思った。すべての街からたやすく訪ねてゆける場所があれば絶対そこでやりたいけれど、極端な話、内輪の集まりになりそうな予感がある場所(わたし個人の縁が深い場所)では自分があえてそれをやる必要はないと思った。ほんとうに居られるだけでいい。それだけでいいのに、なかなか思うような場所は見つからなかった。
谷中のトタンさんは2019年年末~2020年年始に開かれたトナカイさんの個展で訪れたことがあり、とてもあたたかな思い出がある。谷中銀座と呼ばれる商店街へおつかいへ行ったこともあるし、おいしい中華も食べた。コロナ以前、ぽつぽつと人がやってきて静かにトナカイさんの展示を見たり、詩集を読んだり、珈琲やチャイを飲んだり、すこし涙したり、話したりしながら、同じ屋根の下にいる。トタンという場所のおおらかさとトナカイさんの「ただそこにいる」という静かなあたたかさが合わさった特別な時間だった。こうして書いていて、自分がそこにいた記憶をこんなに大事に思っていたなんて知らなかった。コロナ禍の中で失われてしまったという落胆の大きさを覚えているからだろうか。

今回、だめもとでトタンさんへお願いしてみたところ、お借りすることが叶いました。2022年12月31日から2022年1月4日まで、わたしはそこにいます。おでんは作らないし、珈琲もチャイもふるまう予定はないですが、あたたかい飲み物を出せる準備だけしています。


この星にあってほしいものをつくる


大人になってからです。公園が必要だと強く思うようになったのは。立ち止まれる場所があるだけでちょっと大丈夫になれます。はじめに書いた「ここで生きていくことについてなにか小さくとも手を打ちたい」という気持ちが、いつかわたしの公園のかたちになればいいなと思っています。この世にたくさん公園があったらいいな。いくらでもあってほしいです。みんな公園作ってほしい。

『百年の散歩』池田彩乃,中村菜月(言祝出版)

今年8月に発売した『百年の散歩』。たくさん手にとってくださり、ありがとうございます。もうじき第2版が刷り上がります。手紙を交わしてからは一年とすこし経ちました。わたしにとって『百年の散歩』は問いかけであり、種蒔きです。この時点では「この星にあってほしいもの」を作るために自分自身が何かを試みたわけではありません。だから自分は『百年の散歩』の続きを生きてゆかねばと、カバーや帯を折りまくっている間もずっと考えていました。自分の人生がどこへ転がってゆこうが、これだけは譲りたくない。
「公園」を実践します。

作った本があります。詩集が多いです。
大事な本や、読みたいけれど読めていない本も連れてゆきます。
拾った石を並べています。握ったりもできます。
日が暮れたらちいさな灯りを灯します。

東京は年末年始も気兼ねなくいられる場所は多いのでしょうか。見る限りわたしのすきなお店はきちんとお休みを取っておられます。安心します。同じように安心しながら、あてどなさを抱えているひとに、ここが見つかりますように。友だちの家でもなく実家でもなく職場でもない、消費しなくてもいい場所で、ただあなたがあなたでいるだけでいいと、思えますように。


ここじゃないどこかにいるあなたへ


自分はどこで何をするにしても、ここじゃないどこかにいるあなたのことを思わずにはいられません。日々この国のあちこちに手紙を送っているから。あなたがそこにいることを知っているからです。東京でやろうが京都でやろうが沖縄でやろうが会えない人がいることは承知しています。だから、すべての街からたやすく訪ねてゆける場所としてインターネットを信頼しています。
「おめでとう」という屋号を持っていますので、これでもかと力いっぱい新年の言祝ぎ、お届けします。オンラインショップから手にとっていただけるように、どこにいても、あなたへ届くように、ここでお待ちしています。


最後に


この試みがどのような景色を作るのか、まだわかりません。
準備期間が極端に短いので、いろいろやりきれないことは出てくるのだろうなと思います。
年末年始はもちろん、これから何度もいろんな場所でかたちを変えながら、くりかえし実存をかけて試みるつもりです。
様子を見ていて、もしも「公園」のために場所をお貸しいただける方がおられましたらお声がけお待ちしています。公園がどういう場所かは『百年の散歩』を読んでいただけるとより伝わると思います。
よろしくお願いいたします。


おしながき(12/29追記)

オンラインショップはこちら。


◆「新春言祝おみくじ」

(トタン・オンライン / 1人1篇まで)
全23篇。
短い言祝とラッキーヒントが書かれています。
金か赤の封筒(オンラインはランダム、トタンでは選べます)
2,023円(オンラインは+送料)


◆「あなたのための新春言祝」

(トタン・オンライン / 1人1篇まで)
キーワードを3つください。
短い言祝を書き、金の箔押し特製カードに貼りお届けします。
完成した詩は届くまでおたのしみ。

※1 詩作のモチーフにさせていただくかはお約束できません。あらかじめご了承ください。
※2 リテイクはお受けしていません。返金対応のみ承ります。

5,555円+送料

トタン、オンライン並行してお受けしますが、トタンでのオーダーを優先して制作します。
(お店番があるので当日お渡しはできません。ご了承ください)
オンラインは制作状況を鑑みて受注可能な件数を更新してゆきます。がんばります。


◇「あなたへの手紙」

会期中毎日、お手紙をわたしから「あなた」へ準備しています。
受け取ったあなたはお返事をこれから公園を訪れるまだ見ぬ「あなた」へ宛ててください。
あなたからあなたへ渡る手紙のリレーです。
往復書簡ではありませんが、あなたが公園を訪れたとき必ず誰かからあなたへ宛てた手紙があります。
参加費いりません。手紙セットはこちらで用意します。


◆本たち

※本たちはオンラインショップでのお取り扱いは予定していません。
おめでとうグッズのみ掲載予定しています。

『百年の散歩』(言祝出版) 1,800円
『観光記』 1,500円
『舟』 1,500円
『一杯の水を注ぐ手紙』 800円
『発光』 1,000円
『星渡りの便り 2020年12月号(さわれる星つき)』 1,000円
『Super sensitivity world』(過去作zine) 特価
『光るよ』(過去作zine) 特価

『花が咲く頃の土』トナカイ 1,300円
『虹の街』中村菜月 2,200円

おめでとうグッズ
(トートいろいろ、ブックカバー)

公園の記録(1/7追記)



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