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引継ぎにレベル付けをしたいと思った話

こんにちは、Ayano@業務改善を愛する人です。
過去の日記を読み返していたら、引継ぎについての持論を述べている日記を見つけたので、今回はそれを元に編集しました。

会社員なら誰しも一度は引継ぎで悩んだ経験があるのではないでしょうか?私もこれまで引継ぎには度々悩まされ、引継ぎのレベル感が個人の裁量に委ねられている現況に疑問を持つようになりました。今回はその経験を元に、引継ぎのレベル付けについて考えてみました。


引継ぎにおける現況と提案

引継ぎが個人の裁量に委ねられすぎている問題

私はこれまで4社を経験し、各社の中で配置転換も度々ありましたので、業務の引継ぎをしたりされたりの経験は人より多いのですが、それらを経て、思い至ったのが引継ぎが個人の裁量に委ねられすぎている問題です。「人によってあまりにも引継ぎのレベル感が違う!」とこれまで幾度も感じてきました。

丁寧な引継ぎなら、後任者はスムーズに業務を受け取れますが、粗雑な引継ぎだと後任者が苦労するだけでなく、後任者がその業務をキャッチアップするためにかかる工数が増えるのです。「引継ぎはもう終わりました!」と前任者が声高らかに報告している場合、前任者の考える引継ぎのレベル感が低いがゆえに(後任者視点では不十分な引継ぎで)終わった気になっていることが多いですし、「もう少し補足説明/資料作成した方が良さそうです」などと前任者が慎重な姿勢を見せている場合は、前任者の考える引継ぎのレベル感が高いがゆえに、時間を要しているように思います。

引継ぎのレベル付けとは

そこで、引継ぎにおいても、組織で共通のレベル設定があって然るべきなのではないかと考えました。「今回はLv.6の用意をしたので、資料を見ていただければ後任者はスムーズに引き継げると思います」、「今回はLv.2の用意しかできていないので、後任者はしばらく負荷がかかると思います」のように上司や周囲にレポートし、引継ぎのレベル感について共通認識が持てるようにしたら、引継ぎ準備への認識が変わり、引継ぎで苦労する人が減るのではないかと考え、以下のように、引継ぎのレベルを仮設定してみました。

引継ぎにレベル付けをするならこんなイメージ
  • 口頭での業務説明・・・最も引継ぎ時間が少ないケースでも、最低1時間程度は前任者が後任者に業務概要を説明すると思いますので、Lv.1は口頭説明のみ○(実施)のケースを想定しています。

  • 過去資料の共有・・・「前回の資料を渡すので、これ見てやってください」のように、過去資料を参考として渡されるケースを想定しています。共有フォルダなどにデータが整理されていると尚良いです。

  • 引継書の用意・・・現在進行形のタスクの進捗状況など、業務が渡される時点に焦点を当てて整理した資料の用意があるケースです。

  • 引継計画書の用意・・・いつ、どのタスクを渡していくのかを示したスケジュール表を指します。業務を受け取る側が、いつどのタスクの主体者になるのか、逆算していつまでにそのタスク手順を理解しておかないといけないのかをいう見通しが立てやすくなります。

  • マニュアルの用意・・・業務内容や手順が網羅され、体系的に整理された資料が用意できているケースです。

  • 過去事例の共有・・・過去に起きたイレギュラーやミス・トラブルの対処事例など、マニュアルには含まれない内容を指します(マニュアルに含まれている場合もあります)

「”引継ぎ”なのだから”引継ぎ”書だけでいいのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。たとえば営業部で、異なるクライアントを担当する営業担当者同士が引継ぎをするのであれば、引継書で十分かもしれませんが、私が経験してきたマーケティング部署のように、担当業務がそれぞれ大きく異なる部署では、引継書だけでは後任者のキャッチアップ負荷は甚大であると考えます。

組織として引継ぎの基準を設定しよう

後任者が新入社員の場合に、Lv.2以下(=引継書さえもなし)で引継ぐ人は少ないと思いますが、私のように中堅層になるとLv.3以上で引継いでくれる人は少数派です。口頭で引き継がれたものを自分で受け取りながら整理して、必要に応じて質問したり、自分で前任者と関係者のやり取りを遡ったりして、キャッチアップしていくことはできますが、非常に時間がかかります。すでに全体像を理解できている前任者がまとめた方が圧倒的に短い時間でまとめられるでしょう。
ただ、前任者としては、後任者が何とかできてしまうのであれば、わざわざ自分が時間を割いてまでLv.3以上を用意しようとはしません。だからこそ、組織として引継ぎにおける期待レベルを定める必要があると考えています。なぜなら、組織としての全体効率を考えれば、前任者がLv.3以上を用意する方が、前任者+後任者の合計工数は減らせるからです。また、引継ぎ期間中/直後にミス・トラブルが起きる可能性も下げられるでしょう。引継ぎ期間中/直後は、情報共有不足や前任・後任間での伝え漏れや聞き間違い等によるミス・トラブルが発生しやすいです。ミス・トラブルが発生すれば、当事者である前任・後任だけでなく、上司や関係者までミス・トラブルの対処に当たらなくてはいけなくなるため、引継ぎレベルの低さによって引き起こされる影響は認識されている以上に大きいと言えると思います。
(元データが見つからなかったので参考程度に共有しますが、以前何かの資料で、業務中に起こるミス・トラブルの半数以上が引継ぎ期間間中/直後に起きるというデータを見たことがあります)
また、業務担当者が突然入院したり退職してしまい、引継ぎ期間が取れずにいなくなってしまう場合のリスクを考えれば、どの業務においてもLv.6を目指すように働きかけることが、組織としてのリスクヘッジになります。日々の業務で忙しい中、すべての業務においてLv.6を用意するのは難しいとは思いますが、まずは組織で抱える業務において、どの業務がどのレベル感で引き継がれているのかを把握することが、ミス・トラブルを減らす第一歩になると、私は考えています。

引継ぎについては以下でもお話ししていますので、よろしければこちらもチェックしてみてください。

ご覧いただきありがとうございました。
Ayano@業務改善を愛する人

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