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「みんなのフォトギャラリー」に投稿した写真を使っていただいたnoteをまとめたマガジンです。嬉しさと感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます!
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#小説

お話『踊りと私の話:8 *アダージオ 〜再開〜』

もしかして。 もしかしたらだけど。 どんな時も動き続けているのかもしれない。 何もかも止まっちゃったって思っている時だって。 自分が止めてしまった時だって。 現実が動いていないように見えたって。 何かが進んでいるのかもしれない。 自分にはわかっていなくても。 自分では見えないところででも。 気がつかないくらいにゆっくりと。ゆっくりと。 《アダージオ》   ゆっくりと、の意味。   優雅で滑らかな動き。 *** こんにちは! 私は、きこ。 このお話をしている本

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「私にしては激動の読書遍歴」

住民税が憎すぎて図書館で元を取ろうとする(2022年8月)ある方のnoteを読み、こう言う考え方があるのだと知り、中学生振りに図書館に通うことに。どっかの馬鹿な人間が始めた戦争について耳にしたり、時期もあって、恥ずかしながら何も知らない、戦争についての知識を貯めようと思い立ちました。ひたすらに、月に何度か戦争や日本史の棚から本を手に取り続け、これまでにふたりで30冊ほど、およそ5万円分の本を借り、読み続けました。この当初の私には、自己啓発や小説よりも、知るべき戦争の歴史を追い

パン祭り血祭りキリングフィールド【あらすじ】

パンについているシールを集めるともれなくマシンガンがもらえる!!!?? 母さんが大量のパンを買ってきて父さんを撃ち殺した!!!! 近所からも銃声が聞こえてくる!!!! 最近告白して付き合い始めた幼馴染、リノは無事なのか!? 母さんから銃を借りて彼女の家に向かう!! 道端に転がる死体!!! 打ち捨てられたパン!!! マシンガンを持って立ちふさがる親友!!!! 「お前、俺がリノのこと好きなの知ってて告白しただろ」 知らねーよ!? 三角関係だ!!!! 親友が襲

サボテンの花言葉知ってますか?9月28日

彼女にはサボテンというニックネームがついていました。 なかなかの美人ですが、いつもメガネをかけていて、高い鼻でツンとすましていました。身につけている服はいつも黒っぽいスーツを着ていました。 仕事がものすごくできて、話の口調もトゲトゲしいのです。その上、英語ペラペラのキャリアウーマンの彼女には、とても男が近づけるようなスキはありませんでした。 大学を卒業してから5年、ずっと仕事一筋の人・・・・ と、私も聞いていました。 ところが、ある日曜日、私は、ディズニーランドで彼女

母は今年の1月で

「そう。よかったね。だったら、あなたしか書けないもの、書かなくちゃだよ」 母が笑顔で、生き生きと語る。私は、ゼロになった。何も浮かばない── ☆☆☆ こんにちは。フジミドリです。今日は母の日ですね。私物語で思い出を書きます。 私物語は造語です。小説のような随筆のような。どちらでもある。どちらでもない。 道術家の私は種観霊するのです。人間の目を通してではなく、霊魂がどう観るか。お読み頂ければ嬉しく思います。 ☆☆☆ 当時の私は、追い立てられていた。経済的な苦境、仕

英雄の魔剣 11

「そこの女は生きているのであろうか」  アレクロスは『女』と言い、魔物とは呼ばなかった。すぐに同情して助けるような甘い判断はしない。セシリオはうなずいた。 「息をしているのが分かります。かすかにですが、胸が上下しているのが見えます」  アレクロスの目には見えなかった。虹色の光ゴケと光水晶のお陰で明るいとは言え、昼日中のようではない。日没か夜明け頃の薄明るさである。この広い室内で、遠目に倒れる魔物の動きはよく分からなかった。だがセシリオの目は確かであろう、とアレクロスは信頼して

人形の公爵(プリンス) 【小説】

      一  明治三十八年の夏の京都では、日露戦争の最中で世情何かと落ち着かない中でも、都の旧い仕来りがおろそかにされることはなかった。  二条通を東に進んで鴨川に行き着き、右手に見える小路から南に折れると、その角から築地塀がしばらく続き、塀が切れたところで黒い冠木門が森閑と扉を閉ざしていた。門前には円錐形の屋根を載せた巡査の警備のための小屋があって、この家に出入りする者は、巡査の誰何を経た後に、門の脇の通常口から塀の内に進むことになっていた。  紺絣の着物を着た、毬栗頭