マガジンのカバー画像

河合隼雄を学ぶ

27
河合隼雄先生の著作や関連書籍から、河合隼雄先生の思想を学んでいきたいと思います。
運営しているクリエイター

#魂

河合隼雄を学ぶ・14「こころと脳の対話②」

河合隼雄を学ぶ・14「こころと脳の対話②」

(前号の続きです)

【「魂」を救う対話】

<茂木>「しんどさ」というのに僕はものすごく興味がありまして。というのは、われわれでも、たとえば理論を考えているときに、この理論を考えるのはしんどいなぁ、というときがあるんですよね。でもそれが、なんか意外と価値のあることだったりして。そのしんどさを通り過ぎないと、価値あるものをつかめないということろもあるわけですね。

<河合>苦しんでいる人がこられた

もっとみる
河合隼雄を学ぶ・15「こころと脳の対話③」

河合隼雄を学ぶ・15「こころと脳の対話③」

(前号の続きです)

【「魂」を救う対話】

<河合>フロイトの有名な言葉で、クライアントの人がこられて、お話を聞いているときは、「平等に漂える注意力をもって」といいます。英語でいうと、「フリー・フローティング・アテンション」。これはパラドックス(逆説)なんです。なぜかといえば、アテンションというのは方向をもっているわけです。でも、それ(方向)をもたない、アテンション。だから、やっぱりさっきいわれ

もっとみる
河合隼雄を学ぶ・16「中空構造日本の深層①」

河合隼雄を学ぶ・16「中空構造日本の深層①」

「中空構造」「中空性」ということが日本人の基層心理を説明するのに重要な観点であり、欧米の文化の基本的な在り方と明らかに異なる点である。この「中空構造」「中空性」について掘り下げているのが本書である。

日本と日本人を考察しつづけた河合隼雄の論の中でも、この「中空構造」「中空性」という概念は大きなものだと思うので、本書を丁寧に紐解いてみたい。

【神話的知の復権】

本章で河合隼雄は、「科学の知」に

もっとみる